『逆転オセロニア』いちこ(お泊まりスクープ)/世界のザキヤマが独断と偏見で選ぶ推し駒`s 【FILE215】
2024-07-13 19:00
2020-09-07 13:30 投稿
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逆転オセロニア
2020年9月2〜4日に、CESA主催で開催された開発者向けカンファレンス“CEDEC 2020”にて、セッション“運営がコンテンツ化する時代〜2020年代 ポストソーシャルゲーム時代に向けて〜”が開かれた。
本セッションでは、DeNAが配信するスマートフォンアプリ『逆転オセロニア』のプロデューサーである香城卓氏が登壇。
本作の運営陣のこれまでの活動を例とした“運営がコンテンツ化する時代”と、“ポストソーシャル時代の5大予想”と銘打ったふたつのテーマが語られた。
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【講演者】
香城卓 氏
株式会社DeNA
ゲーム事業部 プロデュース統括部
『逆転オセロニア』プロデューサー
2011年DeNA入社。2014年より『逆転オセロニア』を企画・開発。コミュニティドリヴンの事業運営を自身のスタイルとし、現在はプロデューサー“けいじぇい”の愛称のもと、同タイトルの事業運用を担当している。
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まず香城氏は、同社が手掛けるアプリ『逆転オセロニア』を紹介。
本作は初期の事業推移が話題になることが多く、リリースから11ヵ月は下這いの状態が続いたが、以降は爆発的に成長。これにはプロモーションも影響しているが、その裏側では全国各地でファンミーティングを積極的に開催していた背景もある。
「50000人がこのゲームを遊んでいたとしても、それぞれのプレイヤーは、自分以外の49999人が遊んでいることを知らない。それを実感できるように、自分の街にも同じゲームのプレイヤーがいることを感じてもらうことが大切」と同氏は語った。
また2016年から続く施策の礎は、プロダクトそのものではなく、「それを取り巻く人の集合知こそが価値を決める」との考えかたによるものだという。
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たとえば「これからラーメンを食べに行こう」という状況があったとする。2店へのアクセス時間はほぼ同じなので、後の判断材料は味の好みが大きい。
しかしここでレビューサイトを覗いてみると、どうしても評価点の高いほうに傾くことは否めない。「この数字を見て心の中に起きた変化こそが現代の本質」。非常にわかりやすい例と言えるだろう。
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現代のゲームを取り巻く環境は、応援してくれる人たちをいかにつながていくかというコミュニティマジメネントやデザインが非常に重要な時代であり、これを経ずにマーケティングを仕掛けても、まったく響くものではないようだ。
ちなみに『逆転オセロニア』では、“オセロニアンの宴”をはじめとしたリアルイベントを、年間30本以上開催している。
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近年はバトルロワイヤル系のゲームなどで、メタバース(仮想空間)というワードを耳にすることもあるが、『逆転オセロニア』ではそれをゲーム内ではなく、リアルで作り上げることがそもそもの施策としてあった。
香城氏は自ら各地に足を運び、多くのユーザーとコミュニケーションを取りつつ、交流の場を提供しており、「運営とユーザーというより、自分の大事な知り合いにゲームを届けている感覚」という言葉は、氏の考えかたをわかりやすく示したものと言えるだろう。
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しかし『逆転オセロニア』は、2018年1月に登場したキャラクターによる対戦環境の変化により、ユーザー離れが起きてしまうことになる。
対戦ゲームについてまわる命題に対戦環境の平均化があるが、該当のキャラクターたちはその強力さによってそれを大きく壊してしまったのだ。
その性能は過剰で、先攻時にそのキャラクターを使うと、勝率が80%を越えるような事態に。この環境下では運が多分に絡んでしまうことになり、不満を抱くユーザーが増加した。
運営としてもこの問題の解消に力を注いで来たものの、抜本的な解決には至らず、アクティブユーザーの数は徐々に低減していくこととなる。
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これを受けて、まずは2019年に向けて用意していたプランをストップし、これらの課題と向き合う方針を決定。
