【インタビュー】『プロジェクトセカイ』の事業譲受とは?開発会社、Colorful Palette(カラフルパレット)が目指すもの

2021-01-29 13:00 投稿

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プロジェクトセカイカラフルステージ! feat. 初音ミク

“人生を彩る”コンテンツを目指して

2021年1月8日、サイバーエージェントグループである株式会社Colorful Palette(以下、カラフルパレット)は、同じサイバーエージェントグループでカラフルパレットの親会社にあたる株式会社Craft Egg(以下、クラフトエッグ)から、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク(以下、プロセカ)』を事業譲受することが発表された。

本作は2020年9月末に配信されたセガとクラフトエッグが共同で手掛けるスマホアプリで、初音ミクをはじめとしたバーチャル・シンガーが登場し、オリジナルのキャラクターたちと関わっていく物語や、有名ボカロPによる曲やオリジナル3DMVなどが楽しめる人気アプリだ。

今回の『プロセカ』におけるクラフトエッグからカラフルパレットへの事業譲受で何が変わるのか。そしてカラフルパレットが目指すものとは――。カラフルパレット代表の近藤裕一郎氏にタイトルのことや、会社のことを訊いた。

★AK-15

▲カラフルパレット代表 近藤裕一郎氏。
クラフトエッグ設立に携わった後『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』のプロデューサーを務める。
2018年にクラフトエッグから独立し、カラフルパレットを設立。『プロセカ』のプロデューサーを務める。

結論:『プロセカ』は何も変わらない

―—今回『プロセカ』がクラフトエッグからカラフルパレットに事業譲受をすることになった経緯をおうかがいできますか?

近藤氏(以下、近藤) まずカラフルパレットがどんな会社かという説明になるのですが、カラフルパレットはそもそも、クラフトエッグから生まれた新しいスタジオなんです。僕自身、クラフトエッグには立ち上げからいましたが、同じように初期からいた数人でカラフルパレットを設立しました。

『プロセカ』も発表前の企画段階から開発や運営業務をカラフルパレットで一貫して行っていました。ただ、当時はカラフルパレットには実績がなかったこともあり、クラフトエッグといっしょの名前で出したほうがいいという判断になりました。

無事リリースできて、カラフルパレットらしいゲームのつくり方と運用の仕方が受け入れられ始めて、ありがたいことに実績も出てきている。であれば、事業譲受はタイミング的にちょうどいいかという話になりました。

クラフトエッグが大事にしてきた“ユーザーの事を第一に考える”という信念は引き続き大事にしながら、カラフルパレットはカラフルパレットで“よりファンの人たちに対して良い体験を届け続けられるか”ということを意識していけたらと思います。ただ、二社とも根底にあるものは同じです。

―—開発体制においても変わらないということですよね?

近藤 そうです。何かが変わったから事業譲受が行われたというわけではなく、むしろ安定してきたから譲受できたということですので(笑) 『プロセカ』のユーザーの皆さんの中にはこの発表で不安に思われた方もいらっしゃるかと思いますが、メンバーも変わらないですし、業務で会社間のやりとりの部分が少しスムーズになるところがあるかなという位で、ゲームとしては何も変わりません。

ただしカラフルパレットとしては、会社として担う責任が大きくなったので今まで以上に頑張っていかなければなりません。

―—カラフルパレットというのはどんな思いが込められてつくられた会社なのでしょうか。

近藤 クラフトエッグは“人生を豊かにするコンテンツをつくる”というのをミッションに掲げているんですよね。カラフルパレットもそこは共通しながら、もっと解像度をあげるようなイメージにしたかったんです。つくるものもそうですし、会社のミッションや社名もそれに即したくて。そこで、“人生を彩る”という言葉を選びました。

―—それでカラフルパレットなわけですね。連想しやすい!

