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位置情報ゲームの未来とその可能性に迫る!“位置情報ゲームサミット~新たなゲームジャンルが導く未来”リポート【TGS2019】

2019-09-14 15:40 投稿

コミュニティがひとつの鍵!?

2019年9月12日より開催中の“東京ゲームショウ2019”。

ビジネスデイ2日目にあたる13日には“位置情報ゲームサミット~新たなゲームジャンルが導く未来”というセッションが行われ、立ち見席が必要になるほど多くの注目を集めた。ここでは、このセッションの内容をお届けしよう。

【登壇者】
山崎富美氏 ナイアンティック カントリー マーケティング マネージャー
志賀雄太氏 MIRAIRE 代表取締役CEO
清古貴史氏 リアルワールドゲームス 代表取締役
宮嶌裕二氏 モバイルファクトリー 代表取締役

【モデレーター】
山田剛良氏 日経 xTECH副編集長

現実世界を移動しながら遊ぶ位置情報ゲームは、リアルワールドゲームとも呼ばれ、さまざまなタイプのアプリがリリースされている。本セッションでは、『ポケモンGO』をはじめ日本でも大流行している位置情報ゲームをテーマに、現在の状況や今後の可能性が論じられた。

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▲左から山崎富美氏、志賀雄太氏、清古貴史氏、宮嶌裕二氏。

多様化する位置情報ゲームの形

セッションが始まると、まずはそれぞれの企業が手掛ける位置情報ゲームの施策や、その特徴などが紹介された。

リアルワールドゲームスが手掛ける『ビットにゃんたーず』は、従来の位置情報ゲームのような遊びに加え、歩くことで仮想通貨がもらえるという独自のシステムを採用している。

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“健康促進のためにゲームを利用する”という位置情報ゲームならではのアクションに、仮想通貨付与という要素を加えることで、継続しづらいヘルスケアにモチベーション維持のきっかけを与えた形だ。こうしたモデルの成功は、今後ゲーム業界以外にも位置情報アプリの存在意義が波及するきっかけにもなり得るだろう。

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MIRAIREは、現在『キャプテン翼』を題材とした位置情報ゲーム『TSUBASA+(ツバサプラス)』を開発中。こちらでは、AR技術を用いることで、現実世界とのつながりをより強いものにできるよう、鋭意開発を進めているという。

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ほかのアプリとはやや毛色の異なる位置情報ゲームの例として、モバイルファクトリーの『駅メモ!』も紹介された。

こちらのタイトルでは歩くことよりも各駅でアプリを起動することがメインになっており、ほかのタイトルよりもさらに気軽に遊べることが特徴になっている。

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そして、もはや説明不要のナイアンティック。『Ingress』や『ポケモンGO』では、ゲーム内でのイベントはもちろん、リアルイベントも多く開催されている。

ナイアンティック製タイトルは、運営側主導のイベントも多いが、しかしそれ以上にユーザー同士が任意でイベントを開催するケースが多いのも特徴。そしてときには、そうしたユーザーコミュニティの活動が献血や清掃活動などのボランディア活動につながる例もあるという。

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ユーザーが遊びかたを作る?アプリを利用した町おこしも

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セッションの最初のテーマは“なぜ位置情報ゲームを遊ぶのか?”。

自身でもさまざまな位置情報ゲームを遊ぶという清古貴史氏は、現実とゲームがリンクする感覚や、地元でも新たな発見ができる点、そして『イングレス』においては自分の撮影した写真がスポットに反映されるという点が位置情報ゲームの魅力だと語る。

これを受けて、位置情報ゲームを普及するための活動をしていた志賀雄太氏は「“観光資源としてガイドブックには載らない、街中に溢れる小さな魅力を持ったスポットと出会える”という喜びもある」と、その魅力に同意を示した。

運営が提供するコンテンツを遊ぶだけでなく、ユーザー間でルールや楽しみが作り出されていくというのは、先のナイアンティックの例でも話した通りだが、やはりそれも位置情報ゲームの魅力と言えるだろう。実際、ナイアンティックの山崎氏はそういった動きにも注視をしているという。

これに関連した話で印象的だったのは、山崎氏の話。氏が東日本大震災の災害復興活動を行っていた際「ここに『イングレス』のポータルを増やせば、もっとたくさんの人が来てくれるのでは」と考え、実際にポータルを増やしてみたところ、1年後には多くのプレイヤーがその場を訪れてくれるようになったという。

位置情報ゲームは、その場所に足を運ぶきっかけを作るだけでなく、行動の最後のひと押しにもなることを教えてくれた。

この話を裏付けるように、岩手県が大量のポータルを植えるイベントを実施して町おこしに成功したりと、位置情報ゲームをきっかけに人集めに成功した例は数多くあるという。

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災害で野原になってしまった場所に記憶のポータルというものを作ると、当時そこにあったものを写真として確認できる。

アプリが生み出す経済効果とユーザーコミュニティ

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続いてのトークテーマは、“プレイヤーが部屋の外に出る意味”。位置情報ゲームによってゲームプレイヤーが外に出ることで、どれくらいの経済効果が生まれ、コミュニティの活性化がどれほど起こるのかという話が展開された。

宮嶌裕二氏は『駅メモ!』をきっかけに電車での移動が増え、交通費や飲食費といった形で、各地で経済効果が生まれている例を紹介。実施したイベントに1万人以上が参加するなど、地域活性化や集客効果が位置情報ゲームを通して見込めることが実証されていることが語られた。

