女神・イシス、毒蛇を使って太陽神・ラーから力を得るの巻【しゃれこうべが語る元ネタの世界 第10回】

2019-12-11 12:00 投稿

早いもので10回目!

Ten times!

ということでなんともう10回!

このプロレス観戦道中徒然日記も10回目ですよ!!

編集U「タイトル変わりすぎだろ!!!」

HAHAHA!

それはさておき、今週も“元ネタの世界”のお時間でございます!

前回の北欧神話に続いてご紹介しますは、エジプト神話!!

メジャーどころが多い神話ながら、ざっくり説明するにはいささか困った点が……?

【目次】
・エジプトの天地創造はどんなですのん
・けっこう邪道だよ!!イシスさん
・おまけ:ヤルダバオトもいるよ
・次回は、日本神話!

エジプトの天地創造はどんなですのん

さぁーてご紹介しましょう、エジプト神話!

ゲームやマンガに神の名が登場することも珍しくなく、中二病的にも避けては通れない道でしょう!

本コラムで画像をお借りしている『乖離性MA』でも、エジプト神話勢は3体ほど登場していますね!

20191210_エジプト神話 (2)

※オシリスの元ネタは男神です。

オシリスと言えば天空竜、アヌビスと言えば暗示のスタ○ド、そしてネフテュスはモ○ルスーツのネクティ○にちょっと名前が似ている、とロマン尽くしですね!!

編集U「要らんボケは入れんでいい!!!」

さて、そんな神々も登場するエジプト神話でございますが、3000年以上前に記されたものというのもあり、ひとつの物語として、というよりは各エピソードが断片的に伝わっております!

ゆえに北欧神話のように創生神話から神々の活躍、そしてラグナロク、みたいな大まかな流れがあるとは言えないんですよね~!

テキストとして多く語り継がれているのは、おもに下記のようなお話!

・世界創世神話
・ラーが死者の魂を船に乗せ、アヌビスやオシリスが魂の審判を下す物語
・オシリスとセトなど、兄弟間の争いの物語

死者の心を天秤の一方に乗せ、もう一方に真理を象徴する1本の羽根を乗せ、その羽根よりも心が重くなければ即奈落行きというアヌビスの審判は非常に有名ですね!

20191210_エジプト神話 (3)

創生神話ひとつ取ってもいくつかパターンが存在しますが、その多くは“原初の水”、あるい混沌そのものを象徴するヌゥが存在し、そのなかに神が生まれ、天地の創造が始まるというもの!

そこで生まれたとされる神が、エジプト神話における最高神にして太陽神・ラー!

太陽神が最高神、というのは日本神話のアマテラスを思わせるところがありますよね~!

20191210_エジプト神話 (4)

編集U「ここでラーではなくアマテラスを貼っていくスタイル」

ラーは『乖離性MA』に出とらんのじゃ!!

ちなみに、ラーは別の地域で信仰されていた神と融合し、アメン・ラーだったりアテン・ラーなんかと呼ばれることもあったそうな!

また、のちにラーと同一視された存在として、アトゥム神なんてのもいますね!

エジプトでアトゥム、ちょっと音を変えてアテムってぇと某王様を思い出しますが!

編集U「言うと思ったけどいいから」

で、そんなラーが原初の水を分けて、天地を創造する訳ですよ!

そのためにまず、ラーは風神・シュウ雨の女神・テフヌウトを造り、次いで地神・セブ大空の女神・ヌウトを創造!

風神・シュウが大空の女神・ヌウトを天高く上げ、ヌウトは寝そべっている地神・セブの上に、弓なりに乗りかかったってわけですね!

こうして、ヌウトの身体についている無数の星々が空にかかることになったそうな!

つまり図にするとこう!

20191210_エジプト神話 (6)

編集U「神の威厳皆無」

HAHAHA! そこは脳内補完で!!

最初は昼も夜もなかったそうですが、次第にヌゥの目が水面から大空に上り、天地を明るく照らすようになった、とか!

やがてラーは地上に涙を落として人間の男女を創造し、人間を守らせるために、オシリスイシスセトネプテュスといった神々を造り出した、と!

