ケイブが語るレトロゲームをスマホに移植する8つのポイント【GDC 2012】
2012-03-12 15:13 投稿
●レトロゲームをスマートフォンに移植する際に気をつけるべき8つのこと
ケイブと言えば、『怒首領蜂』や『虫姫さま』に代表される“弾幕系シューティング”で一時代を築いたメーカーだ。現在は、ソーシャルゲームやスマートフォン向けコンテンツの開発といった、モバイル事業にとくに力を入れている。そのケイブの最高事業責任者兼副社長を務める渡邉幹雄氏が、日本のスマートフォン事業に興味がある海外デベロッパーに向けて最新事情を紹介した。
今回の講演は、大きくふたつの内容に分かれていた。まずひとつ目は、レトロゲームをスマートフォンに移植する際のポイント。もうひとつは、日本のソーシャルゲーム事情だ。レトロゲームの移植のポイントについては、同社のシューティングゲームをスマートフォンに移植した際に得たノウハウがベースになっている。
【レトロゲームをスマートフォンに移植する際に留意すべきこと】
1.ゲームデベロッパーはゲームサービスを提供する会社になるべき
2.アンドロイドマーケットは規模が大きく可能性はあるが、窓口業務が煩雑なのでどうクリアーするかが課題(パブリッシャーに委託するなど)
3.レトロゲームを移植する際は、グラフィックスの美しさよりもフレームレート(なめらかに動くかどうか)のほうが重要
4.ダウンロード(買い切り)だけではいずれ儲からなくなる。課金の仕掛けを取り込むべき
5.移植をするときは、スマートフォンで遊んだときに一番よいゲーム体験が得られるようにする
6.レトロゲームは買う人は買ってくれる。値段は最初から安くする必要はない
7.スマートフォンに最適化するという部分になるべくコストをかける
8.ユーザーコミュニティーを大切にすると、サポート(メーカーの負担が減る)と広告(口コミ)に役立つ
レトロなアーケードゲームは、シンプルかつ短時間で遊べる物が多く、スマートフォンとも親和性が高い。レトロゲームファン以外にも訴求できる可能性があり、しっかりと移植すればある程度価格が高くても売れる、ということになる。その際に、注意すべきなのはフレームレートであることを強調していた。人間は、動いている対象については精細さよりも動きのほうが気になるという。ケイブでは、移植を行う際、最低でも50フレームは出るように調整しているそうだ。
●日本のソーシャルゲームに海外デベロッパーが参入するには日本のパートナーが必要
続いて、日本のソーシャルゲーム事情について紹介を行った。GREEやMobageといったマーケット、そして現在主流となっているカードバトル型のコンテンツの仕組み、さらにはコンプリートガチャのビジネスモデルなどを丁寧に解説していった。
▲ノーマルカードとレアカードの関係。そして、いわゆる“コンプリートガチャ”の仕掛けだ。コンプリートのための額を見て、会場では驚きの声が上がっていた。 | ▲主流となっているカードバトルの仕組み。ヒット作の大半はこのカードバトルタイプだ。 |
ひと通り説明を終えると、現在のソーシャルゲームのマーケットは、成長はまだ見込めるが、すでに成熟の域に達していると補足。ユーザーはコア化し、トレンドの変化も早いため、海外デベロッパーが参入するには、日本のトレンドに詳しいディレクターやプロデューサーの力は不可欠だろうと語った。
急激な成長を見せている日本のソーシャルゲームビジネス。日本独特のマーケットや課金システム、魅力的なIPとの契約などクリアーするべきハードルは多いが、海外デベロッパーにとって魅力的な市場であることは確かだろう。海外デベロッパーがどんな手を打ってくるのか、非常に興味深いところだ。
また、海外のレトロゲームの移植にも期待したい。日本のファミコンブームと同時期の海外ゲームはあまり知られていない。隠れた名作をスマートフォンで遊べる日が来るかも知れない!?
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