【新作】発作に耐え留守電の声に耳を傾ける少女の短編ホラー『或る孤独なひとり』

2019-10-12 11:00 投稿

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或る孤独なひとり

約10分のプレイに凝縮された濃密な世界

薄暗くどこか不気味な部屋に少女がひとり。黒電話のベルに驚き目覚める彼女は何かに怯え、くり返す発作に苦しみながらメッセージに耳を傾ける。

本記事で紹介するのは、第5回Plicyゲームコンテストにてシナリオ部門銀賞に選ばれた『或る孤独なひとり』という短編ホラーアドベンチャーだ。

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ゲームの見どころ
●少女の精神状態を克明に描くショートストーリー
●電話の相手は!? 心を揺さぶる2種類の結末

少女の精神状態を克明に描くショートストーリー

ダイヤル式の古めかしい黒電話。そこから聞こえてきたのは、届くかも知れないという希望を込めて語られる主を心配するメッセージ

誰が何のために語りかけているのか。

薄暗い部屋の中でその声を聞いた少女が目を覚ます。

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本作はこの小さな部屋の中で展開する約10分のショートストーリー。液状のものを垂らしてできたような決定ボタンと、それを指でなぞり伸ばしたような意味深な操作ボタンがとても印象的だ。

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鳴り響くベルに合わせて発作を起こす少女。それを鎮めるための薬をフラッシュバックの中に隠されたヒントを頼りに探していく。

責め立てるベルの音色は脅迫めいた恐怖の象徴

そして発作に苦しみ過呼吸になっていく少女の吐息は、徐々にプレイしているこちらの精神状態をも大きく揺さぶっていく。

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怯え苦しみ危険かもしれない薬を服用することのくり返し。追い込まれていく少女の感覚は、そうするしか選択肢がないプレイヤー自身と重なり、この小さく薄暗い部屋がとても恐ろしい空間へと変貌していく。

わずか10分程度の体験だが多くのことを考えさせる独創的な世界観を多くの方に味わってもらいたい。

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電話の相手は!? 心を揺さぶる2種類の結末

少女を気にかけくり返しメッセージを残す電話の相手。“あの薬はやっぱりダメだよ”というその声はプレイヤーに迷いを与え、何が正しい行動なのかと不安を抱かせる。

本作には2種類の結末があり、こうした行動が少女の行き着く未来をいく。

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プレイヤーにできることも行動範囲も狭い。

苦しむ少女を目の当たりにすれば手を差し伸べたいのだが、その行為自体がさらなる苦しみを与えるのかと思う躊躇してしまう。

ひとりでいることが孤独なのか、それとも他者の存在が孤独を生むのか。

“或る孤独なひとり”

2種類の結末を見届けたプレイヤーたちとじっくり語りたくなる作品だったぞ。

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P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

或る孤独なひとり

対応機種iOS/Android
価格無料
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ジャンルアドベンチャー
メーカーTakamasa Ikeda
配信日配信中
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