世界有数のパブリッシャーがTGSでパートナー探しを計画中!いま世界で盛り上がりを見せているチャンスゲームとは?世界市場を開拓したキーマンにメールインタビュー
2023-09-08 18:30 投稿
世界を股にかけるパブリッシャーがTGSに参戦!
2023年9月21日より開幕する東京ゲームショウ 2023(以下、TGS2023)に、マッドネス・ベンチャーズというチームがブース出展するという。こちらのブースはスマホで遊べるチャンスゲームを主軸に世界展開をするインキュベータープログラム参加者の募集や、当該プログラムの解説・商談が行われるという。
はたしてこのマッドネス・ベンチャーズはどのようなプロダクトを手掛け、そして何を求めて日本の開発会社を探しているのだろうか? また、チャンスゲームとは一体何なのか? そしてその市場規模や今後の可能性は? こうしたさまざまな気になる点について、同社の代表であるズヴィカ・パクラ氏へのメールインタビューなどが行えたので、その内容をお届けしていこう。
■ズヴィカ・パクラ氏
チャンスゲームは世界規模で成長中の新たな市場!
メールインタビューをお届けする前に、まずはマッドネス・ベンチャーズという企業がどういった組織なのかをまとめていこう。
マッドネス・ベンチャーズとは、2022年8月に世界的なモバイルゲームパブリッシャー、Pixel United(ピクセルユナイテッド)の一角を担うProduct Madness(プロダクト・マッドネス)社により発足したインキュベーションプログラム。
プロダクト・マッドネス社がこれまで手掛けてきたタイトルの代表例としては『Heart of Vegas』、『Cashman Casino』、『Lightning Link Casino』が挙げられる。これらのタイトルは日本のゲームユーザーにはあまり馴染みのないものだろう。しかしこれらは世界的な成功を収めているタイトルであり、チャンスゲームというモバイルゲームジャンルを開拓し、発展させたタイトルたちでもある。
しかし、そもそもチャンスゲームという市場はいかほどのものかと言う疑問は残る。そこでアメリカのApp Store売上ランキングをTOP100まで調べてみたところ、その中には22タイトルものチャンスゲームがランクインを果たしていた。
なお、その中にはプロダクト・マッドネスからリリースされているアプリも2タイトル含まれており、同ジャンルの中では最高位2位を獲得しているのを確認。(2023年9月5日時点)
アプリ内広告でもチャンスゲームの広告をよく見ることから、世界的には大きく成長しているジャンルだということは薄々感づいていたが、想像以上の規模になっているようだ。
またそれらを裏付けるように、プロダクト・マッドネスの公式ホームページには、同社が手掛けるチャンスゲームのダウンロード総数が2億回以上を記録し、MAU総計も500万ユーザーに至っていることも記されている。
マッドネス・ベンチャーズはそんな強大なバックボーンから生まれたインキュベーションプログラムであるようだ。国内ではまだ開拓・研究されていないノウハウも多量に持っていることだろう。
ただ、マッドネス・ベンチャーズはまだ発足してから約1年ということもあり、マッドネス・ベンチャーズ名義でリリースされたタイトルは存在していない。しかし今回メールインタビューをするにあたり、現在開発が進められているアプリの参考画像をお送りいただけた。このことからも、内部ではすでにいくつものラインが動いていることがわかる。本格始動に向けての暖機運転は万全といった様子だ。
気になるアレコレを聞いてみた
それではさっそく、メールインタビューの内容をお届けしていこう。
東京ゲームショウに出展する目的や、どのようなパートナーを探しているのか、そしてなぜ日本国内でパートナー探しを始めようと思ったのか。どのようにパートナープログラムに応募できるのかなどを聞いてみたので、ぜひ参考にしてみてほしい。
マッドネス・ベンチャーズとは?
――まず「マッドネス・ベンチャーズとは何か」というところからお教えいただけますでしょうか?
ズヴィカ・パクラ氏(以下、ズヴィカ) マッドネス・ベンチャーズは2022年8月に発足した、ゲーム開発インキュベータープログラムです。その目的はモバイルゲーム開発者を支援し、フリー・トゥ・プレイの革新的なチャンスゲームでモバイルゲームコンセプトを構築し、テスト、販売することとなっています。
このプログラムは、アーリーステージのフリー・トゥ・プレイ・モバイル・ゲーム・コンセプトを持つゲーム開発チームに対し、その規模を問わず、資金提供、指導、新作ゲームのリリースに向けた全面的な支援プログラムを提供するものです。すでにマッドネス・ベンチャーズには何百ものピッチが寄せられ、日本を含む世界中の企業から数多くの開発中のゲームが寄せられています。
――マッドネス・ベンチャーズはグローバルなパブリッシャーによって運営されていると聞いていますが、その規模や特徴、強みについてお教えください。
ズヴィカ このインキュベータープログラムは、世界最大級のモバイルゲームパブリッシャーであり、数々のグローバルヒットタイトルを擁するPixel Unitedと、世界中に7000人以上の従業員を抱えるエンターテインメント企業Aristocrat Groupの一員であるProduct Madnessによって創設されました。こうした強力なバックボーンもひとつの特徴であり、強みです。
マッドネス・ベンチャーズは、運要素に基づくモバイルゲームを専門としているため、ジャンルを問わず、この要素がゲームプレイの核となる作品を求めています。
――マッドネス・ベンチャーズ・プログラムとは、どのようなプログラムになるのでしょうか?
