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「『LINE』のこと初めてちゃんと話します」 爆発的ヒットアプリ誕生を後押ししたのは、未曾有の大震災だった

2012-03-16 22:28 投稿

2012年3月16日、都内でブロードバンドコンテンツの総合カンファレンス“OGC2012”が開催された。スマートフォンゲーム制作会社、SNSプラットフォーム運営会社などからさまざまな注目人物が講演を実施。ここではスマートフォンアプリ『LINE』を運営するNHN Japanのウェブサービス本部 執行役員・CSMO舛田淳氏の講演“コミュニケーションアプリ「LINE」の戦略”の内容をお届けする。

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意外に思われるかもしれないが、同社が『LINE』についてこうした講演を行うのは初めてとのことで、非常に貴重な講演となった。NHN Japanは、すでにご存知の方も多いかと思われるが、現在はハンゲームの運営会社というだけでなく、子会社であったlivedoor、NAVERと経営統合し、いわゆるインターネット系列のさまざまな部門を多角的に運営する会社となった。国内で十分なシェアを獲得しているのはもちろんだが、韓国では検索エンジン広告などあらゆる部門でトップを独占している。そんな同社の2012年の最重要プロジェクトが『LINE』であると舛田氏は言う。

●爆発的に広まった『LINE』

「『LINE』は日本産まれのスマホアプリなんです」(舛田)。舛田氏があえて“日本産まれ”と言ったのは、母体を韓国に持つ同社の企業方針が“各国で独自の判断をして経営を行おう”ということからきている。まずは『LINE』の現状に関しての話を進める舛田氏。「ダウンロードの比率は、配信当初はiOSが圧倒的に多かったのですが、現在はAndroidが猛追しています。比率的には5対5程度まできていますね」とのこと。スライドでは他のSNSサービス(Twitterなど)との広がりかたのスピードを示す資料も公開されたが、それを見てもLINEは圧倒的だ。同社が同社が調べたアプリの利用率(月に1回以上起動する)も89%と非常に高い数値をたたき出している。これに関しては「数字を最初に見た時にバグだと思って集計し直させました(笑)」(舛田)というエピソードもあったそうだ。

 

ではなぜ『LINE』がここまで成功したのか。舛田氏はさらに話を進める。「スマホに注力しようとしたときに、じゃあどこに向けて進むのがいいのかを考えました。どの国でもゲームや写真やコミュニケーション系のアプリは強いんです。だからそこに突っ込んでいくのがいいんだということは決まりました」(舛田)。 ちょうどこの時期はTwitterやFacebookが爆発的に普及したころであったが、一方で違うものも求められていると舛田氏は感じていたそう。「知り合い以外からも閲覧されるFacebookは実生活に密着しにくい。そういう部分を埋める何かがほしいと思ったんです。新しい人との出会いではなく、知っている人とのコミュニケーションを円滑にするサービス。例えば、ここにいるような皆さんはFacebookのフレンドがたくさんいるんだと思いますけど、その人たちは本当にフレンドですか? 本当の意味での友達ではないですよね。Facebookはそういうさまざまな関係の人たちを等距離に並べてしまいます」(舛田)。だから『LINE』は本当に親しい人だけの関係を作りたいと思ったのが開発のきっかけだという。

 

 

●「3.11が大きな原動力となった」(舛田)

さらに開発に関しての非常に大きなエピソードも公開した。舛田氏が『LINE』考え始めたのがちょうど1年前。いわゆる“3.11”があったときだ。「あのときみんながどうしたか? まずは親しい人の安否を確認した。僕もそうです。だからそういうものが必要だと強く感じたんです」(舛田)。そこからの動きは非常に早く、完成までの工数を計算するまえに、“6月に出す”ことを決定した。舛田氏を含めて開発陣がちゃんと集まれたのは4月を過ぎてからだったが、強い使命感にも後押しされ、見事予定通りにリリースにこぎつけたそうだ。ちなみにこのときのスタッフ数は約10名。少なく感じるが、同社のエース級の人員を集めたスペシャルチームだったのだそう。

コミュニケーションアプリは『LINE』のほかにも多々存在する。とくに有名なのが『Skype』だ。これについては「Skypeや同一サービスの存在はまったく気にしませんでした。自分たちの理念で世界を獲れるだろうと思っていましたから。スマートフォンの世界はPCと違ってまだまだ未成熟なんです。Skypeはたしかにすごいですけど、それでも“たかがSkype”なんです。例えばご家族でSkypeを使っている人はいますか?」と問いかける舛田氏。たしかに記者の家族でSkype利用者はゼロだ。さらに続ける舛田氏。「既存のカテゴリーで出すことは決してマイナスではないんです。なぜかと言うと、ユーザーにこういうものだと教育する必要がないですから」(舛田)。

さらに『LINE』の優位性として、もともとの設計思想がスマホ専用であることを挙げた。SkypeはもともとPCのサービスとしてスタートしているから、立ち上げるときにログインが必要だが、『LINE』ではそれを必要としないことがとても重要だと言う。また、スマホ専門であることのもうひとつのメリットとして、マーケットの少なさについても言及した。「スマホには基本的にApp StoreとAndroidマーケットしかありません。ここで上にいけばいいだけというのは非常に大きい。かけるコストも抑えられますから」(舛田)。

●目標は1億人規模!

舛田氏からは『LINE』の今後の展開についても話があった。まずはさらなるマルチデバイス化を予定しているとのことで、Windows Phone、各種タブレット、BlackBerryへの対応を進めており、トルコ、ベトナム、ドイツ、フランスなど『LINE』の利用率が上昇している国はその国の言語にも随時対応していくそうだ。また、さらなるサービスとしてFaceTimeのような動画による通話も3Gで行えるよう実装していくとのこと。

すでに2000万ダウンロードを突破した『LINE』だが、2012年の目標はなんと1億人規模を目指しているとのこと。「2011年で100万いけばいいと思っていたが、実際は1000万以上ダウンロードされた」(舛田)という実績があるためか、「1億は大変な数字だけど、いけなくもないなという印象」(舛田)と強気。本当に1億人規模となると日本でもほとんどの人が使うことになるのだが、果たしてどうなるのか。その参考になるかはわからないが、記者が講演後に会場を出た瞬間、友人から『LINE』でメッセージが飛んできたというエピソードをお伝えしておく。

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