そしてその後、今回ご紹介するイシスのトンデモ大作戦だったり、オシリスとセトの命がけの兄弟喧嘩だったりが展開していく訳ですね!

けっこう邪道だよ!!イシスさん

女神・イシスはラーによって造られ、人々を見守るべく地上で暮らしておりました。

しかしやがて、彼女は太陽神・ラーのような絶大な力を手にしたいと願うようになります。

ラーの力は、彼がヌゥより生まれた際に得た秘密の名に宿っているとされ、ラー本人を除き、彼の真の名を知る者はひとりとしていませんでした。

どうにかしてその名を知ることはできないか、イシスは考えます。

20191210_エジプト神話 (8)

編集U「またシレっと自作画像を……! しかしなんかイシスが悪役っぽいスタートなんだが」

ぶっちゃけこの話だとなかなかにトンデモないことしでかしますからね!

しかし力を欲したのは息子・ホルスに権力を与えるため、みたいな話もあるので、ある種の親ばか……?

ラーは毎日、天上に架かる川を日の船に乗り、地上を明るく照らすとともに、人々を空から見守っていました。

しかし創生の日から数え切れぬほどの年月が経ち、ラーも年を取り、口を開けば涎がこぼれ落ちるようになっていたのです。

編集「神なのにそこまで老けるのか……」

年を取ってヒゲが伸びるとか多少力が落ちるとかはよくありますけど、ここまでおじいちゃん化するのは珍しい気もしますね……!

さて、ラーの口から落ちた涎は地上へと落ちます。

イシスはこれに目を付け、その涎と土をこね、1匹の蛇を作り出しました。

ラーは日の船が川を渡り切って山の向こうへと消えた後、地上に舞い降りて人々の暮らしを観察すべく歩き回るのですが、イシスはラーの通り道にこの蛇を潜ませます。

そして、ラーが蛇のいる場所を通りかかったとき、蛇はラーの足に咬みつき、ラーはあまりの激痛に大声を出して倒れてしまいました。

編集U「イシスさんアウトでは」

謀(はかりごと)よ……!

火にあぶられるように熱く、しかし水に沈められたかのように冷たくなる身体に、ラーは息も絶え絶えに苦しみます。

ラーの子どもたちが集まって治療を試みますが、一向に容体はよくなりません。

するとイシスはラーのもとに駆け寄り、その耳元でささやきます。

「こうなっては、あなたの秘密の御名を明かしていただくよりほかにはありません

あなたの御名の力によるほかには、そのお苦しみを止めることはできません」

身体の中で燃え盛る毒に苦しむラーはついに観念し、秘密の名をイシスに伝えました。

20191210_エジプト神話 (10)

編集U「完全に悪役」

む、息子のためだから……!

ラーがイシスに名を伝えることを宣言すると、ラーの姿は消え、世界は闇に包まれます。

闇の中に立ってじっと待っていたイシスは、やがて自分の心にラーの秘密の名が入り込んだことを悟りました。

冷たい笑みを浮かべたイシスは、声を張り上げて叫びます。

「おお、毒よ、ラーの体内を去れ! 彼の心から、彼の肉から、離れて、光となって、彼の口から流れ出せ!」

すると、先ほどまでの苦しみが嘘のようにラーの身体は楽になり、以前のような偉大な神に帰ったのでした。

こうして、イシスはすべての神々を支配する力を持つようになったのです。

~ END ~

編集U「えぇ……」

いやぁ、完全に邪神なんじゃないか感ありますね! その後に力を悪用した訳ではないのでセーフ、的なね!

編集U「アウトでは?」

セーフとする!!

ちなみにですが、ラーはその後も年老いた自分を馬鹿にした人類を滅ぼしかけてしまうも、情が移ってやっぱり滅ぼせないなど、けっこう人間臭いところがあったりしますね~!

イシスも悪行ばかりではなく、夫・オシリスがセトとの戦いによってバラバラ死体となった際には、妹のネフテュスとともにエジプト全土を探し回り、必死にオシリスを蘇生させたりしています!

