人食いマーメイドに不老不死の八百比丘尼!世界の人魚伝説【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第17回】

2020-02-12 12:00 投稿

人魚 人魚 酒場の隅で……

まっかっかっかっかァ! 燃~えてるさァ~!!

なんて伝わりづらさMAXのネタはさておきね!

いや奥さん観ましたか先週土曜日、2月8日のスターダム後楽園ホール大会!

メイン出場予定だったSareeeが大会前日に急性腸炎でドクターストップ! 急遽マーベラス所属の彩羽匠がメインに抜擢ときたもんだァ!!

編集U「長くなりそうだからもう本編行け!!!」

ちぃぃ……! まぁいいでしょう!

ってことで、今週も始まりましたよ“元ネタの世界”!

今回はかの有名なマーメイドのお話ですよ!

そんじゃさっそく、レッツゴー!!

【目次】
・皆さんご存知、人魚姫
・マーメイド、意外とヤバかった
・人魚のルーツは?
・ジャパンのNIN-GYO
・次回は妖怪話!

皆さんご存知、人魚姫

さて、今回扱いまするはマーメイド!

その名の意味は“海の乙女”、そのまんま人魚でございますね!

20200211_人魚 (1)

編集U「人魚っつったら童話の人魚姫だよな~」

あぁ、アンデルセン童話のアレですね!

溺れ死にそうになっていた人間の王子を助け、彼にひと目惚れした人魚姫!

恋焦がれた果てに自慢の歌声を魔女に捧げ、人間の脚を手に入れて陸に上がり!

王子に近づいたはいいものの、王子から得られる愛はどちらかと言えば妹に向けるようなもの!

おまけに王子は別の人間と結婚してしまい、人魚姫は跡形もなく消えてしまう、ってな悲恋の物語!

20200211_人魚 (2)

編集U「てっきり今回はその話をするかと思ったが」

いやさすがに有名すぎますしね!!

しかし今回改めてアンデルセン童話の“人魚姫”を読んでみたんですが、けっこう知らなかったことが多くてびっくりしましたよ!

まず人魚姫が6人姉妹の末っ子だったというのが地味に驚き!

そしてラストの王子が別の女性と結婚したシーンでは、人魚姫は姉たちからもらったナイフで花嫁を刺せば再び人魚に戻ることもできたそうなんですね!

しかし、王子の幸せそうな姿を見た人魚姫はナイフを海に投げ捨て、自分が消える道を選んだのだとか!

編集U「ほ~、最後まで一途だな」

で、恋に破れた人魚は海の泡となって消える……、と魔女から忠告されていたのですが、なんと人魚姫は“空気の娘”という別の妖精(あるいは精霊)となったんだそうですよ!

そして人魚姫は花嫁の額にくちづけをし、王子に微笑みかけると、どこへともなく飛び去っていたんだとか何とか!

編集U「これはこれで童話っぽいラストだな」

改めて読んでみるとけっこうおもしろいもんですね~!

と、けっきょくそれなりにアンデルセン童話の話をしちゃいましたが!

いわゆるマーメイドはそんなかわいらしい存在では、ないという!!

マーメイド、意外とヤバかった

マーメイドも人魚姫同様に、美しい乙女の上半身に魚の下半身をしているとは言います、が!

その甘い歌声とは裏腹に、人間の男たちを死へと誘う存在とされていますね!

しかも、男を水中に引きずり込んで溺死させるだけでなく、その身体を貪り食ったりもするとか!

20200211_人魚 (3)

編集U「グロォい……」

さらにヤバいのが、記録によってはサイズが尋常じゃないんですよ!

古代ケルトの記述や1600年代に記された“アイルランド王国年代記”によりますと、海辺に打ち上げられたマーメイドの全長は160フィート、約48メートルもあったそうな!

編集U「!?」

ワンフロアが3.5メートル程度とすれば14階建てぐらいの高さ、と書けばその巨大さが想像いただけることでしょう!

