『逆転オセロニア』いちこ(お泊まりスクープ)/世界のザキヤマが独断と偏見で選ぶ推し駒`s 【FILE215】
2024-07-13 19:00
2017-09-01 19:46 投稿
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逆転オセロニア
体感的に、例年よりも遙かに参加人数が多いと感じられたCEDEC 2017(ゲーム開発者向けカンファレンス)も本日(9月1日)で最終日。
技術系の話が多いCEDECだが、今回はそこから少し離れ、ゲーム開発・運営をサポートするゲーム分析に関するセッション“一周年で爆発した『逆転オセロニア』における、ゲーム分析の貢献事例 ~開発・運営の意志決定を全力でサポートする、DeNAのゲーム分析体制~”のリポートをお届けしよう。
一般的にはなじみの薄いであろうゲーム分析の世界。ゲーム分析という仕事は、どのようにして開発、運営をサポートしていくのか。そして、どのようにしたら成果が上がるのか。そういった点も説明してくれた本講演をまとめていく。
なお、講演を行ってくれたのは『逆転オセロニア』(以下、『オセロニア』)をリリースしているDeNAの藤江清隆氏と奥村 純氏となる。
昨年末に放映したテレビCMを皮切りに、凄まじい勢いでファンを増やし、今年8月には1300万ダウンロードを達成した『オセロニア』。
まずは、この年末年始にかけて起きた爆発的な成長の背景で活躍したアナリストたちの動向が語られた。
ちなみに、どれくらいの成長を遂げたのかというと、DAU(1日あたりにサービスを利用したアクティブユーザー数)が5倍に伸び、そのユーザーがどれだけ続けてゲームを遊んでくれているかという“継続率”は2倍に伸びたという。
DAUの伸びにも驚くが、それよりも注目すべきは継続率の伸びだ。通常、継続率が改善したといっても、多くて数10%。2倍という伸び率は珍しい事例だ。
このような驚くべき業績の背後にあったのがデータアナリストの存在。このとき一般ユーザーの見えないところで、アナリストたちはどんなことをしていたのだろう?
まず弁を振るったのは、奥村氏。
氏は冒頭に「我々アナリストからしてみると、継続率というのは最重要指標です。それを伸ばすため、我々が掲げる運営姿勢“ユーザーファースト”という考えを前提に、継続率を妨げる要因を分析し、それの改善を第一にアクションを起こしました」と語ってくれた。
たしかに、集客数が伸びたところで継続率が低いままならばゲームの勢いは加速させにくい。『オセロニア』の分析チームは、まずこの継続率の改善に着手すべくデータの洗い出しを始めた。
では、その継続率を改善するために、どのような施策がとられていたのだろう?
『オセロニア』でまず行われたの新規ユーザーの離脱を抑えるための施策。これを行うために、アナリストは新規ユーザーが離脱するきっかけなどを分析。
その結果、“ゲーム内通貨の獲得契機の少なさ”、“対人戦のマッチング不備によりしばしば発生していた強者とのマッチング”などが問題になっていることが判明したという。
これを改善するために、ゲーム内通貨を得られる契機を増やしたり、強力なキャラが手に入るガチャを設置したり、定番キャラクターを集めやすくしたり、マッチングの改善案を提示したりといったことを行ったそうだ。
しかし、ここまで取るべき施策が多いと、どこから手を付けるべきかがポイントになってくる。どれも平行して進められればベストだが、コスト的にそれを行うのはどんな企業でも現実的ではないだろう。
そこで、『オセロニア』の分析チームは着手の優先度を決め、スピードを落とさず動き続けるためにユーザー調査と仮説検証を行ったという。
ユーザー調査とは、インタビューやゲーム内アンケートを用いたユーザーの感情を拾う作業。分析チームは、ユーザーを社に招いて意見収集を行うなどして、最優先すべき課題を洗い出したという。
また、ゲーム内アンケートでは各要素ごとのユーザー満足度を集計し、これを数値化。さらにそれを視覚的に捉えるためグラフに置き換えて、施策の優先度を決定したという。
分析チームがとったもうひとつのアクション・仮説検証は、通常時間がかかってしまうものだが、『オセロニア』の分析チームはこの形を少し変え、途中結果でも展開して頻繁にチーム内で議論が行える場を作ったそうだ。
「小さなアウトプットでも、高頻度で出し続けことによって、チームを巻き込んだ議論を発生させ、仮説・検証精度を上げることができます。また、情報を高頻度で更新することで、チーム内で課題に対する共通認識が作れるようになったのも大きかったですね」
そう語る奥村氏。途中結果でも展開するとなると、施策への対処が遅くなりそうなイメージがあるが、実際にはそうではなく、とくに今回のように複数の課題に対処していく場合にはとくに有効な手段なのだそうだ。