ズヴィカ ゲーム開発チームがインキュベータープログラムに参加すると、プロトタイプの作成から、世界的なローンチの成功まで、以下の3つの段階をともに歩んでいただくことになります。
1. コアゲーム部分のプロトタイプ制作と市場テスト
2. プロトタイプを完成させる
3. 戦略的パートナーシップを組みグローバルローンチする
プロダクト・マッドネスはまた、責任あるゲームプレイに揺るぎなくコミットし、新しいゲームは運営上の誠実さとプレイヤーの楽しみを第一に考える信頼できるブランドのサポートのもとで発売されます。
――マッドネス・ベンチャーズ・プログラムは、ほかのインキュベータープログラムと何が異なるのでしょうか?
ズヴィカ 私たちが自負している点としまして、審査に通過したパートナーには経験豊富なメンターやクリエイティブ・ビジネス・法務のプロを含む、業界トップクラスの人材からサポートを得られるという点です。もちろん、各マイルストーンごとの開発資金や市場テストを行うためのマーケティング費用も提供されます。
――チャンスゲームは日本ではあまり馴染みのないゲームジャンルですが、この市場の近年の成長具合や特徴をお教えください。
ズヴィカ 私たちが求めているのは、ゲーム性に偶然性や確率の要素が強く含まれる、非常に特殊なジャンルのモバイルゲームです。運要素の強いゲームとは、ランダムな要素によって結果が大きく左右されるゲームのことです。たとえばサイコロやスピニングトップ、トランプ、ビンゴゲームなどが、そうしたジャンルのゲームとして挙げられます。
このような運要素を強く押し出したゲームは、近年急激な成長を遂げているという背景もあり、まだまだマッシュアップが開拓され尽くしていない状態です。なので、新たな組み合わせが新たな遊びとなる可能性があり、創造が楽しめるジャンルでもあります。
たとえば現在開発中のものでは、サイコロの出目に応じてプレイヤーの動きが決まるRPGなどもあります。
また市場の規模についてですが、最近の報告書では「チャンスゲームの世界の年間売上は80億ドルにも上る」と記されています。これはモバイルゲーム市場全体の約10%に相当する規模となっており、現在世界中から注目される市場となっています。
なぜ東京ゲームショウに出展を?
――この度、なぜ東京ゲームショウに出展することになったのでしょうか?その経緯や目的をお聞かせください。
ズヴィカ 日本はモバイルゲーム市場において米国に次ぐ第2位の市場であるというのが第一の理由です。私たちのチームは通常、グローバルな成長を目指す世界中のゲームチームと話をしますが、日本の市場規模が大きいため、日本の市場にアピールできるゲームを制作しているチームとも話をしたいと考えています。
みなさんが持つ日本市場への知見と、我々が持つチャンスゲームのノウハウがマッシュアップできる機会だと考えておりますので、東京ゲームショウへの出展には大きな期待を寄せていますし、当日を迎えることをいまからとても楽しみにしています。
――日本デベロッパーがこのプログラムに参加するメリットはどういった点になりますか? また日本デベロッパーはチャンスゲームなどを作る上でのノウハウをあまり持っていないと思います。協業をする上で、そういったノウハウの共有やアドバイスはもらえますか?
ズヴィカ 私たちは、すべての開発者にクリエイティブな独立性、IPの所有権、および専門家のメンターパネルからの継続的なサポートと指導を提供します。 このプログラムは、プロダクト・マッドネスの革新的なアプローチと創造性により、最も有望な新作ゲームが成功するための最良の機会を与えられるようにすることを目的としています。
――パートナーとして応募するには、どのような要件を満たしている必要がありますか?
