雷神・“トール”ご一行、巨人の国で早食い駆け足大飲み対決に挑むの巻【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第22回】

2020-03-18 12:00 投稿

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さらにいまならバンダイチャンネルで名作アニメも見放題ときたもんだ!!

編集U「で、夜更かしした挙句に極道入稿かました、と……」

……。ってことで!

数年ぶりの『スクライド』を見終わって『グランゾート』視聴中のなか、今週も“元ネタの世界”!

今週もま~たまた北欧神話! 相も変わらずトール&ロキが行く冒険記でございます!

これまで紹介したエピソードでは巨人たちを瞬殺してきたトールですが、ウートガルザ・ロキという巨人の王が統べる魔法の都ではそうもいかず……?

んでは、ヒーヤウィーッゴー!!

【目次】
・出発! トールご一行!
・怪奇! 巨人・スクリューミル!
・対決! ウートガルザ・ロキ!
・衝撃! その真相は!
・次回は雷神VS石の巨人!

出発! トールご一行!

今回のお話は、人間たちの守護者でもあるトールが、人々を脅かす霜の巨人を懲らしめんと巨人族の国、つまりはヨトゥン・ヘイムまで乗り込むって内容でございます!

ヨトゥン・ヘイムに詳しいロキも引き連れ、ついでにいろいろあってシャールヴィという若者も旅に加わることになりました!

20200317_トール巨人王 (1)
20200317_トール巨人王 (2)
20200317_トール巨人王 (3)

編集U「ウワータノモシイナー」

ちなみにですが、ここで以前話したトールの戦車を引くヤギ(馬)を食べてからミョルニルで蘇生、というトール式サバイバル術も披露されていますね!

が、ロキの悪だくみによって後ろ脚の骨が傷つけられていたため、復活したヤギは後ろ脚を引きずるようになってしまったとか!

こうしてトール一行は徒歩でヨトゥン・ヘイムへ向かうことに!

編集U「つくづく思うが、よくロキはトールにブッ飛ばされないな……」

ま、まぁそのへんの悪運(?)の強さもトリックスターたる所以でしょう!

では、ヨトゥン・ヘイムに突入してからの様子をどぞどぞ!

怪奇! 巨人・スクリューミル!

ヨトゥン・ヘイムに入ったトールたちは山のなかを一日中歩き回り、日も暮れてきたころに寝床を探し始めます。

すると、一行の前に現れたのは巨大な、そして奇妙な形をした家でした。

家の入り口は家と同じぐらいに幅広く、内部には家具も何もなく、中に入ってみると内側でさらに5つの部屋に枝分かれしていたのです。

20200317_トール巨人王 (4)

編集U「何かなぞなぞみたいだな」

言い得て妙ですね!

無人の家でひとまず一泊することにした一行でしたが、どこからともなく恐ろしい地響きのような、うめき声のような、不気味な音が響き始め、トールたちは一晩中悩まされていました。

朝になって一行が外に出てみると、彼らは昨夜聞いた異様な音の正体を知ることとなります。

彼らの眼前には、山ほども大きい巨人が眠っていたのです。あの不気味な音は、巨人のいびきだったのです。

編集U「あ~、あるある」

あるあ……る……?

目を覚ました巨人が立ち上がると、身の丈が自分の数倍はあろうかという巨体にトールも思わずたじろぎます。

「おや、なんだいお前さんたち。まぁいいか。ところで、オレの手袋がどこにあるか知らんかね」

と言ってあたりを見回した巨人は、「ああ見つけた」などと言いながらトールたちがいた方向に手を伸ばすと、巨大な手袋を拾い上げました。

そう、トールたちが巨大な家だと思っていたのは、巨人の手袋だったのです。

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呆然とするトールたちに、スクリューミルと名乗った巨人は道案内を申し出ます。

巨人の王であるウートガルザ・ロキのもとへと導いてくれるという巨人の提案を受け入れ、一行は再び旅を続けるのでした。

さて、王城への道のりでスクリューミルがトールたちから食料を騙し取ったりいびきがうるさくて夜も眠れなかったりと、トールはもう我慢できず!

