【iPhoneおすすめアプリ】大塚角満が太鼓判を押すボードゲーム『スモールワールド』
2011-08-30 22:00 投稿
●中目黒目黒に話しかけたばかりに……
とある日。
ファミ通App編集部の中目黒目黒に、つぎのようなスカイプを送った。
「目黒、『スモールワールド』っていう、iPad専用のゲームアプリ知ってる? いまこれのオリジナルであるボードゲームにハマってるんだけど、めっちゃおもしろいぜ。あいにく俺はiPad持っていないので、できないんだけど」
するとこの5分後、目黒がニヤニヤしながら俺のデスクまでやってきた。そして何やら薄べったいガジェットを俺に手渡し、ニヤニヤ笑いをさらに強めてつぎのようにのたまった。
「『スモールワールド』、ダウンロードしておきましたのでよろしくお願いします! 原稿は、8月中でぜひwww」
…………………はあ!?? なんで原稿書くことになってんの!!?
あまりにも電光石火な原稿依頼に放心状態になっていると、目黒は「よろしくお願いしまーーーーーす……」と残響を残して俺の目の前から消えてしまった。こうなったら、書くしかなさそうだ。
前フリが長くなりましたが、皆さんこんにちは。週刊ファミ通の大塚角満と申します。『モンハン』プレイ日記の『逆鱗日和』シリーズでおなじみの俺ですが(自分で言う)、じつはアナログのボードゲームやカードゲームが大好きで、しょっちゅう10人くらいの仲間と集まっては徹夜でこれらのゲームに興じていたりします。で、それらのアナログゲームってちょっと見過ごせないほどiPodのアプリになっていて、目ざとくそれを見つけてはiPod touchにダウンロードして遊んでいるのです。今回紹介させていただく『スモールワールド』もそのひとつ。“傑作”と断言できるボードゲームが、冗談抜きで“完璧”に、アプリに落とし込まれているのです。
ではさっそく説明を……と思ったけど、これ、アプリの説明っていうより“『スモールワールド』というボードゲームの説明”だよな……。ボードゲームとかカードゲームのおもしろさを説明するのってじつはすごく難しく、文字を読んでいるだけではおもしろいのかどうかさっぱりわからなかったりします。しかも『スモールワールド』はそれほど敷居の低いゲームじゃないので、果たしてうまくおもしろさを表現できるかどうか……。かな〜り不安ですが、がんばってみます。
※以下、言い切り口調で参ります。
『スモールワールド』は、いわゆる“陣取りゲーム”だ。世界地図を思わせるマップは細かな“地域”に区切られており、各プレイヤーはここに軍勢を派遣して占領していくことになる。オリジナルのボードゲーム版は2〜5人でプレイできるが、iPad版はふたり対戦のみ。将棋やチェスのように、iPadをはさんで対局風に向かい合う感じだ。
さて、まずはゲームの準備を。プレイヤーが最初にやることは、使う“民族”と“特殊能力”を選ぶことだ。画面を見ながら説明しよう。
民族と特殊能力はべつべつのカードになっており、ふたつで1セットとなる。ゲームごとにランダムに組み合わせが決まるので、そのパターンは無数にある、と言っていいほどだ。
例を挙げて説明しよう。画面の右側、“スケルトン”というのが民族で、“空飛ぶ”というのが特殊能力。
スケルトンはもともと固有の能力を持っているが、さらに特殊能力のカードで“空飛ぶ”という力が加わる。……これでは意味がさっぱりわからないだろうが、徐々にわかっていくと思うので安心してね(ホントか?)。
「『スモールワールド』は地域を占領していく陣取りゲームだ」と書いたが、占領するには前述の民族を地域に派遣しなければならない。各プレイヤーはそれぞれ、民族の兵隊(トークン、という)を抱えているわけだが、その数は先ほどの民族カードと特殊能力カードに数字として明記されている。つまりスケルトン+空飛ぶの場合、6+5=11名のスケルトン兵士を所有している、ということ。同じように、たとえば“ドワーフ+要塞を設ける”を選ぶと、3+3=6名のドワーフ兵士を雇っているってわけだ。使う民族が決まったら、いよいよゲームスタートである。