近藤 英文法的には崩壊していると思うんですけど、語感も大事かなって(笑) カラフルパレットの作品に触れたことを、いつかどこかで振り返った時に、「触れていてよかったな」と思ってもらえることがあるといいなと思います。

僕自身も、中学生のころからオンラインゲームにどっぷり浸かっていて、友達もたくさんできましたし、そのおかげで今こうしてゲームをつくっています。そうやって誰かの人生にとってプラスになるものをつくりたいという気持ちをずっと持っていたので、その思いが込められています。

―—カラフルパレットという名前は『プロセカ』の世界観にもマッチしますよね。

近藤 そうなんですよね。立ち上げた時点で『プロセカ』をつくることは決まっていたのですが、タイトルまでは決まっていなかったので本当に偶然ですね(笑)

―—今後カラフルパレットは他のタイトルも開発していく予定でしょうか。

近藤 もちろんいずれそうしたいなと思っていますが、目下は『プロセカ』に集中していくつもりです。

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若い世代にボーカロイドを知ってほしい

―—そもそも『プロセカ』をつくることになった経緯とはどういったものだったのでしょうか。

近藤 もともと僕は『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』に初期から携わっておりまして、それが軌道に乗り始めたときに、つぎのタイトルのことを考えなくてはなりませんでした。そんなときにセガさんから‟初音ミク”が登場するスマートフォンタイトルを一緒にやらないかというお話しがあったんです。

僕にとってもミクさんは思入れの強い存在でした。何しろ大学から社会人3年目くらいまで、自分でもボーカロイドで曲をつくって投稿していたので。だからこその悩みもあったのですが、決意を固めて頑張りますとお答えさせていただき、今に至ります。

―—『プロセカ』をつくるにあたり、まずどんなゲームにしたいと思いましたか。

近藤 自分自身曲をつくったり、毎日ニコニコ動画で熱狂してボカロ曲を聴いていたのが過去のことになってしまいました。周りにもそういう方が多くて。でもそんな中で、おこがましい言い方ですが、ボーカロイドを再び盛り上げたいという気持ちで企画を考え始めました。

この”ボーカロイドを若い人たちに広げていきたい”という気持ちがクリプトンさんやセガさんとの方向性ともマッチして、そのためにはどうしようというところから議論がスタートしました。

まず、ボカロの曲って数が多すぎてどこから手をつけていいか迷ってしまうと思うんですよね。だからある程度カテゴライズして入り口を広くしました。バンドやアイドル、ストリートやミュージカルなど異なるジャンルでユニットをつくっていく、というのが最初に決まったことですね。

―—バンドもありアイドルもある、というのはこの手のゲームでは珍しいですよね。

近藤 ボカロ曲の多様性をどうやって落とし込むかを考えたとき、本当は楽曲ごとに世界観を表現したかったのですが、それだとボカロ曲の楽曲数があまりに膨大のため現実的ではなかったんです。だからこのようにジャンルごとの世界観に絞りました。

この世界観のもとで、ミクさんたちにも多様性を出すことができました。そこにカラフルパレットが得意とする現実世界に軸をおいた青春群像を生かしたシナリオを取り入れて、オリジナルキャラクターが生きる現実世界と、ミクさんたちがいる異世界を行き来するストーリーが完成しました。

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―—バーチャル・シンガーのキャラ解釈は受け手に委ねられているという側面もあります。彼らにキャラ付けをし、ストーリーに絡ませるのはかなり難しかったのではないでしょうか?

近藤 そうですね。バーチャル・シンガーにキャラクター性を取り入れるというのは一種のタブーを犯しているという自覚はありました。一方でそこに覚悟をもって踏み込んでいかないと、若い子たちに受け入れられる作品に仕上げるのは難しいとも思っていました。

―—『プロセカ』ではバーチャル・シンガーたちが見守りながら応援してくれるポジションにいますが、あの距離感がいいなと思いました。とくに作り手だと、ボーカロイドがあったから活動ができて今につながったという方もいて、彼らのことを本当に“自分を応援してくれる存在”だと思っていた方も多かったかと思います。

近藤 ありがとうございます! そう言っていただけると嬉しいですね。ミクさんたちの設定を作っては、往年のボカロファンの方々や、クリプトンさんやセガさんとたくさん相談して、擦り合わせていきました。最初の半年くらいはとても苦労しましたね。

―—カラフルパレットのコンセプトとして“彩る”というワードをあげられていましたが、『プロセカ』はいかがでしょう?