また、その動きから派生して、毎朝主要メンバーでデータを振り返りながら課題仮説を議論し、アナリストはその課題を即日で分析し、その結果を社内チャットツールに流すというアクションも取ったとのこと。
これにより、チーム全体が議論を把握、参加できるようになり、多くの仮説を生むことができたそうだ。
このような分析チームの動向があり、『オセロニア』が抱えていた課題は素早く、確実に処理されていき、大幅な継続率改善に繋がったのだという。
継続率が改善したところで、つぎに課題となるのは集客の効率化。継続率がいくら上がったところで、新規ユーザーが入ってこないことにはコンテンツは萎んでいってしまう。
これについて奥村氏は「集客の効率化で大事なのは2点。どのような経路で人が流入し、どのような起点で遊んでいるかです」と語る。
つまり、何でゲームに興味を持って、何を求めて入ってきたかによって客層を分析し、それに合わせて施策を取っていくことが大事ということだ。
そこで紹介されたのが、『オセロニア』の集客動向。グラフによると、リリース直後にストアにピックアップされたことで大量にユーザーが流入してきたことは明確だが、有名YouTuberの紹介動画をきっかけにプレイを始めたユーザーが意外にも多いことが目立つ。
このYouTuberからのユーザー流入は、それがどういった客層で、彼らが何を求めているのか?
調査を進めたところ、YouTuberから流入してきたユーザーのは若年層が多く、分析チームは実際に学校などに出向いてアンケートを行い、若年層の知見を溜めていくことにしたという。
それと同時に行われたのが、YouTuber動画を視聴するユーザーの理解と、YouTube動画の研究。どういったタイミングで若年層が動画を視聴し、どういった企画が人気なのか。
これらの知見蒐集をほかのユーザー層のものと同様に地道に行っていった結果が、年末年始の爆発的集客に繋がる一因にもなっていく。
その後行われたのが、“どのように分析し、それをどうアウトプットすれば事業に貢献できるか”という話。
こちらの話は同じアナリストという立場の人に向けたトークとなっていたので、簡単にまとめていこう。
藤江氏はまず「事業フェーズや環境によって有効な情報、そしてそれに対して必要な分析は異なります。なので、タイトルを全方位から支えるためにも、さまざまな分析手法を用意することが重要です」と語る。
事実、『オセロニア』分析チームは、『オセロニア』とそれを取り巻く環境を分析するため多数の分析メニュー、そしてプロフェッショナルを用意し、チームをバックアップしていたという。
しかし分析においてもっとも重要なのは、“コミット”することだという。
コミット、辞書での意味は“責任を持って取り組む”などの意味合いとなるが、ここでのニュアンスは“担当するタイトルを、自分のことのとして考え、取り組む”、“ゲームを作るチームと一体となる”ということ。
そうすることで、ユーザーの肌感を理解しきれないまま、数字だけの分析結果を垂れ流したり、依頼したことだけをこなすだけのアナリストになることを防げるという。
アウトプットの質向上は同時にアナリストの存在意義を高めることに繋がる。本当に必要な分析は何なのかを考える力を養うことができれば、意志決定をする人からも信頼が得られ“アナリスト=数字だけを見ている評論家”というイメージを脱却できるのだという。
そして、そういった信頼感を得て、意味のある行動を示せて初めて、アナリストは事業へ貢献できるのだと、藤江氏は力強く語る。
表舞台からは見えづらい仕事で、なおかつ事業への貢献度合が見えにくい分析という仕事だからこそ、実現への関与は重要なのだろう。
事実、『オセロニア』の分析チームはこういったアクションを意識し、ただ示唆・問題提起するだけでなく、要件に合わせた企画書の提出や、パラメータ実装などといった関与を行い、チームに貢献したとのこと。
ゲーム業界で働きたいという人は、ゲーム事業への貢献の道として、こういった仕事もあるのだということを覚えておくといいだろう。また、強く興味を持ったのならば、その道を目指して進んでみてはいかがだろうか。
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対応機種 | iOS/Android |
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ジャンル | RPG/テーブルゲーム |
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メーカー | DeNA |
公式サイト | https://www.othellonia.com/ |
公式Twitter | https://twitter.com/Othellonia_info |
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