20191210_エジプト神話 (7)

※バラバラにされた際にオシリスのアレが魚に食われてしまっていたため、復活は不完全なものになったのだとか。

編集U「は~、ラーをハメた一方で献身的なところもある訳か」

その二面性も、ある意味人間っぽい、かも……?

おまけ:ヤルダバオトもいるよ

ところで、古代エジプトにもキリスト教は伝わっていたそうでして、コプト教という名で広まっていたらしいんですよ!

こちらの天地創造譚はこんな感じ!

世界は混沌から始まったとされていますが、じつはそれ以前に信仰を意味するピスティス、そこから流れ出た、知恵を意味するソフィアの2柱がいました。

この2柱が光となり、相対する影として、嫉妬妬み怒りといった存在が生まれます。

これらはよくないものであると感じたピスティスとソフィアは合体し、それらを支配する者を作り上げました。

ライオンのような顔かたちをした男女両性のその支配者の名は、ヤルダバオト

編集U「ほ~、あんま聞かない名前だな」

いやこれがね! 詳しくは触れませんが、某『ペル○ナ5』を遊んだ方ならけっこうテンション上がるのでは、ってなもんですよ!

編集U「某の意味」

ちなみに、ヤルダバオトという名は「こちらへ来なさい」という意味だそうで、彼を作り出したピスティス・ソフィアの呼びかけがそのまま名前になったそうな!

なお、ヤルダバオトは別名アリアエル“ライオンに似たもの”という風にも呼ばれていたとか何とか!

ヤルダバオトは、周辺に水と暗闇しかないのを見て、言葉の力によって水上にただよう精霊を作り出し、水を一方に集めて乾いた部分を作り、自分の住まいとしました。

こうしてできあがったのが天であり、ほかのものから作った足場は地と呼ばれるようになりました。

~ ナルホドナー ~

編集U「ラーとかの話とはだいぶ違うな」

で、ヤルダバオトは最初こそ“最初の父”として多くの神々と天使の軍隊を作り出しますが、次第に慢心し、やがて自分を作ったピスティスとの対立するようになる、と!

その後、戦いに敗れて混沌の奥底に逃げ出したヤルダバオトがを生み出し、その死からは嫉妬、怒り、涙、ため息、哀惜、悲しみ、号泣などが生まれた、なんて話になっていますね!

まさかヤルダバオトの名をエジプト神話(キリスト教ですけども)で見るとは思わなくてテンション上がりました、という話でしたよ!

編集U「なんという駄弁……!」

ままま、いわゆる雑学枠でございますからそのへんは多少ね……!

次回は、日本神話!

ってなわけで、今回はエジプト神話のお話をさらっとご紹介しましたよ!

オシリスとセトの兄弟喧嘩もそのうちご紹介する、かも?

編集U「しかしまさかオシリスとかアヌビス放置で画像がないラーとイシスの話をブチ込むとはな……」

い、いやぁ、久しぶりに読んだらラーとイシスのがけっこうパンチの効いたエピソードだったもので、ついつい!

そんなこんなで次回でございますが、ここいらで個人的に好きな日本神話でもいきますかね!

こちらはわりと話の流れがあるというか、概要的なご紹介がしやすいやも……?

編集U「問題は画像のあるアマテラス、スサノオ、ヤマタノオロチの話を天叢雲剣の話でしていることだが……」

20191210_エジプト神話 (1)

……ま、まぁ何とかなるっしょ!!!

さてなんと! またも! スターダムの記事が……!?

▼上がってました

編集U「マジで上がってる……、だと……!?」

この日は残念ながら別件で取材に行けなかったんですよね……!

くっ、スターダムで個人的にいちばん応援している岩谷麻優が出ていたというのに……!!

果たして次回のスターダム記事はいつ上がるのか! 試合レポートならお任せあれ!!

編集U「それはツイッターでだけやってろ!!!」

しからば、また次回ッ!!

文/しゃれこうべ村田(@SRSWiterM

参考文献

中島孤島編(1928)『世界神話伝説大系 エジプトの神話伝説』 名著普及委員会 .
矢島文雄(1983)『世界の神話 エジプトの神話』 筑摩書房 .

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