神(を操作する)ゲーがより美しく蘇る!
1990年、スーパーファミコン用ソフトとして発売された『アクトレイザー』。本作は、プレイヤーの分身たる神を操る横スクロールアクションのアクション・パートと、天使を動かして人間を助け繁栄させ、ときには魔物の群れから町を守るシミュレーションのクリエイション・パートとを併せ持つ非常にユニークな作品だ。
そして31年後の2021年、ビジュアルやサウンドを新たにし、数々の追加要素とともに同作を復活させたのが『アクトレイザー・ルネサンス』だ。
本作はプレイステーション4やニンテンドースイッチ、Steamなどでも配信されているほか、スマートフォンでも買い切り型のアプリとして楽しむことができる。
今回はそんな『アクトレイザー・ルネサンス』の魅力を、システム面とストーリー面の両方から紹介していこう。
神となり人々を導く
世界が魔王・サタンの手に落ち、もはや大地に人の居場所がないという状況から本作はスタート。神として魔を払い、人々の安寧を取り戻すことが目標となる。
ゲームの流れとしては、横スクロールアクションでステージを攻略していくアクション・パートと見下ろし視点で人々を導き繫栄させていくクリエイション・パートをくり返していく。
ゲームの流れとしては、横スクロールアクションでステージを攻略していくアクション・パートと見下ろし視点で人々を導き繫栄させていくクリエイション・パートをくり返していく。
本作では複数の地域を順番に解放・繫栄させていくのだが、アクション・パートは各地域の最初と最後に挑むこととなり、ステージはそれぞれACT1、ACT2と呼ばれる。
アクション・パートは横スクロールで展開するステージを進み、最奥に待つボスと戦うオーソドックスな内容だ。ステージ内には最大HPなどを増やすアイテムも配置されており、探索要素も備えている。
スーパーファミコン版はアクションの難度がなかなかに高かった本作だが、『アクトレイザー・ルネサンス』ではそもそものHPが原作よりも増え、無敵時間の長いバックステップが追加、攻略中に攻撃力アップや自動復活などの効果を得ることもできるなど、お助け要素も多く用意されている。
序盤は敵の動きなどがシンプルなこともありサクサク進められるが、地域が進むにつれてステージ構成や敵もハードになっていくため、手軽ながらに歯ごたえも楽しめるだろう。
序盤は敵の動きなどがシンプルなこともありサクサク進められるが、地域が進むにつれてステージ構成や敵もハードになっていくため、手軽ながらに歯ごたえも楽しめるだろう。
ACT1をクリアーすると始まるクリエイション・パートは、神殿しかない土地にふたりの人間がいるだけの状態からスタートする。
こちらでは天使を操作し、人々を導いて土地を拓き、襲い来る魔物を矢で撃ち落とし、ときには雷や雨といった天候を操る魔法を使って障害物や施設を破壊して人間の発展を手助けしていく。
こちらでは天使を操作し、人々を導いて土地を拓き、襲い来る魔物を矢で撃ち落とし、ときには雷や雨といった天候を操る魔法を使って障害物や施設を破壊して人間の発展を手助けしていく。
発展部分に関してはほぼ自動で行われ、プレイヤーの操作が重要になってくるのは街の防衛部分だ。
クリエイション・パートではときおりモンスターが大挙して押し寄せ、街を破壊しつつ神殿を目指して進軍してくる。
これに対抗するべく防衛施設を建設・強化し、土地ごとに登場する英雄たちに指示を出し、天使の魔法も駆使しながら街を守るわけだ。
クリエイション・パートではときおりモンスターが大挙して押し寄せ、街を破壊しつつ神殿を目指して進軍してくる。
これに対抗するべく防衛施設を建設・強化し、土地ごとに登場する英雄たちに指示を出し、天使の魔法も駆使しながら街を守るわけだ。
異なるゲーム性を併せ持つ本作だが、難易度はいつでも変更することができるので、苦手なパートに挑む際だけ難易度を下げるといったことも可能。
クリアーまではノーマル難度で10時間程度。さらにクリアー後に解放されるコンテンツも用意されており、ほどよいボリューム感で楽しめるのもポイントだ。
プレイヤーは神、でも主役は天使!?
本作はプレイヤー自身が神となる、言葉通りの神ゲーだが、物語面に着目すると主人公はむしろ地上と神のあいだを取り持つ天使と言える。
天使はクリエイション・パートの操作キャラクターとなるだけでなく、イベント発生時にもさまざまなリアクションを見せてくれるのだが、これがなかなかにイイ性格をしている。
序盤は明らかに人間を見下した態度を見せ(天使なので見下すのは当然とも言えるが)、なかなかなナマイキぶりを発揮してくれる。
天使はクリエイション・パートの操作キャラクターとなるだけでなく、イベント発生時にもさまざまなリアクションを見せてくれるのだが、これがなかなかにイイ性格をしている。
序盤は明らかに人間を見下した態度を見せ(天使なので見下すのは当然とも言えるが)、なかなかなナマイキぶりを発揮してくれる。
本作では神が会話に参加することはなく、人間については地域が変われば当然登場人物も変わるため、ゲームを通して一貫して登場するのは基本的に天使だけだ。
最初こそナマイキぶりが目立つ天使だが、ゲームを進めるにつれて人間に寄り添うようになっていき、発言も(多少)柔らかいものに変化していく。
神となり人を導く本作だが、ストーリー部分については天使の成長を見届けるところがメインである、といっても過言ではないだろう。
各地域にはクリエイション・パートでユニットとして戦ってくれる英雄が存在し、こちらに関するストーリーも用意されている。
英雄も陽気な戦士におどおどした魔法使い、一見軽薄な銃使いなどバリエーションに富んでおり、神への信仰に対するスタンスやまわりの人々に対する態度も千差万別だ。
英雄も陽気な戦士におどおどした魔法使い、一見軽薄な銃使いなどバリエーションに富んでおり、神への信仰に対するスタンスやまわりの人々に対する態度も千差万別だ。
序盤は人々の神に対する信仰が問われる場面が描かれる一方で、ときには逆に神(プレイヤー)の人間たちに対する信頼が試されるような展開も用意されている。
ストーリーはクリエイション・パートの合間にイベントとして展開するためボリュームはコンパクトだが、さまざまなかたちで神と人との関りが描かれる点は十分に楽しめる。
個人的な見解としてキャラクターの無事を願える作品は名作である、というのがあるのだが、今作も後半ではハラハラさせられる部分があり、その点でも非常に楽しめた。
クリエイション・パートでイベントが矢継ぎ早に発生した際のテンポ感はやや気になったものの、ゲーム全体としてのテンポ感もよく、アクションとシミュレーション、どちらを楽しみたい人にもオススメできる作品だ。
前述のように難易度調整で遊びやすくすることもできるので、ゲーム性やビジュアル、そしてナマイキ天使の成長や多角的に神への信仰が描かれる物語が気になったなら、ぜひともプレイしてみてほしい。