ゼウスさん頑張り物語!ギリシア神話が伝えるヨーロッパの由来話【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第12回】

2019-12-25 12:00 投稿

さらば勇士、されどショーは続く……

ッッッハァァァアアーー!!

ついに! ついに2019年12月24日が終わってしまった!!

約5年のキャリア―に幕を下ろした葉月、お疲れ様でございました……!!

編集U「まぁ原稿書いてんのは引退前なんだけどな」

引退試合後に書かせてって言ったらNG出したでしょうがよ!!!

涙を振り切って、さておき!!

年内最終更新となります今回は、ギリシア神話をご紹介しまするよ!

ギリシア神話全体の流れをざっくり紹介しつつ、ヨーロッパという地名の由来となったエピソードについても語っていきますよい!

【目次】
・混沌からガイア誕生、我が子を喰らうクロノス
・マキア☆マキア
・人類とプロメテウスと
・ヨーロッパ命名秘話
・元旦はさすがにお休みでェ~す!

混沌からガイア誕生、我が子を喰らうクロノス

神話のなかでもとくにメジャーなギリシア神話!

最高神・ゼウスをはじめとする神々のエピソードから、アキレウスオデュッセウスなど英雄たちの神話、はたまたキマイラオルトロスといった怪物などなど、有名どころを数え上げればキリがないですね!

20191223_ギリシア神話 (1)

神々の時代から英雄の時代まで、ギリシア神話はとにかくエピソードが豊富でして、しかもなかなかにぶっ飛んだ内容ばかり!

細かく紹介していくとコラム1本どころか10本使ってもまだ足りんという感じですが、さっそく駆け足で世界創生から見ていきましょうや!

世界に神々が現れる前、はじめにあったのは混沌だけであり、そこには何の区別もありませんでした。

やがてそこに大地の女神・ガイア奈落そのものである神・タルタロスそして愛の神・エロスが生まれます。

ガイアは天の神・ウラノス海の神・ポントス、そして山々を生み出し、世界に天と地、陸と海、低地と山という区別ができあがっていきました。

ガイアは息子でもあるウラノスと結婚し、50の首と100の腕を持つヘカトンケイルひとつ目の巨人・サイクロプスティタン神族などを生み出していきます。

編集U「いきなりの怪物祭り」

サイクロプスはとくに有名な怪物ですが、まさかゼウスよりも先に生まれた存在だったとは、って感じですね~!

さて、いろいろ生み出したはいいものの、父親であるウラノスはヘカトンケイルやサイクロプスの醜さに腹を立て、彼らを奈落のタルタロスにブチ込んでしまいます!

編集U「まさかの育児放棄

で、妻であり母でもあるガイアがこれにブチ切れ、ティタン神族の末っ子であるクロノスに命じ、ウラノスを去勢してしまう訳ですよ!

クロノスは『乖離性MA』にも登場していますね!

20191223_ギリシア神話 (2)

※元ネタは男神です。

つっても、『乖離性MA』で登場しているのは時間の神のほうであって、同じギリシア出身ではあるものの、ここで登場したクロノスとは別ものなんですけどね!

編集U「違うんか~い」

まま、それはさて、おき!

ウラノスを去勢したのち、クロノスは姉のひとりであるレイアと結婚し、つぎつぎと神を生み出します。

しかし、ガイアから「お前はみずからの子によって王座を奪われるだろう」との予言を聞いていたクロノスは、生まれたそばから子どもたちを食べてしまったのです。

20191223_ギリシア神話 (3)

編集U「さすがに引くわ……」

ちなみに、ギリシア神話はローマに伝わりローマ神話ともなっていますが、ローマ神話におけるクロノスの名前はサトゥルヌス!

みずからの子どもを喰らうクロノスを描いた絵画が、かの有名な“我が子を喰らうサトゥルヌス”ですね!

編集U「あのグロホラーなやつか」

美術の教科書で初めて見たときはビビったもんですわ……!

それはいいとして、このときレイアが出産し、クロノスがぱっくんちょしちゃったのは以下の神々ですね!

・炉の女神・ヘスティア
・豊穣の女神・デメテル
・結婚と出産の女神・ヘラ
・冥界の神・ハデス
・海神・ポセイドン

編集U「あ~、すでにけっこうメジャーどころ多いな」

で、その後どうなったかと言うと!

