【iPhoneおすすめアプリ】大塚角満が太鼓判を押すボードゲームその2『カルカソンヌ』
2011-09-08 19:04 投稿
●今回は自発的に……
こんにちは。週刊ファミ通の大塚角満です。調子に乗って、またまたお邪魔させていただきます。
先日、『スモールワールド』というiPad専用のボードゲームを紹介させていただきました。アプリの紹介っていうより“ボードゲームの解説”になってしまったわけですが、その舌の根も乾かぬうちにもう1本、“名作”と名高いボードゲームのアプリを紹介させていただきます。そのゲームの名は……『カルカソンヌ』!! ボードゲーム好きを自認する人で『カルカソンヌ』を知らぬ人はいないはず。そう断言してもいいくらい、アナログゲームの業界では定番かつ“鉄板”なボードゲームです。
▲これが『カルカソンヌ』のゲーム画面。 |
iOS版『カルカソンヌ』が配信されたのは、確か2010年の春くらい(あいまいでスミマセン)。じつはそれに先立つ数ヵ月前からネット上にこのアプリのティザーサイトが立ち上がっていて、俺はたまたま、「なんかおもしろいボードゲームのアプリがないかなぁ……」とネットを徘徊していたときに、このサイトを発見したのです。ティザーだったのでその段階では、「iPhone・iPod touch版『カルカソンヌ』は2010年春にリリース!」と英語で書かれているだけで(iOS版『カルカソンヌ』は英語版のみなんです)、具体的な配信日は書かれておりませんでした。しかし、アナログ版の『カルカソンヌ』が大好きな俺はこのニュースに小躍りし、以来毎日このサイトをチェック。そして数ヵ月後、無事に配信がスタートしたその日にiPod touchにダウンロードし、本当に毎日、このアプリで遊んでいるのです。
さてここから、『カルカソンヌ』の説明に入ります。ただし、『スモールワールド』のときもそうだったのですが、アプリのインプレッションというよりも“ボードゲームの解説”になると思います! なので皆さん、そのつもりで読んでください……。なるべくわかりやすく、このゲームの魅力を書こうと思いますが、「ぜんぜんわかんねーよ!」という方はぜひ、ネット上に多数アップされているアナログ版『カルカソンヌ』の説明文を読んでください(苦笑)。
『カルカソンヌ』は、裏返しになった正方形のカードをめくり、そこに描かれている“道”や“城壁”、“草原”や“修道院”といったパーツをつなげて広大なマップを作っていくゲームだ。マップを作っていくなかで道や城壁などを“部下のコマ”で占拠し、その得点を競う。
……ハイ、まったく意味がわかりませんね。細かく説明しましょう。
プレイヤー(2〜5人)にはそれぞれ、7人の部下(のコマ)がいる。これを、めくったタイルに描かれている道や城壁に配置して、「この道は俺のだ!」と主張するのである。言ってみればこれは“陣取り”で、つぎのようなルールに則って得点が得られる。
▲これが部下のコマ。プレイヤーはそれぞれ7個ずつ所有している。 |
●“道”に部下を置いた場合
道には始点と終点があり、これがつながったときに、道に使ったパネルの数だけ得点が入る。
▲青のコマが置かれた道が、上に向かってニョロニョロと伸びているのがわかると思う。始点から終点まで5つのパネルを使っているので、これで青のプレイヤーには5得点入る。 |
●“城壁”に部下を置いた場合
城壁にはさまざまな形があり、うまくくっつければどんどん巨大化させることができる。無事に城壁部分を閉じることができれば、城壁を形作るために使ったパネルの数×2の得点をゲット。つまり使用枚数10枚の城壁を築けたら20点もらえるというわけだ。
▲閉じた城壁の例。左が最小単位の、2枚のパネルで閉じた城壁。これで得点は、パネル2枚×2で4点。右は、3枚のパネルを使って閉じているから3×2で6点……かと思いきや、真ん中のパネルに青い紋章が刻まれているのがわかると思う。この紋章はパネル1枚と同じ効果があるので、ここではパネル3枚+紋章ひとつ×2で8点ということに。 |
▲高得点を狙うなら、城壁を大きくしていくのが手っ取り早い。簡単にこれくらいは育てることができる。でも……。 |
●“修道院”に部下を置いた場合
修道院を中心にした9マスに置かれたパネルの数だけ点数が入る。
▲ふたつ並んだ修道院のパネルに、青の部下が置かれているのがわかると思う。この場合、左側の修道院には8点が、右側の修道院には5点が入る。修道院を中心にまわりの8マスをすべて埋めることができれば、部下を回収できる。 |
●“草原”に部下を置いた場合
草原はかなり特殊なカードだ。そこに部下を置いただけでは得点にならない。草原で得点を得るには、ゲーム終了時にその草原に接するところに“閉じた城壁”がなければならないのである。得点は、閉じた城壁の数×3点。
▲寝転がっている緑のコマが、草原に配置されているものだ。このままゲームが終了すると、緑のコマが所有している草原にふたつの閉じた城壁があるので、2×3=6得点もらえる。 |
