プレインズウォーカー“ウィルとアーロン”は元々は別キャラだった!?開発の裏側に迫る『マジック:マナストライク』開発者インタビュー

2020-02-26 15:30 投稿

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マジック:マナストライク

アップデートは1ヵ月単位で

2020年1月30日にリリースされて以降、コアなゲームユーザーから支持を受けるネットマーブルのリルタイム対戦ゲーム『マジック:マナストライク』。本作は『マジック:ザ・ギャザリング』(以下、『MTG』)をテーマとした対戦ゲームになっており、『MTG』のおなじみキャラクターやクリーチャーなどが登場する点が最大の特徴となっている。

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評価が高く、リリース早々から熱狂的なファンを抱える本作だが、「なぜネットマーブルが『MTG』のゲームを作ることになったのか?」、「なぜTCGではないのか」、「どういった基準で実装キャラ(プレインズウォーカー)を選定したのか」など、気になる点は多い。

そんな中、ネットマーブル社様より『マジック:マナストライク』の開発責任者であるジャン・ヒニョル氏にメールインタビューを行える機会をいただいたので、気なること10問をぶつけてみたぞ。

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ジャン・ヒョニル
開発会社ネットマーブルモンスターのディレクターで、『マジック:マナストライク』の開発統括ディレクター。Angling The Giantを開発したTaff Systemで経歴をスタートし、DO Online, Kick Off, Prius Onlineなど、多様なジャンルのゲーム開発に携わる。

自身も96年から「マジック:ザ・ギャザリング」を楽しんできたTCGグループ/ファンタジーカード同好会のオペレータとして活動。長年のプレイ経験から、海外の大会にも参加した経験があり、GP参加のために頻繁に訪日をしていた。

「子どものころから「マジック:ザ・ギャザリング」をプレイし、憧れたIPであるため、今回の『マジック:マナストライク』のプロジェクトは、特別な意味があり、負担やプレッシャーも大きかったが、日本を含む全世界の多くのプレイヤーにゲームを楽しんでいただきたい」と語る。

【質問1】

本作を開発するに至った経緯は?

歴史のある『MTG』のプレインズウォーカーとクリーチャーが、カードの世界を飛び出し3Dで目の前に召喚されて戦ったら、どうなるだろう? 原作のファンなら一度は考たことのあるこの想像を実体化してみたかったという気持ちが、私たちのスタート地点になります。

また同時に、原作IPのウィザード・オブ・ザ・コースト(以下:『WotC』)も、『MTG』の今後の展開についてさまざまな方向性を検討していたらしく、モバイルプラットフォームで『MTG』の新しい表現を考え出すためとして『WotC』からアプローチを受けたことも大きな要因です。

そういった要素が前提としてあり、モバイル上で3Dモデリングされたキャラクターや呪文を使ったPvPバトルの楽しさ、そして『MTG』の歴史あるカードゲームの戦略をブレンドすることですばらしいゲーム体験が生まれると気付き、このプロジェクトは動き出しました。

開発当初こそ、TCGという既存のゲーム性を維持したまま、これらの想像を表現することはとても困難だと思いました。

ですが「ネットマーブルと開発会社であるネットマーブルモンスターの経験があれば、私たちの想像もリアルタイム戦略対戦という形で上手く表現できる」、「原作の膨大な種類のカードをもとに、TCGではなくリアルタイム対戦という形でも十分な楽しみをもたらす新しいジャンルのゲームを作れる」と確信したことから、実際に開発を進めたという感じです。

【質問2】

『マジック:マナストライク』を制作する上で、とくにこだわったポイントがありましたらお教えください。

モバイルプラットフォームとリアルタイム対戦というジャンルを考慮し、できる限り短い時間でプレイできるゲームを目指しました。

リアルタイム対戦ゲームは、そのジャンルの特性上、プレイ時にかなりの集中力を必要とします。一瞬の判断ミスが負けにつながるからです。そのため1プレイが長くなることで、プレイヤーが疲れてしまうことを避けるため、1試合のプレイ時間についてはとくに注意を払って調整をしてきました。

1試合の時間が長くなると、敗北した際の喪失感も大きくなり、プレイヤーの楽しみやモチベーション維持の障害にもなるでしょうし。

【質問3】

カードに描かれた2Dイラストには三面図がないため、3Dに起こすには苦労があったと思います。カードに描かれていない部分についてはどのように補完して作成したのでしょうか?

ご想像いただいた通り、原作が2Dカードゲームですから、これを3Dで表現するには難しい点が多々ありました。

ファンの中で有名なカードの中には、デザインが複雑すぎて3Dモデリングに適していないこともありましたので、そういった点はIPホルダーである『WotC』と多くの意見を交わしながら作業を進めました。

【質問4】

リアルのカードにはアクション・モーションもなく、ゲームでそれを作るのも苦労したと思いますが、キャラクター・ユニットたちの動きはどのようにイメージして作ったのでしょうか?