とうとうミョルニルをスクリューミルの脳天に叩きこむ! のですが、スクリューミルは木の葉が落ちたか、鳥の巣か、とまったくのノーダメ!

3度に渡るミョルニルアタックも虚しく、けっきょくスクリューミルは王城の近くでトールたちと別れていったのでした!

そんなこんなで、トールたちはウートガルザ・ロキの城へ!

対決! ウートガルザ・ロキ!

城門は固く閉ざされていたものの、柵の隙間から入り込むことに成功したトールご一行。

城内の巨人たちには目もくれず、まっすぐウートガルザ・ロキのもとへと向かい、巨人の王に向かってうやうやしく礼をしました。

編集U「巨人でもさすがに王の前となると礼儀正しいのか」

正直トールだったら問答無用でミョルニルぶっぱしそうなイメージもあるんですが、スクリューミルに一本取られたことで若干弱気になっていたのやも……?

しかしウートガルザ・ロキは冷たい視線をやるばかりで、しばらくは口も開いてくれません。

しばしの沈黙が続いた後、あざけりを込めた様子でウートガルザ・ロキは言いました。

「お前たちの長旅の話などは、聞いても退屈するに決まっている。

そこのお前、お前はきっとアースガルズのトールだろう。お前は強いかもしれないが、いったいどんな技を持っているのだ?

自慢の技のひとつもない者は、この王城から即刻立ち去ってもらわねばな」

トールはむっとして答えもしませんでしたが、そこでロキが声を上げます。

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「王よ、私は早食いならば誰にも負けはしないぞ。

ちょうど歩き回って腹も空いてきたところだ、誰でもいいから私と勝負させてみよ」

おもしろい、とウートガルザ・ロキは家来のなかからロギという者を呼び出し、ロキとの勝負を受けるように命じました。

用意されたのは長く伸びた桶。なかにはたくさんの肉が詰め込まれており、両端から両者が肉を食べつつ突き進み、最終的にお互いがぶつかった位置で勝者がわかるというものでした。

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空腹だったこともあり、ロキは餓鬼もかくやというほどにすさまじい勢いで肉を平らげていきます。

対するロギが進むスピードも大したもので、両者はちょうど桶の真ん中で衝突します。

これは引き分けか、と思ったロキでしたが、目の前に広がる光景に愕然とします。

確かに両者は桶の真ん中で衝突しましたが、ロキは肉だけを食べていたのに対し、ロギは肉も骨も、それどころか桶そのものまで平らげていたのです。

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ガシィィン! と魂を掴まれたロキは人形に封じ込められ……、はしませんでしたが、勝敗は明らかでした!

編集U「余計なパロディはいいんだよ!!!」

やれやれ、と言いたげなウートガルザ・ロキの前に、今度はシャールヴィが歩み出ました。

「王よ、私は脚の速さなら自信があります。ひとつ駆け足で勝負しましょう」

「よかろう」

そうしてつぎにウートガルザ・ロキが選んだのは、とても背の低いフギという男でした。

シャールヴィは3度勝負に挑みましたが、いずれもフギが圧倒的な差をつけて勝利してしまいます。

20200317_トール巨人王 (9)

編集U「雑パロディァァーー!!!」

い、いや『スクライド』見たばっかりなんで、つい、ね……!

いよいよ後がなくなったトール一行。ここでウートガルザ・ロキはトールを指名してきました。

トールは飲み比べ対決を挑みますが、ウートガルザ・ロキは「その前に腕試しをしてもらう」と角でできた巨大な杯を持ってこさせました。

「ここでは、宴の席で掟を破った者はその角杯で酒を飲むことになっている。

酒が強い者はひと口で飲み干すが、ふた口でないと飲みきれない者もいる。酒に弱い者とて、3度も口にすれば飲み干すぞ」

長旅で喉が渇いていたトールは、ウートガルザ・ロキにひと泡吹かせてやろうと、一気に杯を傾け、喉を鳴らして酒を飲んでいきました。

相当な量をひと口に飲み、そろそろ喉も潤ったと口を放してみると、杯の酒は一向に減っておらず、いまだゆらゆらと揺れています。

おやおや、とあきれ顔のウートガルザ・ロキに腹を立てたトールはもう一度、さらにもう一度、と3回に渡って杯を傾けました。

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編集U「パァァァアアアロァァーーー!!!」

いやまぁここまでやったらね!!