パネルに配置した部下のコマは、それが完成しないと回収できない(草原は除く)。要するに、道だったら始点と終点がつながること、城壁だったらキチンと閉じること、そして修道院だったら、そのまわりの8マスすべてにパネルが置かれることが必要。なのでプレイヤーは、7人の部下の配置と回収をくり返しながら、得点を積み上げていくわけである。もちろん、高い得点を一気にゲットするために、ニョロニョロと道を長く伸ばしたり、城壁の巨大化を目指していくのも戦略のひとつ。しかし、そうそう思うようにはいかない。めくるパネルがランダムなので欲しいものが引けないのはもちろん、以下のようなテクニックがあるためさらに一筋縄ではいかなくなっているのだ。
★対戦相手の計画をつぶす方法
引いたパネルは、どこにでも置けるわけではない。キチンとパネルに描かれている道なり、城壁なりがくっつく場所じゃないと置けないのだ。しかも、パネルの絵柄と数は限られているので、くっつけられるものも限定される。よって、こんなことが起こる。
▲黄色のプレイヤーが所有する城壁の隣に、大きな×がついているのがわかると思う。これは、「もうここにパネルは置けませんよ。ぷぷw」という印。当然、この黄色の部下はゲーム終了時まで回収できない。 |
パネルが置けなくなるのだ。これを利用し、たとえばほかのプレイヤーが巨大な城壁を築こうとしているのに気付いたら、それが閉じられないようにパネルを配置して計画をぶち壊しにすることができるのである。しかも、城壁に配置された部下のコマは“閉じないと回収できない”ので、やられたほうは高得点の夢を壊されるわ部下を1名失うわでたまったものではなくなる。
★“相乗り”と“乗っ取り”
対戦相手が部下を配置している道、城壁は、うまくすれば乗っ取ることができる。↓こんな感じで。
▲相手が作っている城壁の横に、こちらも城壁のパネルを置いた。うまく間を埋められるパネルを引けばここがつながり、“相乗り”の状態にすることができる。 |
でもこれだと、得点は相手と同じだけしか入らない。そこで、別の場所に作った自分の城壁をさらにコレにくっつけてしまおう。道も城壁も、そこに配置されている部下の数が多い人に全得点が入るというルールがあるので、どうしても欲しいところには積極的に部下を配置したい。逆に、自分の所有物が乗っ取られそうだと感じたら早めに複数の部下を配置し、予防線を張るのもテクニックである。
こうして、すべてのパネルが配置されたらゲームは終了。マップ上の部下が抑えている道、城壁、修道院のパネルの数を計算して、それぞれに得点が割り振られる。このとき、道はつながっている必要はないし、城壁も閉じていなくてオーケー。しかし城壁は、ゲーム中に閉じることができれば×2の得点が入るが、終了時に閉じていない場合はパネルの数×1しか得点は得られない。
ちなみに、草原に置かれた部下はゲーム終了時まで回収することはできない。終了したときに、所有する草原に接している閉じた城壁の数×3の得点が入るが、前述の“相乗り”や“乗っ取り”のテクニックは草原にも適用されるので、草原をメインに据えた戦略はかなり上級者向きと言えるかもしれない。
……これが『カルカソンヌ』というゲームの概略だけど、わかっていただけたでしょうか……? ボードゲーム全般に言えることだけど、何よりも面倒なのは得点計算の部分で、アプリ版はこれをキッチリ、確実に集計してくれるのでありがたいったらない。そういう部分では、オリジナル版を超えているとも言える。
▲最終的には、こんなに大きなマップができる。面倒な得点計算が自動で行われるので、非常に遊び勝手がいいのだ。 |
ちなみに俺はこのゲームで、ボードゲーム仲間の某女性編集者とことあるごとに対戦(お互いのiPod touchにアプリが入っているのだ)している。戦績は9月1日現在で俺の32勝47敗……。勝つためにはゲームを俯瞰する能力と、それに沿った戦略が必要なのはもちろんなのだが、自分がどのカードを引くか、もしくは相手にどのカードを引かれるかという運の要素が多分にからんでくるので、ボードの上には毎回違う風景が広がる。バシッと作戦がハマったときのカタルシス、逆に対戦相手に嫌がらせをされたときの絶望感は計り知れなく、だからこそ『カルカソンヌ』は“名作”として世界中のファンに愛されているのであろう。
ちなみにオリジナルの『カルカソンヌ』は、2000年のドイツボードゲーム大賞受賞作。おもしろいに決まっているのだ。
【Carcassonne(カルカソンヌ)】
メーカー:TheCodingMonkeys
配信日:配信中
対応機種:iPhone/iPod touch、iPad
価格:850円[税込]
(C)2010 TheCodingMonkeys & Hans im Gluck Verlag
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