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『ブラウザ三国志』につぐ新作発表!? ブラウザゲームの雄、ONE-UP独自の戦略に迫る

2012-06-28 13:00 投稿

●国内外向けに新作タイトルを2本開発中

マーベラスAQLの『ブラウザ三国志』やスクウェア・エニックスの『戦国IXA』といった人気ブラウザゲームの開発などを手掛けたゲーム会社、ONE-UP。同社はPC向けブラウザゲームを国内だけでなく、フランスや韓国、シンガポールやマレーシア、台湾にタイといった海外でも積極的に展開している。最近では日系企業ではめずらしい、インドネシアでのサービスも展開している。いままさにMobageやGREEといった日本発のソーシャルゲームプラットフォームが海外展開に注力するなか、それに先んじてPC向けブラウザゲームを持って海外で実績を積んでいる会社と言える。今回同社の中元志都也代表取締役社長にインタビューを敢行。国内外における同社の戦略について聞いた。

 

▲ONE-UP 株式会社 代表取締役社長“中元志都也”氏

――『ブラウザ三国志』を国内だけでなく、海外でも積極的に展開しているONE-UP。まずはその成り立ちや現在までの流れを教えていただけますか?

中元志都也社長(以下、中元) 現在の事業に近い形になったのは、2008年に前社長の椎葉(※1)さんが入社されてからになります。当時私も別な会社にいたのですが、椎葉さんたちが最初に作られたのが2009年6月に始まった『ブラウザ三国志』。それがうまく行き始めて、スクウェア・エニックスさんと『戦国IXA』をやらせていただいたり、マーベラスAQLさんの人気ブランドを使った『みんなで牧場物語』などを展開させていただいたりしていた会社になります。『ブラウザ三国志』が国内で好調だったこともあり、グローバルな展開をしたい、海外の展開ができる人材を探しているところで、私が入社しました。2010年6月のことです。
※1.椎葉忠志氏。2011年6月1日に新会社Aimingを立ち上げ、現在も活動中。

――そこから椎葉さんが辞められましたが、その影響はありましたか?

中元 当然、『ブラウザ三国志』などを生み出されたクリエイターですから、辞められてまったく影響がないなんてことはありません。ただ、決してネガティブな話ではなく、いまでも椎葉さんたちとお付き合いもありますし、社員の中には週末に野球をいっしょに楽しんでいる者もいます。いまでも海外展開については我々がサポートしたり、ゲーム開発の面ではいろいろ教えていただいているという形ですね。

――ただ、御社の体制自体もけっこう変わったとお聞きしています。サービスなどに影響はなかったのでしょうか?

中元 最初のころは人数も減りましたが、『ブラウザ三国志』を筆頭に我々の主力タイトルなどに関わったメンバーは残っていたので、椎葉さんから辞められていままでは現行のサービスを維持することに注力していた形になります。サービスを止めない、クオリティーを下げない、そこに全力を尽くしていました。昨年は新しいことに手を回すことはできませんでしたが、今年からは徐々にアジアを中心に多面展開を推し進めたいと思っています。

――すでに海外、とくにアジアで多面的な展開を行われていますが、なぜここまで海外展開をスピーディーにできているのでしょう?

中元 現地のパブリッシャーの能力が大きいです。『ブラウザ三国志』の場合、『三国志』をベースにしているので、文化的に受け入れられる国と、そうでない国に分かれます。しかし、結局はゲームの内容が重要。だからこそ我々がライセンス契約する場合は、相手が現地のマーケットをどれだけわかっていて、どれくらい我々のゲームを理解しているか、加えて両方の要素をどれだけ分析して運営に活かしてくれるのか、そこを重視しています。

――『ブラウザ三国志』はアジア全域でうまくいっているのでしょうか?

中元 正直言うと、香港や台湾ではあまりうまくいきませんでした。パブリッシャーさんも意欲的な会社だったのですが、うまく立ち上げることができなかった。理由としては、香港や台湾ではどうしても大型のMMORPGが主力で、ブラウザゲームというのは軽視される傾向にあったことだと思います。「ブラウザゲームでわざわざライセンス契約しなくても、自分たちでコピーしちゃえ」というような(笑)。ただ、一方で韓国はネクソンさんとライセンス契約していて、うまくいっています。もともとネクソンさんが自社のポータルでユーザーを集められていて、そこの数値を見ながらチャネルを増やす。そういった運営能力が高かったことと、逆に『ブラウザ三国』のようなカードバトル系のゲームが向こうでは新鮮だったこと、これらの要素がうまく相乗効果を生んでくれたんだと思いますね。ただ、うまくいかなかった地域でも情勢が変わって、2010年後半から一気にブラウザゲームが広がる市場になりました。そういう意味では、ここ2、3年でアジア全体がドラスティックに変わった状況を肌で感じていたと言えるかもしれません。

――中国でもSNSプラットフォームがすごい勢力になってきましたし、ユーザー層が大きく変わったような気がします。

中元 それはありますね。ただ、結局表面的に広がっているということと、お金を払ってくれるユーザーというのは違っているというのもひとつのポイントだと思います。それがまだONE-UPがスマートフォンの市場に舵を切っていないという戦略にも繋がっているんです。

――というと?

中元 我々はPCだけを主戦場と考えているわけではありません。しかも、いまはスマートフォンブーム。当然スマートフォンで、と考えなくもないわけですが、現状『ブラウザ三国志』などによって安定した収入源があります。だから、わざわざリスクを負っていまスマートフォン市場に出さなくてもよかったということがひとつあります。

――いまいわゆるスマートフォン向けソーシャルゲームを開発、運営している会社のアジア進出が多いなかで、焦りはありませんか?