マキア☆マキア

つぎつぎに子どもを食べられてしまったレイアは、第6子のゼウスを無事に育てるために、ギリシア南方のクレタ島で密かに出産をし、クロノスには岩を包んだ産着を手渡しました。

クロノスは疑いもせずにその岩を丸呑みにし、ゼウスはクレタ島でひっそりと養育されたのです。

クロノスに食われることなく成長したゼウスは、知恵の女神・メティスの力を借りてクロノスを騙し、吐き薬を飲ませて兄弟たちを吐き出させることに成功しました。

ほかの兄弟が生まれた順番とは真逆に吐き出されたことによって序列が逆転し、本来なら末っ子だったゼウスは長男坊になったそうな!

この後、ゼウス率いる兄弟神たちは結託し、クロノス率いるティタン神族との戦争・ティタノマキアが始まります!

ガイアの助言に従い、ヘカトンケイルやサイクロプスを味方につけたゼウスたちは、この戦いに見事勝利!

ちなみに、このとき助けたサイクロプスたちがゼウスのメイン武器となる雷霆(らいてい。激しい雷のこと)や、ポセイドンのメイン武器であるトライデントを贈っていますね!

20191223_ギリシア神話 (4)

編集U「まさかのポセイドン再登場」

ポセイドンについては以前書いた武器紹介編をご参照アーレッ!

さて、ティタノマキアに勝利し、ティタン神族をタルタロスにブチ込んだゼウスでしたが、これにガイアがまたもブチ切れ!

超巨大かつ下半身が大蛇になっている怪物・ギガンテスを生み出し、ギガントマキアと呼ばれる戦争を開始したのです!

編集U「ガイア毎回キレてんな……」

大地の神がキレまくりってのは若干珍しいような……?

さておき、ギガンテスは神の力では殺せないというチート能力持ちでしたが、この事態を予想していたゼウスは人の英雄・ヘラクレスを生み出しており、ギガントマキアにも勝利したのでした!

この戦いでガイアはゼウスを支配者として認め、ようやっとゼウスによって統治される世界が始まる、と!

ここからさまざまな神々のやらかしと活躍が展開していく訳ですね!

個人的な印象としては、最高神であるゼウスが正妻のヘラをほっぽってほかの女性に手を出しまくり、それに嫉妬というかキレたヘラによって浮気相手やその子どもが散々な目に遭うエピソードが多い気がしますね!

編集U「わりとロクでもない」

何ならまともな話が多い神話のほうが珍しい気もしますが!!

人類とプロメテウスと

さて、ギガントマキアでチラッとヘラクレスが登場していましたが、何気にクロノスが支配していた時代から人類は登場していた模様!

最初に生まれた人類は金の種族と呼ばれ、病気や痛み、老いを知らず、神々に近い暮らしをしていたとか!

その後、時代が下るにつれて銀の種族青銅の種族へと移り変わっていき、その後ペルセウスやアキレウス、オデュッセウスなどの英雄の種族が生まれてくる訳ですね!

20191223_ギリシア神話 (5)

編集U「しれっと入り込む自作画像」

ままま、せっかくですしね?

んで、英雄の種族に続く鉄の種族がいまの人類につながる、ってな話ですが、人類の発展に大きく寄与したのが、ティタン神族でありがならティタノマキアでゼウスに味方したプロメテウス!

編集U「あ~、火をもたらしたとかいう」

いかにも! 瑞々しい茎の内側に乾燥した芯が詰まった植物・ナルテクス(ダイウイキョウ)の内側に火を隠し、神々の世界から人間の世界に火を持ち込んだ訳ですね!

そのほかにもゼウスをちょろまかそうとしたプロメテウスでしたが、諸々がバレてとんでもない処罰を受けることに!

ゼウスによって柱に鎖で縛りつけられたプロメテウスは、昼間は鷲に内蔵をついばまれ、不死の存在であるがゆえに夜のあいだに傷が癒え、翌朝には再び内蔵を食われる、という無限ループ!

編集U「うわぁグロい」

マジで無限に続きかねない罰だったのですが、しば~らく時代が下ったのち、旅の途中で近くに寄ったヘラクレスがプロメテウスを救出し、ゼウスとも和解を果たしたのだとか!

ヨーロッパ命名秘話

さて! そんなこんなのギリシア神話でございますが!

今回はおまけで、ヨーロッパという地名の由来譚をご紹介ですよ!

編集U「どうせエウロペやろ」

よく知ってたね!!!!