そして2019年8月31日に実施した“運営方針説明会”では、データを詳細に開示し、2020年1月1日から問題を解消することを表明した。
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ライブ配信もされた本イベントはまるで株主総会のような様相を呈し、ソーシャル運営としては異例のスタンスだったことから、多くのユーザーの支持を得ることになった。
しかし、ここで新しい問題が発生してしまう。翌日9月1日から登場する新キャラクターを紹介したPVが、これまで「明らかに強力」とされていたキャラクターの性能をさらに強化するような内容だったのだ。
これは内部での連携ミスであり、意図したものではなかった。また結果として該当キャラクターが環境悪化を助長したわけではなかったのだが、香城氏が発表した内容との乖離に不満を抱くユーザーがいることは至極当然であった。
事実、翌日9月1日には、香城氏が訪れていたファンミーティングの会場に、直談判をしに来たユーザーもいた。
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香城氏は「プレイヤーの意見を参考にしつつ、環境改善に努める」ことを掲げ、「叩かれても絶対に逃げない」というスタンスを貫き、4ヵ月のあいだライブ配信でも多くの質問に答えていった。
そして迎えた2020年1月1日の対戦環境は、100点ではないものの致命的な点が確実に改善されたものだった。
これに辛口な意見が多いユーザー、コアコミュニティに属するユーザーらが「『オセロニア』、よくなったよ」とSNS上で発信したこともあり、本作を離れていたユーザーの復帰も見られた。
結果、アクティブユーザー数は低迷期の2倍以上にまで到達することに。
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ここまでの話を踏まえ、「運営が歩んできたストーリー(プレイヤーや課題への取り組みかた)こそが大きな評価軸となっており、それがゲームを選ぶ基準になっている」と香城氏は語る。
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しかし、コロナ禍により2020年内のリアルイベントは自粛を余儀なくされることに。
リアルイベントでのコミュニティ作りに励んできた『逆転オセロニア』にとって、ほかのソーシャルゲーム以上の痛手であったことは想像に難くない。そしてこれを受けて、新たな形式のオンライン大会を開催することが決定した。
本大会はZoomを利用した2対2のチーム戦が特徴。同氏は「コロナ禍で会えないからこその、絆を感じられるイベント。新しいコミュニティマネジメントの形として切り拓いていきたい」として、本議題を締め括った。
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続けて香城氏は、“ポストソーシャルゲーム時代の5大予想!”と銘打ち、自身の予想が以下の5つであると述べた。
1、“ファン”という言葉の定義が変わる
2、コミュニティがオープンから“クローズド”へ
3、会社でも個人でもなく“チーム”が業界の単位になる
4、“お金の使いかた”が最大のマーケティング手法になる
5、“運営”というストーリーのおもしろさでゲームが選ばれる
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ファンの定義にはさまざまな解釈があるが、「コンテンツを遊んでいる人がユーザー、コアユーザーがファン」というのが一般的ではある。
しかし香城氏はこの図式が今後変わると見ており、「コンテンツを遊んでいる人がユーザー、運営を好きな人がファンになるのでは」と予測。
具体的には、より運営の存在が可視化、引いてはパーソナリティも注目されるようになり、「“あの運営が好き”という人たちこそが、そのゲームのファンになる」と語った。
運営面では、無機質なテキストによる説明や、そのゲームの目指すべき場所が見えないと支持されにくい時代になる、というのが同氏の主張。
「たとえばYouTubeチャンネルなどは“○○公式チャンネルではなく、○○運営チャンネル”といった名称に変わるのでは。スタンスが広く認知されない運営形態は意味がなくなってくる」とも予想した。
続いては、コミュニティについての予測だ。「この時代でもすでに起こっているし、ここからは加速度的に進んでいく」と付け加えたうえで、香城氏は昨今のネット上の誹謗中傷問題を例に挙げつつ、「このゲームを楽しみたいと思っている人たちにとって、痛ましいコメントや誹謗中傷は見たくないという人が潜在的に増えている」と切り出す。
「好きなスタンスの人たちと、好きなゲームの話をしたい」人たちにとっては、クローズドのLINEグループのような形のほうが居心地はよい、ということだ。
