グリー田中社長が決算説明会で“コンプガチャ”について発言「指摘があった場合は真摯に対応したい」

2012-05-08 18:30 投稿

●引き続き、利用環境向上に向けて自主的に取り組む

2012年5月8日、都内にてグリーによる “2012年6月期第3四半期 決算説明会”が行われた。会見には、グリー代表取締役社長・田中良和氏が登壇し、同社の第3四半期の業績を発表した。「消費者庁がソーシャルゲームの“コンプガチャ”について中止要請を出す方向で検討を進めている」との報道を受けて行われた今回の決算説明会。当然のように取材陣の注目度も極めて高く、会場にはたくさんの取材陣が詰めかけた。そんな取材陣に向けて田中社長は、決算説明会の冒頭で以下の通り発言した。

「昨今“コンプガチャ”に対して一連の報道がありますが、我々のほうも承知しております。我々としてはより多くの方に当社のサービスを楽しんでいただくために、ユーザーの方々に安心してサービスを利用していただける環境作りを継続していくことが重要だと考えております。また、本日ですが消費者庁の担当大臣の会見で、ソーシャルゲームに対するコメントがあったというふうに理解しておりますが、当社および関連企業による6者連絡協議会というものがあります。こちらにおきまして、さまざまなご指摘やご意見などがあった場合は、真摯に耳を傾けて、利用環境の向上という目的に対して反映させていきたいと考えております」(田中氏)

以上の発言を受けて、田中氏よりまず語られたのが“利用環境向上に向けた取り組み”。“GREEを世界中のより多くの人々に利用してもらう”をミッションに、安心してGREEを利用できる環境作りへの継続的な取り組みとして、“推進体制の構築”、“お客様対応体制の強化”、“サービス向上・適正利用の促進に関する施策”、“リアル・マネー・トレード(RMT)の禁止徹底に関する施策”の4本柱に取り組んでいくと説明した。とくに、“推進体制の構築”では、プラットフォーム事業者6社による“ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会”で議論を実施し、必要に応じてガイドラインを策定し、5月末をメドに発表するとのことで、そこでも何らかの方向性が示されることになりそうだ。

本題となる2012年6月期第3四半期決算説明では、まずはその期間の取り組みとして、“グローバル展開”、“世界に向けた自社ゲームの提供”、“GREEパートナー、アライアンスの拡大”を挙げ、既報の通り(⇒記事はこちら)、2012年6月期 第3四半期の売上高は461億8900万円(前年同期比182%)、営業利益245億4900万円(前年同期比199%)、経常利益245億500万円(前年同期比208%)で、当期純利益が134億4800万円(前年同期比186%)となったことを発表した。GREEグループの会員数も順調に伸長し、2012年3月段階で2億3481万人に到達したとのことだ。

  
 
 

グリーが総力を上げて取り組むグローバル戦略で強調されたのは、北米大手ソーシャルゲームメーカーFunzioの買収。『Crime City』や『Modern War』などのヒット作を手がけるFunzioだが、いま売上を急激に伸ばしているとのことで、GREEプラットフォームにとっても大きな役割を果たしそうだ。田中社長は今後のグリーのグローバル展開として、以下のプランを設定。「10億人が利用するサービスを作る」との目標を改めて明言した。

2012年5月:GREE Platformのグローバルでの展開開始
2012年7~9月期:パートナーゲーム50~60本提供予定
2012年9月 :GREE Platform 14ヵ国語対応
2012年12月末まで :自社/ダブルネームゲーム複数本提供予定

  

田中社長に加えて、グリー 取締役執行役員副社長・山岸広太郎氏やコーポレート本部長・島竜太郎氏を交えて行われた質疑応答は、当然のように一連の報道を受けての内容に終始。「消費者庁の松原大臣が“聞き取り調査を行った上で判断したいが、極めて射幸心を煽ることだけは間違いない”という発言をどう受け止めるか?」との質問には、「現在、消費者庁さんと連絡を取らせていただいておりまして、コメントを差し控えさせていただきたいと考えていますが、弊社としましては、ご意見をいただきましたら、真摯を検討してまいりたいと考えています」(山岸氏)、「現在、消費者庁さんを始めとした関係の団体の方に連絡させていただきながら、我々としては何らかのご指摘があった場合には真摯に対応していくことを考えています」(田中氏)と、それぞれコメント。

▲右から田中社長、山岸氏、島氏。

さらに、「今後ソーシャルゲームがさらに成長するために、有料課金のビジネスモデルは見直すべきなのか、それともこのまま成長を続けるのか?」との踏み込んだ質問には、田中社長は「我々として基本的にいちばん重要だと思っているのは、より多くの方々に当社のサービスを安心して利用いただくということが、事業上いちばん重要だと思っていまして、短期的な利益ではなくて、ユーザーの方に安心していただける環境を作るということが、もっとも求められていることだと思っていますので、その目的にいちばん対応できる方法論を模索していくことにあると思います。具体的な方法論についてはコメントできる段階にはないと思っていますので、今後何かありましたら、そういった機会ごとにご説明したいと思っています」とコメントした。

一方で、「もし何らかの措置があって“コンプガチャ”を止めるとなった場合に、グリーの今後の事業にどれくらいの影響力があるのか?」とのストレートな質問に対しては、島氏が「個別のデータについては開示は控えさせていただきますが……」と前置きした上で、「仮に“コンプガチャ”が完全に禁止になった場合でも、当社のビジネスの根幹は揺らぐものではないと認識していますし、“コンプガチャ”以外にもユーザーさんに受け入れられるさまざまなサービスを提供していくことで、売上を上げていくことが必要なのかなと思っています」とのことだ。その上で、一部で伝えられた “コンプガチャ”が売上の8割を占めるとの報道を「そこまでではありません」と否定した。

▲注目度の高さを裏付けるように多くの取材陣が詰めかけた。

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