ズヴィカ マッドネス・ベンチャーズのインキュベータープログラムでは、初期段階のモバイルゲームコンセプトを提出する開発者またはチームを募集しています。ゲームのジャンルは問いませんが、以下の条件を満たす必要があります。
– チャンスベース:中核となるゲームプレイは、運とランダムな結果の確率に基づくものでなければならず、プレーヤーの技量に基づくものであってはならない。
– 革新的であること:ゲームには革新的なエッジが含まれていなければならない。
– 野心的で拡張性があること:ゲームに大きな魅力があり、商業的な可能性があること。
――応募方法、また応募からのプロセスについて教えてください。
ズヴィカ 私たちのプロセスはシンプルですが、丁寧なものです。まずは私たちのWebサイトを見てご興味いただけるようでしたら、東京ゲームショウでの打ち合わせをしましょう。打ち合わせ時点で企画は必要ありません。また、打ち合わせしなくても応募は可能ですし、FAQページ(英語)も用意していますので、そちらもご参照ください。
つぎにプロセスについてですが、具体的な提案をいただく際にはゲームの内容が先にも挙げた3つの要項を満たしているかどうかを確認させていただきます。その結果、マッドネス・ベンチャーにふさわしいと判断されたチームには、より詳細なプレゼンテーションの提出を求め、マッドネス・ベンチャーのチームからフィードバックをさせていただきます。
最後に、マッドネス・ベンチャーズの審査チームにプレゼンテーションを依頼し、ゲームコンセプトを深く掘り下げます。この段階を通過したチームは、最終的にプロダクト・マッドネスのチームとのショートピッチに招待されます。この最終ピッチが成功すると、チームはマッドネス・ベンチャーズ・プログラムに迎え入れられ、ゲームのための資金提供を受けることができます。
――英語でのコミュニケーションができない企業でも応募はできますか? またTGSのブースに立ち寄る場合は通訳を連れて行く必要はありますか?
ズヴィカ 2023年9月21日~22日に開催される東京ゲームショウ 2023のビジネスデイには、英語圏以外の方にも対応できるよう、通訳がおりますのでご安心下さい。東京ゲームショウでの商談をご希望の方は、こちらをクリックしてTGSビジネスマッチング・システムを通じてお申し込みください。また、以下のリンクから直接メールをいただく形でも問題ありませんので、お気軽にご連絡ください。
ズヴィカ氏、チームメンバーにもクローズアップ!
――TGSのブースにはズヴィカさんもいらっしゃるのでしょうか?
ズヴィカ はい、木曜日と金曜日にブースにいますので、できるだけ多くのゲーム開発者様にお会いできることを楽しみにしています。
――ズヴィカさんの経歴や人柄について、自己紹介をお願いします。
ズヴィカ 私は20年以上にわたり、ゲーム、テクノロジー、テレコミュニケーションの分野で事業開発と戦略をリードしてきました。私は、多くの分析・モデリング技術を駆使して、新たなビジネスチャンスを探り、共に働く企業のために中長期的な戦略を練っています。プロダクト・マッドネス入社前は、ソーシャル投資オンライン・ネットワークの大手eToroのCMO、そしてウクライナの携帯電話事業者PeopleNetのCEO、Comverse Technologyのポートフォリオ担当副社長、大手携帯電話事業者CellcomのCMOを務めていました。
また、さまざまなスポーツを楽しんでいるので、そういったお話もできると嬉しいですね。
――ズヴィカさんにとって思い入れのあるゲームを教えてください。
ズヴィカ 私はとてもノスタルジックなので、『パックマン』がいまでもいちばん好きです。ときおり、昔ながらのゲームセンターに足を運び、そこで『パックマン』をプレイするのが私の密かな楽しみになっています。
――主要メンバーの紹介もお願いします。
ズヴィカ マッドネス・ベンチャーズのコア・メンバーは数名で、TGSなどのカンファレンスを訪れて世界中を飛び回り、共同経営者たちと手を携えて、可能な限り最良の方法で市場に参入できるよう支援しています。
■ヘスース・ボッシュ
プロダクト・マッドネス・スペインのジェネラル・マネージャーであり、スペインのゲーム開発者協会(DEV)の理事も務める。以前は、テクノロジーとゲーム業界で3つの会社を設立し、プライベート・エクイティ・ファームへの売却に成功した。
■タリ・ツカーマン
プロダクト・マッドネスのプロダクト・ディレクターで、ロンドンを拠点に活動中。経営コンサルティングとビジネス戦略のバックグラウンドを持つタリは、マッドネス・ベンチャーズ・プログラム内で企業をサポートするだけでなく、有望な企業とのミーティングや選考チームの一員としても活躍している。
■ニコラス・ベンシニョール
プロダクト・マッドネスのニューゲームイノベーション担当副社長。Playsoftの創設者として、これまでに50本以上のゲーム制作に携わってきた。またFree to Playのノウハウと制作プロセスへの強い理解を組み合わせて、私たちのチームに最高の作業フレームワークを提供しています。
――日本の開発会社にむけて、メッセージをお願いします。
ズヴィカ ヘスースと私は、東京ゲームショウに参加する素晴らしい才能を持つチームと会えることをとても楽しみにしております。 チャンスベースのゲーム・エコシステムは急速に成長しており、モバイルゲーム市場の中でも常に発展している分野です。日本の開発者がこのジャンルをさらに盛り上げてくれることを確信しています。
TGS出展ブース概要
出展ブース位置:ビジネスミーティングエリア(BM-7)
会期中のブース滞在時間:9月21日~22日(10~17時)
TGS特設サイト(日本語):https://madnessventures.productmadness.com/tgs/
B to Bセミナー「TGSフォーラム」にて9月21日(木)午後1時30分~2時
(セッション番号SS-03)「世知辛い世の中ですが・・ゲーム企画に出資します!」というテーマでズヴィカが講演を行います。
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