香城氏は「『逆転オセロニア』では、対戦が強い人たち以外にも、二次創作を楽しんでいる人たちも、飲み会などのコミュニケーションが好きな人たちもいる。楽しみかたが多様化している場合、そういった人たちだけで固まる流れができ上がり、より細分化していく」と語った。
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香城氏がゲーム業界に憧れていた90年代には、パブリッシャーのブランド化や、クリエイター個人がフィーチャーされる動きもあった。
しかし、今後は会社でも個人でもなく“チーム”が重要な単位になるのでは、と同氏は予想する。新作がリリースされる場合、ユーザーの多くは運営企業をほぼ意識しておらず、クリエイター個人への関心も薄くなってきているという。
同氏はこれから起こるムーブメントについて、「Aというゲームを作ったチームが、Bというゲームをリリースすることが注目されるようになる。運営しているチームが切り口になっていくのでは」とコメント。
また、これは中国では3年ほど前からすでに起こっている潮流とのことで、ヘッドハンティングの場合は個人ではなくチームごと買収する流れになるとも予想した。
香城氏は、「ここまでに紹介した3つに比べると遅れることになるかもしれない」と前置きしたうえで、「ソーシャルゲーム業界だけではないが、リテラシーが極めて上がっており、今後はより加速していく」と予想。そして「あくまで自分の感覚」としつつも、2010年代を「“セールスランキング”の10年間だった」と定義した。
同氏は近年のマネタイズ手法として、ライブ配信のギフティングを例に挙げ、この流れがソーシャルゲームにも生まれてくるのでは、と予想。
具体的には、ユーザーが「この運営にお金を預けると、こういう使いかたをするのか」といった面から、ゲームを選ぶ時代になるとのことだ。
ソーシャルゲームで言えば、売上をプールしたり別の事業に回すのではなく、新イベントやサーバー増強によるローディングの短縮など、ユーザーに還元することが可視化されれば、運営サイドに好感度を抱くフックになるのではと語る。
付随してマーケターの仕事が変わり、「これまでマーケターは集客をすればよかったが、今後は“共感”をどうやって作っていくかが課題となる。それが“お金の使いかた”に収斂されていくのでは」と発言。
「どれだけ利益があったのか、ではなく、売上をユーザーや世の中に還元していくかが注目されていくのではあれば、2020年代はある意味健全」とし、同氏は本題を締めくくった。
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最後となる5つ目の予想は、運営が歩んできたストーリーの重要性について。
セッションでは本題にいたるまでゲームの詳細な画面は一切紹介しておらず、ここまでの内容自体が『逆転オセロニア』運営が歩んできたストーリーであった。
香城氏は“YouTuberの炎上”を例に、「そのYouTuberの動画は見たことがないが、炎上したことは知っている」、「あのときは炎上したけど、いまは盛り上がっている」といった情報は認知している人が多いとし、「ゲームのおもしろさ、運営のおもしろさというふたつの軸が両輪となり、ソーシャルゲームの評価が決まっていくと確信している」と主張した。
セッションの最後には質疑応答の時間が設けられ、さまざまな質問が飛び交うことに。
昨今話題になったEpic Games対Appleにまつわる一連の騒動について、多くの人が感心を寄せていることに関しては、「問題となっているのはゲームのおもしろさとは別軸の話。あのストーリーに対して賛否両論があり、盛り上がりを見せていることこそ、“運営がコンテンツ化する時代”らしいと感じている」と、同氏の主張に沿ったコメントを残した。
そのほか立場上答えにくい議題についても、香城氏は時間いっぱいを使い応答。和やかな雰囲気の中、本セッションは終演を迎えた。
対応機種 | iOS/Android |
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価格 | 無料(アプリ内課金あり) |
ジャンル | RPG/テーブルゲーム |
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メーカー | DeNA |
公式サイト | https://www.othellonia.com/ |
公式Twitter | https://twitter.com/Othellonia_info |
配信日 | 配信中 |
コピーライト | オセロ・Othelloは登録商標です。TM&Ⓒ Othello,Co. and Megahouse / © DeNA Co.,Ltd. |
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