トールはその後も力比べで勝負しようとしますが、巨大な猫を持ち上げろと言われても片足を床から上げるのがやっとで、相撲対決ではエッリというウートガルザ・ロキの乳母にまったく勝てないという散々っぷりです。

こうして敗北を喫しまくったトールたちは、王城に一泊し、翌朝食事をごちそうになると、大人しく帰ろうとウートガルザ・ロキに暇乞いをするのでした。

そして、トールたちを城の外まで見送ったウートガルザ・ロキは、最後に秘密を打ち明けます。

衝撃! その真相は!

ウートガルザ・ロキによって語られる衝撃の事実!

じつは今回の長旅、スクリューミルとの遭遇からしてトールたちは幻術によって騙されていたのでした!

スクリューミルもウートガルザ・ロキが変身していたもので、ミョルニルを喰らっても平気だったのは、幻術で山をスクリューミルの頭と勘違いさせていたせいだったのです!

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実際、トールたちが帰る途中には山頂の潰れた山が3つほどあったそうな!

そして王城の勝負ですが、ロキとの早食い対決に勝利したロギ、その正体は“火炎”!

炎はすべてを舐め尽くしてしまうというわけです!

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シャールヴィとの競争に勝ったフギの正体は“思考”!

思考よりも速く駆けるものはこの世にないのです!

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編集U「顔近ッ!!!」

トールが飲み干そうとした杯ですが、あれはじつは世界の海につながっており、トールの飲みっぷりで世界に干き潮が起きていたとか!

その後持ち上げようとした猫の正体は、世界蛇たるミドガルズオルム!

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猫の片足を上げたときには、ミドガルズオルムの頭が世界の頂点にまで持ち上げられていたのです!

そして最後に、トールが相撲で勝てなかった乳母の正体は“老い”!

誰も老いに打ち勝つことはできないッ!!

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このネタバラシに腹を立てたトールは王城ごとミョルニルで吹き飛ばそうとしますが、いざ目をやるとあたりに広がるのは一面の荒野!

こうして、散々に騙された雷神ご一行はリベンジを果たすこともなく、悶々としたままアースガルズへと引き上げるのでした!

~ 完 ~

次回は雷神VS石の巨人!

ってことで、今回は珍しくトールご一行がやり込められるお話でしたよ!

編集U「復讐もできないとはな……」

とは言えウートガルザ・ロキもトールが幻術をゴリ押しで突破しかけたことに肝を冷やし、「二度と来ないでくれ」的な言葉を残したそうですね!

編集U「しかしミドガルズオルムも釣られたり持ち上げられたりと、いい迷惑だよな~」

▼釣られた話

どっちのエピソードでもとくに悪さしてないですしね!

さておき、次回もま~たまた北欧神話! そしてまたもやトールさんのお話!

今度は石の巨人との決闘に挑んだお話ですよ! 今回駆け足でボロ負けしたシャールヴィくんもまさかの続投です!

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編集U「しかしこの雑さである」

まぁこれはこれで逆に味がね!(?)

さて、ほんじゃ原稿も終わったってことでアタシャまたアニメプロレスゲーム三昧の生活に戻るとしますよ!

世界最大手のプロレス団体であるWWEも、年間最大規模の大会・レッスルマニアを無観客で開催することを発表しましたからね! いやもう本当に何がどうなるやら!

んではでは、また次回!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

マッケンジー,A,ドナルド(1997)『北欧のロマン ゲルマン神話』(東浦義雄・竹村恵都子訳) 大修館書店
ラーニシュ,ヴィルヘルム(2014)『図説 北欧神話の世界』(吉田孝夫訳) 八坂書房.

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