ヨーロッパ、ローマ字で書けばEUROPE、そのまま読めばすなわちエウロペ!

ヨーロッパの名はエウロペという女性の名前から来ており、その女性のお話がギリシア神話に収録されている訳ですな!

ってことで、エピソードドゾー!

むかしむかし、シリアのテュロスを治めていた王・アゲノール王妃・テレパッサとのあいだに、エウロペという少女が生まれました。

3人の兄たちに続いて生まれた紅一点のエウロペは大事に育てられ、幸せに暮らしていました。

ちなみにテュロスはこのあたり! ギリシアからはやや離れた地域ですね!

20191223_ギリシア神話 (9)

※テュロスは現在だとレバノン領だが、時代によってはシリア領。

ある日、エウロペは海に近い牧場で侍女たちとともに遊んでいましたが、そこに立派な白牛がやってきます。

最初はおっかなびっくりだったエウロペも、やがて人懐っこい白牛を愛らしく思うようになり、その首筋を撫で、背中にまたがりもしました。

しかし、エウロペが背中に乗った瞬間、白牛はすさまじい勢いで海へと走り出します

助けを求めるエウロペの叫びも虚しく、侍女たちが白牛に追いつくこともなく、白牛は大海原を走り抜け、クレタ島へとやってきました。

編集U「海渡っちゃうの……」

ちなみにクレタ島はここ!

20191223_ギリシア神話 (8)

編集U「遠くね?」

グーグルマップでざっくり測ってみたところ、なんと960キロメートル超!

ちなみに東京から札幌までがだいたい830キロだったので、けっこうマジですさまじい距離ですね!

編集U「それだけの移動で牛から落ちなかったエウロペもすげーな……」

ま、まぁ命かかってますし多少はね?

さておき!

陸地に下ろされ、呆然とするエウロペの前で、白牛は姿を変えました。

彼女をさらっていったその白牛こそ、何を隠そう最高神・ゼウスだったのです。

編集U「知ってた」

じつは、ゼウスは愛の神・エロスの放った愛の矢に当たってしまい、その後天界から地上を見回したときに目撃したエウロペにフォーリンラブしてしまっていたのです。

そうして、愛に駆られたゼウスは白牛に化け、何とかエウロペに気に入られようと彼女を誘拐してしまったのでした。

編集U「気に入られようとして誘拐するという超発想」

神話だからね! 仕方ないですね!!

で、ゼウスは帰る手段もなくなったエウロペとよろしくやり、その後ミノタウロスの迷宮に関わることとなるミノスなどの子を生んだのでございました!

また、ゼウスはエウロペにクレタ島沿岸を警護する青銅の巨人・タロス放てば必ず獲物を捕らえる猟犬、そして必ず命中する投げ槍を授けたとか何とか!

このエピソードでエウロペがアジアのシリアからギリシアに渡る架け橋となったことから、あるいはエウロペが消えて西方に消えていったことから、ヨーロッパという地名が生まれたそうな!

編集U「なるほどね~」

エウロペの子であるミノスが王となった後のミノタウロス話もおもしろのですが、それはまたの機会に!!

元旦はさすがにお休みでェ~す!

ってことで、年内ラストはギリシア神話のお話でございましたよ!

ゼウスの奔放っぷりがすごかったり人間に嫉妬した女神のキレ具合がすごかったりと、バラバラにエピソードを読んでもおもしろいのでね!

年末暇な人は図書館とかで神話本を借りて読み漁るのもいいのでは!

編集U「さて、来週は2020年1月1日な訳だが……」

さすがに来週はお休みッ!!!

編集U「まったく軟弱なことを……」

あんたも編集休めてラッキーっつってたでしょうに!!

そういう訳で、次回更新は1月8日! 1月はどんなテーマにするか? それは年が明けてのお楽しみ!!

そして年が明けると言えばですね!

12月24日に年内最終戦を終えたスターダムでございますが!

なんと年明けは1月2日、3日、4日と連続開催でございますよ!

さらに1月2日からはBS日テレ、1月5日からはTOKYO MXでのテレビ放送もスタート!

果たして2020年は誰がブレイクする年になるのか、ご注目あれい!!!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

吉田敦彦(2010)『面白くてよくわかる! ギリシア神話』株式会社アスペクト.
楠見千鶴子(2001)『ビジュアル版 ギリシア神話』 講談社.

Amazon人気商品ランキング 一覧を見る

最新記事

この記事と同じカテゴリの最新記事一覧