3Dモデリングと同様、開発チームの想像力と『WotC』の助けを借りて解決しました。

ですがやはりこちらも3Dモデリングのときと同様、カード画像だけでは攻撃の形や動きが想像しづらいものがありましたので、『WotC』からカードの詳細な設定を共有してもらい、開発チームはそれに基づいたラフなコンセプトスケッチを作成。これを『WotC』と共有して、カードの設定とあっているかを議論しつつ、開発を進めました。

3Dモデリングと合わせての話になりますが、2Dのイラストからモデリングやアクションを想像する中で、もっとも苦労したのは、プレインズウォーカーのモデリング作成と、彼らの個性をどうアクションで表現するかという点でしたね。

たとえば赤の速攻火力や、黒の特徴であるアンデッドと呪いなど、能力を視覚的にどう表現すべきなのか、どうすれば原作の世界観を維持したまま表現できるのか、そういった部分はとくに苦労した点ですし、かなりの時間をかけて調整した部分でもありますので、しっかり見てもらえるとうれしいです。

【質問5】

多数存在するプレインズウォーカーから、今回の18キャラクターが選出された理由をお教えください。

ファンの方はご存知かと思いますが、原作の『MTG』には、まだまだたくさんのプレインズウォーカーがいますし、新しいプレインズウォーカーが次々に登場しています。

だからこそ、ローンチ時から実装されるプレインズウォーカーの選択には、本当に悩みました。開発チームがプレインズウォーカー選定で重要視したポイントは、“世界観の中での認知度”と“色を代表することができるか”でした。

その点を重要視しても、誰をローンチ時から実装するかは悩ましかったのですが、最終的には、特定色だけのプレインズウォーカーが多くならないようにバランスを取る形で、選出をした形で落ち着きました。

この過程でも、IPホルダーと多くの議論を交わしましたし、『WotC』からもアドバイスを受けて決定したものになりますので、きっとファンの方にもご納得いただける選出になったと思っています。

【質問6】

今後アップデートでプレインズウォーカーが増えていく可能性はありますか?

基本的には『MTG』の新しいカードセットの追加をベースにアップデートが行われる予定です。場合によっては『MTG』で発売されるよりも先に、『マジック:マナストライク』で先に公開されるプレインズウォーカーやカードが出てくるという場合もありますので、その点にも注目してもらいたいです。

今回の正式サービス開始時には“テーロス還魂記”という『MTG』の最新追加カードパックで初登場を果たした、新しいプレインズウォーカーも実装されていますし。

【質問7】

競技性のあるコンテンツですが、esports化を目指し、大会を開催するご予定などはありますか?

もちろんです。プレイユーザーの基盤が十分に構築され、esportsに十分な量のカードがリリースされたら、esportsを始めさまざまな大会を通じて、長期的により多くのプレイヤーに楽しさを提供したいと考えています。

【質問8】

開発秘話などがありましたらお教えください

開発の過程でもっとも時間を要したプレインズウォーカーは、“ウィルとローアン”です。

ウィルとローアン というのも、“ウィルとローアン”は最初、それぞれ異なるプレインズウォーカーとして実装が企画されていたのですが、火と氷を扱う双子というコンセプトを最大限に活かすために「ひとつのキャラクターにして、スキルを使用するともう片方に変身する」という、いまの姿になりました。

ふたつのキャラクターがひとつになったので、立てていた開発スケジュールにも支障は出てしましたが、いまの姿がもっとも“ウィルとアーロン”らしいと思っているので、個人的には満足しています(笑)。

【質問9】

直近の大型アップデートが実施されるタイミングは、いつごろを想定していますか?

『MTG』の新弾リリースの流れに合わせたアップデートと、1ヵ月単位のシーズン更新が行われる予定です。

新規シーズンごとに新しいプレインズウォーカー、スキンカードなどが発売される予定なので、それに合わせて利用者の意見を積極的に取り入れ、バランスの変更と継続的な新規コンテンツの開発を進めていきます。

4月には、新規セット“イコリア”が登場するので、“イコリア”のコンセプトに合わせた新たな戦闘フィールドとスキンを追加する予定です。

また、年末までには“イコリア”や“ゼンディカー”などの正式セットのほか、“タルキール覇王譚”のような過去のパック情報も追加更新していく予定ですのでご期待ください。

【質問10】

日本のユーザーにメッセージをお願いします

『マジック:マナストライク』は、『MTG』の魅力的な世界をTCGとは異なるジャンルで個性的に表現した、とてもおもしろいゲームです。そして、原作のファンだけでなく、原作を一度も経験したことのない方にも十分に魅力的なゲームとなっています。

『MTG』が持つさまざまな要素とプレインズウォーカーを3Dで実装し、リアルタイム対戦ゲームとしての戦略性も十分に楽しめます。多くの方が興味を持って楽しくプレイしていただければ幸いです。ありがとうございました。

マジック:マナストライク

対応機種iOS/Android
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ジャンルリアルタイムストラテジー
メーカーネットマーブル
公式サイトhttps://manastrike.com/ja
配信日配信終了
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