【新作】言葉なき世界で視覚情報を頼りに謎を紐解く愛らしい人形のショートストーリー『gARret』

大切なひとの願いを叶えるたったひとりの大冒険

幼少期に肌身離さず愛用していたおもちゃも年齢を重ねるごとに自然と手もとを離れ、思い出とともに押入れの奥底にしまわれていく。

誰にでもそんな品がひとつやふたつはあるだろう。

本記事で紹介する『gARret』（ギャレット）はそんな女の子と人形の物語。屋根裏にしまわれていた人形が、主である女の子が探している壊れた時計を修理するため、7つの部品を集める旅に出る。

言葉をいっさい使わず絵本を見ているような感覚で展開する、最後まで優しさに包まれたショートストーリーは必見だぞ。

屋根裏の住人との交流を描く美しい演出

「ねぇ、おかあさん。わたしの時計どこにある？」

「それなら壊れてるから屋根裏の物置にしまってあるわよ」

きっとそんな親子の会話から始まる本作は、セリフや文字をいっさい使わずイラストのみで物語を描いていくアクションゲーム。

ときを同じくして屋根裏で眠っていた人形が目覚め、持ち主である女の子のため時計の修理に必要な7つの歯車を探す旅に出るのだ。

本作は平均30分程度でクリアーできるショートストーリー。

画面をスワイプした方向（左右）に可愛らしい人形が動き、矢印のアイコンでジャンプ、特定のポイントでふきだしのアイコンをタップすると住人の考えていることや攻略に不可欠な謎解きをイラストで教えてくれる。

少々クセのある操作性ではあるが複雑なアクションはいっさいないので、この世界観に興味が湧いたひとであれば、誰でもクリアーまで楽しむことができるだろう。

また、1部の住人からは出題される謎解きは直接イラストに触れながら紐解くことができる。

特定のアイテムを組み合わせたり分解するといったいわゆる脱出ゲーム的なアプローチもなく、じっくりとこの世界に浸ることができるのも大きな魅力だ。

じつはBGMもしっかり流れているのだがとても小さく、ボリュームを90％くらいまであげないと（筆者の場合）まともに聞こえない。

無声映画やサイレント映画とよばれる映像作品のように、目の前で展開する光景からプレイヤー自身が物語を感じ取る必要があるが、そうした要素もおとぎ話のような世界にはマッチしていると感じたぞ!!

7つの歯車を集めて迎えるやさしい結末

主である女の子が探している時計を修理するため、人形であるプレイヤーは屋根裏に点在している7つの歯車をさまざまな困難を乗り越えて集めていく。

歯車を当てはめるパズルでひとつ注意したいのが、最初から存在する両サイドの歯車はいっさい関係ないということ。下記の画像にある赤い枠の中にある7つの白いピンに歯車が噛み合うよう配置するのが目的なのだ。

正しい場所に当てはめることができると対象の歯車は点灯するのでそれを目安にすると簡単に解くことができるだろう。

時計を必要とした女の子の願いを叶えるためなのか、それとも偶然のできごとだったのか。目覚めた小さな人形はひとつの想いを抱きながら最後のパズルを完成させる。

本作をプレイする過程で筆者の脳裏をよぎったのは、幼少のころボロボロになっても握りしめていたイヌのぬいぐるみだ。

女の子が愛用し手放さず保管していた人形のように、みんなにも何かしら愛着を持っていたモノがひとつはあるだろう。

ぜひ、本作を通じて当時の記憶をさかのぼり、いまも思い出の品が眠っているならばこれを期にあらためて触れ合ってもらいたい!!

P.N.深津庵
※深津庵のTwitterはこちら

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