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街中でプレイヤーを見かけることも多い『ポケモンGO』を見れば、もはや位置情報ゲームを理由に外出する人が増加しているのは火を見るより明らか。この動きについて山崎氏は「さまざまな遊びかたを提供することで外出する人が増え、そこからコミュニティが生まれていったのではないか」と、プレイヤーの動向を分析している。

また加えて、ほかのゲームジャンルと比べると、簡単に人が集められるのも位置情報ゲームの強みだともコメント。その経済効果の高さを匂わせている。

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『TSUBASA+』を開発中の志賀氏もこうした前例をもとに、アプリ内だけでなく現実でもお祭りを起こせる可能性があると期待を寄せているという。サッカーがテーマになる『TSUBASA+』では、毎週サッカースタジアムでイベントを起こすことも計画しているそうだ。

位置情報ゲームは生活の一環に組み込める存在

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3つ目のテーマは、“コミュニティーが生み出す価値”について。レイドバトルをはじめ、ユーザー間交流を活発化させる仕掛けが搭載されていることも多い位置情報ゲームだが、そこで生まれたコミュニティはどういった効果を生み出すのだろうか。さまざまな例とともに、その価値が語られた。

『駅メモ!』にはコミュニケーション機能として、アプリ内で「○○駅にある蕎麦屋がおいしい」など、ユーザーが情報を投稿できるシステムが搭載されている。このシステムについて志賀氏は“ゲームセンターの格闘ゲームで、ランキング上位にいる人に勝つために通う”という、かつてのゲーマーコミュニティの形を引き合いに出したうえで、「モバイルゲームの普及により、地域に根ざしたコミュニティシステムは鳴りを潜めてしまったが、位置情報ゲームはそれを取り戻してくれるのではないか」と、その期待を口にしている。

「私たちにとってもコミュニティは重要視している要素です」。山崎氏は再三に渡ってコミュニティの必要性を語る。虫好きが集まるユーザーコミュニティや、集いや疲れたらビールを飲むコミュニティなど、ニッチなものからメジャー感のあるものまで、『イングレス』を通じて趣味のコミュニティは生まれ続けており、それはいまでも発展しているという。

こうして人と人とがつながると、ゲームの継続率というのは高くなる。いっしょに遊ぶ友だちの存在というのは、どのゲームジャンルでも重要だが、位置情報ゲームではそれが生まれやすいのだろう。そう考えるだけでも、コミュニティがいかに重要で価値ある存在なのかが想像できる。

ここで、『駅メモ!』が配信から3年が経過したころから売り上げが伸びている例をもとに、位置情報ゲームの持続性についてもいくつかの意見が出された。

宮嶌氏によると、モバイルファクトリーが手掛けるほかのタイトルと比べ『駅メモ!』はユーザーの継続率がバツグンに高いという。これは『駅メモ!』がゲームとライフログツールの中間に位置することが要因であると分析。電車で移動したらチェックインするという、ひとつの習慣と化すことで離脱率が低くなっているのだそうだ。

未来の位置情報ゲームはどんな形に?

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最後の話題は、“次の位置情報ゲームとはどんな姿か”というもの。

『TSUBASA+』を開発中の志賀氏は、“日ごろ目にしている風景が、まったくべつのものとして映し出されること”が位置情報ゲームのひとつの魅力であり、それがあるため位置情報ゲームはゲームであると同時にライフツールとしての側面を持つと語る。氏がサッカーを題材とした位置情報ゲームを開発しているのには、そういった理由もあってのことだそうだ。

このように、自分が見たいと思った世界を作り、そしてそれを現実世界にしっかりと重ねられるのは位置情報ゲームの強み。つぎの位置情報ゲームは、こうした“理想の世界を現実世界に重ねるもの”の延長線上にあるのかもしれない。

これを裏付けるように、山崎氏は「『ポケモンGO』は、AR機能が追加されたタイミングでゲームに復帰したユーザーが多かったんです」とコメント。地図として世界を重ねるだけでなく、ARを使った世界の重ね合わせを追加させることで、自分の子どもとポケモンの写真を撮るなど、新しい楽しみが生まれたため、起きた動きだという。

宮嶌氏は、つぎの位置情報ゲームについて、位置情報以外の要素がキーになると予想。とくに、ゲームアイテムの所有権が明確になるブロックチェーンのシステムがポイントになるのではないかという。

たとえば、いくつかのスポットを巡って素材を集め、それで強力なアイテムを作ったら、それをほかのユーザーに対して売却する機能などである。

清古氏もブロックチェーンと位置情報ゲームとの組み合わせに賛同を示した。「ブロックチェーンをうまく使えば、アプリ単独ではなく、位置情報ゲーム同士のコミュニケーションも正しく行えるのでは?」とのこと。

ブロックチェーン技術は、ネットワーク上に記録されたデータの正しさが強固に守られるシステムだ。これを利用すれば、たとえゲームをまたいだとしても、その正しさや価値は損なわれることがない。これを利用したゲーム間コラボが、“新たな発展の契機になるかもしれない”ということのようだ。

以上の内容を最後に、セッションは終わりを迎えた。社会現象を引き起こした『ポケモンGO』をはじめ、多くのプレイヤーを動かす位置情報ゲーム。AR技術と組み合わせたタイトルも確実に増えているが、これからこのジャンルがどのような進化を遂げていくのかはまだ不明。

未来の位置情報ゲームはどのようなコンテンツになっているのか、注目していきたい。

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