フィーチャーフォンからスマートフォン、移植で重要なのは“わかりやすさ”【GREE Platform Summer Conference 2011】
2011-08-06 02:38 投稿
●デザインにも工夫が必要
2011年8月5日、都内で“GREE Platform Summer Conference 2011”が開催された。GREEは近年、『モンプラ』、『釣りスタ』を始めとするフィーチャーフォン向けの主力ソーシャルゲームをつぎつぎとスマートフォンに移植している。とは言え、入力方法も表示能力も大きく異なる両者なので、単純に移植するだけというのは当然不可能だ。グリー 開発本部ソーシャルプラットフォーム統括部 統括部長の伊野友紀氏によるセッションでは、自社タイトルの移植への取り組みおよび手法などが明らかにされた。
伊野氏によれば、現在GREEでは全ユーザーのうち12%以上がスマートフォンでコンテンツを楽しんでいる状況であり、主要タイトルの移植の重要性も増している状況だ。そんな中でGREEが移植の際に心掛けているのは、“データを共有する”、“イベントは一緒に”、“FP(フィーチャーフォン)版とSP(スマートフォン)版には機能差がなし”の3点。多くのユーザーが参加するソーシャルゲームでは、ゲームロジックを機種によって変えるというのは言語道断というわけだ。ちなみに、GREEがこれまでに移植したタイトルは全部で6タイトル。最初の『モンプラ』は1ヶ月ほどの期間をかけて移植を行い、タイトルの規模によって期間の増減はあるものの、直近の『探検 ドリランド』は0.7ヵ月と期間が短縮している。これはもちろんノウハウの蓄積による成果で、しかも関わっている人間すべて異なるという。人に依存せず、社としてノウハウを蓄積するという狙いによるもので、しっかりとその成果が出ているようだ。
フィーチャーフォンからスマートフォンへの移植においては、ゲームロジックを同じにするというもの以外に、ユーザーインターフェースの作りにも注意を払わなければいけない。伊野氏いわく、ピンチ、スライド、フリックといったスマートフォンならではのインターフェースは、開発者の妄想を広げるが、その多くは実際に採用すると何かと不都合が起きやすいという。例として同氏は、『釣りスタ』移植時に検討したスマートフォン向けの入力方法を紹介。画面をフリックして竿を投げる、またはスライドで投げるというのを当初は考えていたそうだ。しかし、いざ実際にやってみるとフリックだと片手で操作するのを想定した場合遠くまで投げづらいうえに、右手だと右に投げづらく逆も然りと、遊ぶ人がストレスを感じてしまいそうなものになった。ではスライドはどうだ? とやってみたが、こちらは初めて触る人が理解できないのでは、という懸念が生まれる。けっきょく、直感的でわかりやすいタッチ操作で竿を投げるアクションを再現することになった。“わかりやすさとストレスフリー”、これが移植において大事なことのようだ。
もうひとつ、ページのデザインにおいてもフィーチャーフォンとスマートフォンでは変化を加える必要がある。フィーチャーフォンではキー操作を行うため、ボタンを押していけばリンクの位置が勝手にハイライトされるので、どこで何ができるのかが自然と理解可能だ。一方、キー操作を有さないスマートフォンだと、リンクの位置は実際にタッチしてみるまでわからない。もしそれが目立たないものだったら、「一生気づかれない可能性がある」(伊野)という。なので、リンクの位置を枠で囲む、テキストだけでなくアイコンも併せて視認性を高める必要があるのだ。また、iOS以外の端末ではタッチ1回でページ最上段に戻るという入力ができない場合があるので、その対策も重要。GREEの『探検 ドリランド』では最上段のヘッダ部分におもなメニューが並べるのに加えて、最下部のフッター部分にも同様のメニューを並べることで、ユーザーのストレスを極力減らすという工夫がされている。
そのほかセッションでは、iOSが対応していないFlashの変換ノウハウなどが紹介された。こちらはかなり専門的な内容になっているが、近日中に“移植how to”がGREEのDeveloper Centerにて公開されるので、興味がある人はチェックしてほしい。
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