占領は、画面の隅の地域から行う。その地域に他の民族がいなければ、トークン2枚で占領可能だ。もしも他の民族がいた場合は、“他の民族+2枚のトークン”で“侵略”することができる。たとえば、対戦相手の民族が3名配置されている地域を侵略しようと思ったら、こちらは5枚のトークンを出さなければ勝てない、ってこと。地域をひとつ得たら、基本的にはそれと隣接する地域に派兵してさらなる勢力拡大を図る。ここで“基本的に”と言ったのは、特殊能力によっては隣接していない地域でも侵略可能だから。先の“空飛ぶ”の能力を持っている場合は、マップ上の好きな場所(水の地域除く)を侵略することができるのだ。
▲これが基本的な『スモールワールド』のゲーム画面。自分の兵を派遣して“地域”を占領していくのが目的だ。 |
こうしてトークンを使い終わったら、“民族の再配置”を行う。占領した地域には最低1枚のトークンがいればオッケーで、そのほかは自分の地域ならば好きなように再配置することができるのである。たとえば、「ここは敵地と隣接しているので厚めに兵士を配備したい」とか「お金がたくさん入るこの土地は絶対に奪われたくない」なんて土地があれば、4枚、5枚とトークンを置いて守りを強固にすることができる。
再配置が終わったら、自分のターンは終了だ。所有している地域ひとつにつき、勝利コイン1枚をもらうことができる。最終的には勝利コインの枚数で勝敗を決めるので、なるべく多くの地域を所有したいところ。
ここで、たとえば“ウィザード”という民族は、“魔法の源がある地域1つにつき、ボーナスの勝利コイン1を獲得します”という能力を持っている。“魔法の源がある地域”というのは、
▲こんなマークが付いている土地のことで、ここをウィザードが支配していると勝利コインをさらに1枚もらうことができるのである。つまり、3つの地域しか所有していないけどそのすべてに魔法の源のマークがついていたら、3+3=6枚の勝利コインがもらえるってこと。同じように、たとえば“ヒューマン”という民族は“農場”の地域ひとつにつき1枚の勝利コインをプラスでもらえる。 | ▲“ヒューマン”と特殊能力“沼地の”が組み合わせの場合、農場、沼地の両方からプラス1枚の勝利コインを得ることができる。この組み合わせで農場を3つ、沼地をふたつ支配していれば、ターン終了時に10枚の勝利コインが手に入るというわけ! |
こうしてゲームを進めていくと所有する地域が増え、そこには必ずトークンを1枚置いておかないといけないので、手持ちのトークンの数が減ってゆく。そうなると侵略もままならなくなるわけだが、ここでプレイヤーにはひとつの選択肢が与えられる。それが、
“民族の衰退”
というものだ。
これを実行すると、それまで使っていた民族+特殊能力を捨て、新たな民族+特殊能力を得てゲームをすることができる。「だったら何度も衰退を選んで新鮮な兵士をゲットしたほうがよくね?」と思われるかもしれないが、民族の衰退はターンの最初に選ばなければならず、しかもそのターンは衰退を宣言するだけでほかのことはいっさいできないので、何度もこれを選ぶのは考えもの。「ここぞ!」というタイミングで衰退のカードを切れるかどうかが、このゲームの勝敗に大きく関わってくるのは間違いない。
ちなみに、衰退した民族のトークンは裏返され、以後再配置で兵士を増やすことはできなくなる。が、相手に土地を奪われない限りは、その後もターン終了後に勝利コインを得られるので安心(?)していい。衰退しても、一応やることはやっているわけですな。
こうして、互いに10ターンプレイしたらゲームは終了。より多く勝利コインを獲得したプレイヤーが勝ちとなる。
……これが大まかなゲームの流れですが……やっぱボードゲームの解説ってむずかしいっすな!! 民族と特殊能力の組み合わせが非常に多く、プレイするたびにまったく違う能力を駆使して遊ぶことができる奥の深いボードゲームなんだけど、文字だけだとその魅力が伝わらない……。でも、もしもこれを読んで「やってみようかな」と思われた方がいらしたら、ぜひ根気強く取り組んで、ジワリと味が出てくるまでがんばってプレイしてもらいたい! 「ルールを覚えなければいけない」という、ボードゲームには付き物の最初のハードルを越えることさえできれば、宝の山と言っても過言ではない“アナログゲームの世界”が目の前に広がることを保障します。
【Small World for iPad】
メーカー:Days Of Wonder
配信日:配信中
価格:600円[税込]
対応機種:iPad
(C)Days of Wonder 2010
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