初代ゴジラが身長50メートルらしいので、まさに怪獣クラスのサイズですよ!

編集U「いやぁ、巨大なマーメイドはちょっと……。というかそんなデカいのが海に上がったのか」

ちなみにその巨大マーメイド、髪の毛は約5.5メートル、指と鼻の長さは約2メートルだったとも言われていますね!

編集U「指と鼻の長さが同じってのもすごいな」

ただ、人間の男を誘惑して水の中に引きずり込むという記述を考えると、やはりこのサイズは例外な感じがしますよね~!

編集U「例外ってか完全に別のクリーチャーだろこれは……!」

人魚のルーツは?

ところで、歌声で男たちを誘惑して命を奪う、と言えば別の存在も思い浮かべますよね!

編集U「そりゃあれか、セイレーンか」

そうそう、ギリシア神話の英雄・オデュッセウスの航海中に現れた海の怪異・セイレーン!

『乖離性MA』だとオデュッセウスはカード化されてるんですが、セイレーンは出てないですね! 惜しい!!

20200211_人魚 (12)

んでこのセイレーンなんですが、じつは最初こそ下半身が鳥だったものの、時代が下るにつれてだんだん翼と魚の尻尾の付いた存在や、二股になった魚の尾を持つ存在として描かれているんですよ!

編集U「すげー変化の仕方だな」

海に出現するって考えると魚のほうが自然な気はしますけどね! 鳥は海鳥ってことかもですが!

そしてその二股魚なセイレーンですが、じつは某スターなバックスのロゴマークにも使われてるんですよ!

編集U「あ~、言われてみれば確かに」

セイレーンが歌で男たちを誘惑したように、コーヒーの香りでお客を誘惑、的なことでしょうね~!

編集U「ってことは、誘惑された客は最終的に命を……」

そこまでセイレーン再現しなくてけっこう!!!

と!

セイレーンが変化して人魚になっていったってな話もありますが、一方で人魚は実在する生き物を見間違えたものでは、なんて説もありますね!

編集U「つっても半人半魚なんてそうそういないと思うが」

人々が人魚と見間違えたとされる生き物……、それは、マナティー!!

編集U「……は?」

いやほら、マナティーですよマナティー!

下半身は魚みたいな尾があり、上半身には一応短い手に見えなくもないヒレ、そして身体の正面には乳房が!

20200211_人魚 (4)

編集U「唐突に久しぶりの自作画像。ってかそんな人間みたいな胸あったっけ……?」

と、描いておいて何なんですが、マナティー画像をググってみたら乳房らしきものはなさそうな……?

編集U「ダメじゃねぇか!!!」

ま、まぁとにかく当時はそういう要素で見間違えた、とする説もあったそうな!

編集U「いやしかし髪の毛ないしな……」

あぁそれね! 自分も疑問だったんですが、どうやら海藻を頭に被って浮上した姿で勘違いが加速したんじゃないかって話でしたよ!

20200211_人魚 (5)

編集U「いやぁ、きびしいだろ……」

ちなみに豆知識ですが、マナティーとかジュゴンとかの海牛類は英語だとSirenian(サイレニアン)と言うそうで、じつはこの単語がセイレーンから来ているそうですね~!

編集U「あ~、そこでつながるのか」

あとそうそう!

マナティーのほかにも、人種や話す言語の違う海難者の溺れている姿を人魚だと勘違いした、なんて話なんかもありましたね!

編集U「人魚ってかもう人間じゃねぇか!!!」

ジャパンのNIN-GYO

西洋での伝承も多い人魚ですが、日本でも人魚はけっこうメジャーな存在ですよね!

編集U「確かにな~。人魚の肉を食べたら不老不死になるとか言うし」

そうそう! そしてその不老不死伝説のなかでも有名なのが、八百比丘尼(ヤオビクニ)のお話ですね!

20200211_人魚 (6)

いくつかパターンはあるものの、大筋としてはこんな感じ!