近藤 そうですね……。『プロセカ』ってデザインはカラフルな感じがしますけど、このビジュアルから受ける印象に反してストーリーはそこまでキラキラしていないものが多いんですよね。全年齢作品だからといって綺麗なものにしようとすると、どうしてもご都合主義的なものになって、「物語の中の話だよね」って思われてしまう。だから、より共感してもらいやすいように現実的な問題を置き、それに向き合っていく内容にしていくように意識しています。

ボカロ曲を扱う上でも、綺麗なものばかりを描くのは何か違うなと思ったんです。むしろボカロの人気曲はダークなものも多く、そこも当時の若い層が抱えていた葛藤で、それが支持されていたわけですし。そういうところを表現しようとすると、綺麗なものだけでは表現できないですよね。

―—若い世代が共感しやすいストーリーにしているわけですね。

近藤 共感してもらえたらいいなと思います。でも「こうだからこうしたほうがいい」っていう何かを押し付けるつもりはないです。

中学生とか高校生って嫌なことがたくさんあると思うんですよ。大人たちにとっては些細なことであっても、その子たちにとってはすごく重要なことです。『プロセカ』のキャラクターたちも同じような局面に向き合って、立ち向かっていきますので、そこから少しでも勇気や元気をもらえたらいいのかなと思っています。

―—いつか振り返った時に、「よかったな」と思う、そんなカラフルパレットのコンセプトに沿ったストーリーが作られているのですね。

近藤 そうですね。みんながみんな一生応援してくれるのは難しいと思いますが、「やっててよかったなあ」と思ってもらえるものがつくれていたらうれしいです。

さらなる感動体験を

―—『プロセカ』は一気に人気コンテンツとなりましたが、手応えはどうでしょうか?

近藤 あまり実感はないですね。ただただ必死にやって、まだまだやらなければならないこともたくさんあって、その途中という感じです。でも Google Playさんのベストオブ2020のユーザー投票部門で最優秀賞をいただけたのは嬉しかったですね。

僕らは純粋にファンの方々のためにいつでも全力で仕事をしているつもりなので、ユーザー投票一位というのは、それが少しでも伝わったのかなと思いました。

静止画


―—今後の展開などを教えていただけますか?

近藤 ユーザーの皆さんが求めているものは時間をかけてでも少しずつ追加していく予定です。ご要望いただいていたフレンド機能の追加も、何回かに分けてアップデートを実施していくと思います。最初はただフレンドになるだけの機能になると思いますが、今後はフレンドといっしょにバーチャルライブに参加したり、フレンドといっしょに「みんなでライブ」を遊べる機能などもを考えています。

ただ、そういったご要望を追加していくのは当然のこととして、さらなる感動体験をつくらないといちユーザーからファンには変わってくれないとも思っています。そして感動というのは、期待を超えたものが提供されないと生まれないので、今もサプライズを仕込んでいたりしますね。発表できるのはそんなに遠くない時期だと思います。

小刻みに発表すると感動が薄れてしまうので、どんな内容かはまだ秘密にしておきます(笑) ぜひ楽しみにしていてください!

―—ありがとうございます、最後に読者の皆さんにメッセージをお願いします。

近藤 クラフトエッグからカラフルパレットになって驚かれた方もいらっしゃるかと思いますが、『プロセカ』は、企画から今までずっとカラフルパレットのメンバーが頑張ってくれていますし、私を含め、これからもメンバー一同『プロセカ』に尽力していくつもりです。

なるべく長く応援していただけて、「応援しててよかったな」と思えるコンテンツにしていきたいなと思っています。引き続き応援よろしくお願いいたします。

プロジェクトセカイカラフルステージ! feat. 初音ミク

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
このゲームの詳細を見る
メーカーセガ
公式サイトhttps://pjsekai.sega.jp/
公式Twitterhttps://twitter.com/pj_sekai
配信日配信中
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