中元 そこは冷静に考えています。たとえばいまシンガポールに進出する会社が多いですが、我々からすると「お金になるのかな?」と思ってしまいます。なぜかというと、まだ現地ではPCゲームにお金を遣う人が多く、インターネットカフェの文化も根強い。そういうところでいきなりスマートフォンのゲームをどうぞ、と持って行っても、登録はされるかもしれませんが、お金を払ってくれるかは疑問。当然、今後はスマートフォンでもお金を払ってくれるユーザーが増えると思いますが、いまの我々の規模の会社からするとまだ早いというのが私の考えです。

――まだアジアでは市場としてスマートフォンは熟成していないと?

中元 スマートフォンの爆発的な普及は、ゲームユーザーがスマートフォンを持ち始めたわけではなくて、スマートフォンを持ち始めた人の中にゲームユーザーがいる、ということだと思うのです。だから、あえてスマートフォンに舵を切っていません。ソーシャルゲームの場合、「スマートフォンだ!」、「海外進出だ!」と言われることが多く、いろんなメディアでもそういった報道があり、投資家たちからもどんどんお金が引っ張れる状態。まさにバブルです。そうするとコンテンツも増えていく。そうすると開発会社もKPIの指標にApp Storeの順位だけを見て、売れ筋のゲームと似たようなゲームばかりを出してしまう。ここで見落とされているのは、ユーザーのことですよね。必要以上に市場にお金が流れ込んできて、誰のためのサービスなのか、誰のために作っているのか、それがいまの市場には欠けていると思うんです。去年から今年前半にかけてそういった状況なので、それ以降は逆に市場が冷え込み始め、淘汰される会社も出てきて、そこからキチンとした市場ができあがっていくのではないでしょうか? もちろん我々もうかうかしていられませんが(笑)。

――冷静な分析ですね。

中元 資本がしっかりしている会社であれば問題ないと思うのですが、ベンチャーキャピタルから数億円の融資を受けて、勢いのままに海外に、というのは難しいのかなと。とくにシンガポールは政府をあげて新しい産業に対して積極的に誘致をする傾向にあるのですが、それだとお金を持っている日系の会社は逆に食い物にされてしまう可能性もありますね。以前、シンガポールでビジネスをしていたのですが、そういった会社をいくつも見てきました。

――DeNAやグリーのような資本がしっかりしている会社が海外進出に注力されているのをどう分析されていますか?

中元 日本のプラットフォーマーさんが現地でドーンとユーザーを開拓してくれて、市場を作ってくれるというのは期待しています。これまで我々は海外で展開するときは、パブリッシャー選びからサービス開始まで最低でも半年はかけてやってきたものをプラットフォーマーさんが用意してくれるというのは、効率がいいことですし。ただ、安易にいっしょにはやれないかなとも思っています。世界中にソーシャルゲームのプラットフォームがあって、MobageやGREEに奪われてなるものかと思っていますからね。ですので、我々はどこのプラットフォームで、というわけではなくて、サービスによって柔軟に考えたいなと。

――これまでやってこられたとおり、現地には現地にあったサービスをということですね。ちなみに、今後ONE-UPさんとしてどのような展開を考えられているのでしょう?

中元 おかげさまで昨年度の決算では、売上15億円、営業利益は4.8億円を達成できたので、2012年はどんどん投資をしていこうと思っています。いま『ブラウザ三国志』を作ってきたメンバーが中心となって新規タイトルを開発しています。PC向けに1本、モバイル向けに1本。それも海外の会社さんと話も平行して進めていて、国内のリリースとほぼ同時期に海外でも出していきたいなと思っています。まだ詳細はお話しすることができませんが、期待してほしいですね。

――完全新作を?

中元 そうですね。昨年まではすでに皆さんにご好評いただいているものを維持することに注力していましたが、今年は自社で新たに開発したものを自社でパブリッシュしていきます。国内だけでなく海外でも同じように進めていきたいと思っています。PCはPC版『ブラウザ三国志』のチームが、モバイルはケータイ版『ブラウザ三国志モバイル』のチームがそれぞれ別ブランドのタイトルを開発しています。

――これまでの経験が新作で活かされるというのはONE-UPの強みかもしれませんね。

中元 チームのノウハウは溜まっていますし、新しいことをやりたいという想いも強いです。『ブラウザ三国志』の成功体験に引きずられず、新しいマインドに切り替えてやっていけるとおもしろいかなという気がしています。今年はONE-UPにとってもしっかりこの激動の時代を生き抜くという点で、大きな意味を持つ1年だと思います。

――楽しみにしています。最後に、今後ゲーム業界、ソーシャルゲーム業界はどのようになると思われていますか?

中元 いわゆるブラウザゲーム、ソーシャルゲームの市場は、月並みではありますが、成長すると思います。ただ、いまのような形のまま市場が大きくなるというわけではなくて、いまのゲーム業界と定義されているところより広義に業界がなっていくんじゃないかなと。最近まったく異なる業界から「こういうことできませんか?」という問い合わせがあります。最近ですとゲーミフィケーションという言葉も流行っていますが、ゲーム業界という定義がどんどん広くなっていく。それこそ、ソーシャルゲームとソーシャルメディアの境界線がなくなってきて、ゲームやアプリ自体がメディアになりつつあります。メディアもゲーム性を取り込むことで進化したように、ゲーム自体もいろいろな業界と融合してさらに市場が広がって行くんだと思います。

――ありがとうございました。

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