昔々、とある宴に出席した男は、そこで出された肉が尋常のものではないと悟り、口にはせず家に持ち帰りました。

男はその肉を捨てるでもなく、家のどこかに隠していましたが、彼の娘、あるいは嫁が肉を見つけ出して食べてしまいます。

しかしそれこそが人魚の肉。それ以来、16歳ほどの姿のまま年を取らなくなってしまった女は、放浪の旅に出るのでした。

やがて女は寺に入って比丘尼(尼僧)となり、最後は即身仏となってこの世を去ったと言われています。

編集U「勝手に肉食ったから、にしてはハードな結果だよな~」

うっかり人魚の肉を食べたせいで不老の悲しみを背負うことになった女性、それが八百比丘尼!

彼女が生きていた時期には諸説あるそうですが、最長では468年から1741年まで、1273年も生きていたとか!(最短説でも718年~1335年の617年)

20200211_人魚 (7)

編集U「長生きってレベルじゃねぇな……!」

もうお察しかとは思いますが、八百比丘尼の八百はそのまま800年という意味ではなく、八百屋やら八百万(やおよろず)の神々などと同様に、“めっちゃ数が多い”的な意味合いですね!

つまり、八百比丘尼は“めっちゃ長生きの尼さん”的な名前ってことですよ!

編集U「急にロマンなくなる言いかたは止めろ」

漢字だとかなり雰囲気あるんですけどね……!

ちなみに八百比丘尼さん、死なずにずっと若い姿を保っていたという説と、人と結婚して年を取るも、夫が死ぬと八百比丘尼だけが若返ってしまう、という説がありますね!

編集U「どっちもヤダな~……」

最後に、八百比丘尼と並んで有名なのが人魚のミイラ!

編集U「あぁ、あの偽物の」

そ~うなんですよね~! 残念ながらのフェイク!(ワンチャンリアル……?)

日本に限らず人魚のミイラ(の偽物)は大量に出回っていたそうですが、日本で作られたミイラは相当クオリティが高かったせいで、長いあいだガチモノだと思われていたそうですよ!

おもにサケとサルを合体させていたようですが、歯だけは人間のものを使うとか、場合によってはサルじゃなくて死んだ赤子を使ったとかいう説も……!

編集U「さすがに引くわ」

“人魚 ミイラ”で画像検索すると大量に出てきますが、まあまあグロい(というかキモい)ので耐性がない人は要注意ですよ!!

次回は妖怪話!

ってことで、今回はマーメイドやらの人魚話でございましたよ!

子どものころから知ってるようなお話も、改めて本とかで読んでみると発見があっておもしろいですね! まさしく温故知新!

編集U「絵本とかだと省略されてたり表現マイルドになってたりするしな~」

さて、次回は何をお話ししましょうかってなもんですが!

今回日本の人魚話なんかもしましたし、続けて日本の妖怪についてでも触れていきましょうかと!

何気に『乖離性MA』にも妖怪勢はけっこういるので画像的にも安心だァ!

20200211_人魚 (9)

そんじゃ予告も終わったってことでプロレス話といきたいんですけどね!

2月8日の岩谷麻優VS彩羽匠がもォーう! もォーうね! すんげー試合でございましたよ!

両者ともに長与千種から伝授された必殺技・ランニングスリーを巡る攻防は彩羽が制し、2年ぶりのシングルマッチに勝利!

鎖国体制とも言われるスターダムで他団体の選手がベルトに挑むのはレアですが、こりゃそのうちもしかするやも!?

編集U「びっくりするほど話がわからねぇ……!」

HAHAHA! ぜひ一度生で観戦したもれ!!

ほいでは、ま~た来週!!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

ブリッグス,キャサリン編(1992)『妖精事典』(平野敬一・井村君江・三宅忠明・吉田新一訳) 冨山房.
小松澤仁(2000)『日本怪奇幻想紀行 一之巻 妖怪/百鬼巡り』 同朋舎.
志村有弘(2011)『日本ミステリアス 妖怪・怪奇・妖人事典』 勉誠出版.

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