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2024-07-04 13:51
2017-08-31 14:07 投稿
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アナザーエデン 時空を超える猫
2017年8月30日~9月1日の3日間、パシフィコ横浜で開催中の開発者向けカンファレンス“CEDEC 2017”。
ここでは、グリーの阿部智司氏、井田勝氏両名によって行われた講演“本格スマホRPG『アナザーエデン』開発の裏側を包み隠さずお話します ~コード資産もなく、チームとしての経験も豊富ではない中エンジニアはどう挑んだのか~”の内容をまとめていこう。
『アナザーエデン』の開発環境紹介と、開発時に浮き彫りとなった課題とその解決への道のりが語られた講演となっている。
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『アナザーエデン』とは、グリーより提供されているスマホ向け本格RPG。2017年の4月にリリースされて以来順調な伸びを見せ、8月時点ですでに300万ダウンロードを突破したタイトルだ。
開発当初からコンシューマーゲームを意識したゲーム開発を目標に掲げてはいたものの、プロトタイプ制作時点で、コンシューマー開発経験者は3名、リリース時でも経験者は6名しかおらず、開発には多大な苦労があったようだ。
講演でまず行われたのが、『アナザーエデン』の開発環境紹介。その中でもとくに興味深かったのは、『アナザーエデン』開発母艦として用意されたクライアントFurutyの話。
FurutyはmacOS環境で稼働するゲームクライアントで、これひとつで各種デバッグ機能が行える通常ゲームモードと、マップ開発・編集が行えるマップ編集モードが利用できるのだそうだ。
Furutyを開発した背景には、トライアル・アンド・エラーを滞りなく行いたいという思いがあったという。
通常ゲーム開発で行われるトライアンドエラーは、データ入稿、アセットビルド、アプリビルド、インストール/ダウンロード、動作確認というサイクルを延々回していく手法が取られるが、この中でも、アセットビルド、アプリビルド、インストール/ダウンロードの作業工程には大きな待機時間が発生する。
この待機時間を減らす目的で、単体でモバイル端末環境を再現でき、アプリビルド、インストール/ダウンロードの手間を削除できる環境Furutyの開発に至ったそうだ。
こういった開発環境の整備により、『アナザーエデン』の開発期間は冗長せずに済み、いまに至るという。
阿部氏はこの環境整備について「欲しいものは全部作りました。量を積み重ねて質を作り、その質を量産して『アナザーエデン』は完成しました」と語る。
人とノウハウがない環境だからこそ、必要と思われるものから着手したということなのだろう。環境整備の重要性がうかがい知れる。
続いて語られたのが、バトルシステムを開発した際に直面した課題と解決に至るまでの道程。これについて語ってくれた井田氏は、これまでにも開発経験はあったものの、バトルシステムの開発は『アナザーエデン』が初とのこと。
そのため、ノウハウ不足、コード資産不足によりバトルシステムを1年半で5回も作り直すことになったという。
作り直しの中でもいちばん苦労したのが、プロデューサーによる発言から始まった“ある企画”だという。
その企画とは、東京ゲームショウ2015で企画発表を行った際にユーザーから寄せられた冷ややかな反応。それに対するプロデューサーの一言「じゃあ、みなさんで仕様を決めましょう」から始まった企画。
この発言をきっかけに、ニコニコ生放送でアンケートが行われ、ほぼ完成しかけていたバトルシステムも作り直すことになり、今の形となった。
バトル以外にも苦労した開発部分はあったという。それは、シームレス機能について。
『アナザーエデン』はシームレスというキーワードを大切に作られたタイトル。実際にゲームをしてみれば体感できるが、本作にはフィールド移動もバトルへの移行もすべてシームレスで行われる。
シームレス機能を整えるうえで、やはりネックになったのはファイル読み込みに起因するカクツキの発生。これを改修するために、非同期読み込みや、サーバーとの通信を最小化したりといった工夫がなされたものの、劇的な改善には至らず、思い悩まされることになったとのこと。
そこで、ファイル読み込みの関数にmmapを使うと読み込みが早くなるという情報を信じ、これを採用したところ、読み込み速度が100倍近く早くなったという。
しかしそれでもまだローディングが長く、キャラの読み込みは遅いと感じられる。そのボトルネックとなったのは、データ交換フォーマットJSON形式を採用したデータの読み込みにあった。
『アナザーエデン』の2Dアニメーション開発には、Spineという開発ソフトウェアが採用されていたのだが、開発当時のSpineには、バイナリ形式でファイルを読み込む機能がなく、それが読み込み速度のボトルネックとなっていたのだ。
この問題に対し、『アナザーエデン』開発チームはバイナリ形式でファイルを読み込む機能を自前で実装することで対応をしたという。
このような努力によって読み込み速度の問題は見事解決したそうだ。ノウハウがなくても、積み重ねを経れば解決の道は見えてくる。
講演では、Githubのbot開発フレームワークHubotが開発に活躍した点にも触れられた。
Hubotは、javascriptなどで簡単に拡張が可能なチャットワーククライアントbotで、jenkinsで構築したアセットビルドやデプロイなど、各種ジョブをチャットで命令するだけで行える便利なシステム。
開発チームはこのHubotを拡張し、親しみが持てるようゲーム中にも登場するアンドロイド、リィカの名前を付けて作業に当たっていたという。
このHubotリィカと、それを拡張したマスターデータを管理するエクセルファイルのロックを管理する機能(Excelくん)は開発に大きく貢献した、と井田氏は振り返り、「リィカとその機能によって入稿ミスが激減し、マスターデータの巻き戻り事故もゼロにできました」と語った。
ソフトウェア開発はもちろん、ゲーム開発にも広く使われるようになったGithub。Githubをチームで利用している人は、このHubotも利用してみてはいかがだろうか。
講演の最後に、井田氏は開発の苦労についてこう述べている。
「ノウハウがないのは大変なので、まずは積み重ねを行うことが大事です。私たちにはコード資産もありませんでしたが、この積み重ねによりその両方を手にすることができ、それが新規プロダクト(※)にも繋がったので、非常にいい経験ができたと思います」
※井田氏が語る新規プロダクトとは、『ダンジョンに出会いを求めるのはまちがっているだろうか メモリア・フレーゼ』(以下、『ダンメモ』)のこと。
『ダンメモ』は、『アナザーエデン』開発の経験のもと作られ、なんと10カ月という短期間での開発を実現した。
経験は何にも代えがたい資産であることを経験則として語ってくれた両名。いまも経験をため続けている両名と彼らが所属するスタジオWright Flyer Studiosの今後の活躍に期待したい。
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対応機種 | iOS/Android/ブラウザ |
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価格 | 無料(アプリ内課金あり) |
ジャンル | RPG |
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メーカー | ライトフライヤースタジオ |
公式サイト | https://another-eden.jp/ |
配信日 | 配信中 |
コピーライト | (C) WFS |
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