【新作】実話ネタ!?　調べてみたら最悪の出来事だらけの家だった 『事故物件からの脱出』

女子高生とふたりきの訳あり物件生活

心理的瑕疵（しんりてきかし）

過去に事件や事故、火災や自殺、殺人など目に見えない不具合や欠陥のある物件に対して不動産業界でよく使う言葉であり、要するに訳あり物件や事故物件と呼ばれる類のこと。

そんな家に引っ越してしまった高校生の主人公と、興味津々な女の子が過去の真相に迫る謎解きゲーム、それが『事故物件からの脱出』だ。

実写だから臨場感抜群！　背筋が凍るお宅拝見

本作に興味を持った最初のきっかけは“事故物件”、“実話”という言葉。

著者の両親は建築に関わる仕事をしていて、日々いろいろな現場を日々出入りしている。とくに最近はリフォームが多いようで、その中には事故物件もあったりで丁重にお断りする様子を間近に見て来た。

臭いのレベル、どの部屋が現場になっているのかなど、細かな説明を受けるらしく、その会話を聞きながらの夕飯はじつに辛いものがある。

そんな著者にとってこれは他人ごとではない。

両親と弟は気分転換を兼ねて2泊3日の旅行に行って不在、そんな状況で彼女が来るとか最高だろっ！　って展開だけど、浮かれていられる事態ではない。

おそらく実際の家を撮影して制作されている本作はどこに行っても超リアル。何気ないシーンでもリフォーム済みの綺麗な屋内から漂う無機質な空気が、何とも恐怖心を煽ってくるのだ。

ジワジワと迫るあいつらの気配

最近のホラー脱出ゲームといえば驚かせることを前提に、脈略を感じない場面でも頻繁に恐怖演出を使うものが多い。

もちろん、そうした効果に毎度声を出して驚いちゃうし大好物なんだけど、本作では“まだ!?”と心配になるくらい静寂が続く。

しかし、あいつらの気配は間違いなく“そこ”にある、そう感じる異様な空気が流れているのだ。

ゆっくりと彼らの身に異変が起こる中、ある日を境に物理攻撃とも思える積極的なアクションが始まり、物語はいっきにクライマックスへと進んでいく。

その緩急の付けかたに好みが別れるところだけど、本作は“実話である”と前置きをされているので、見えない恐怖と周囲の異変がよりリアルに感じられてワクワクしたぞ。

お手軽難易度の謎解きパート

毎章の冒頭では、主人公のミサキもしくはシイナが必要なアイテム、どこを調べてみるべきかなど、ストーリーに沿って大まかな目標を話してもらえる。

第1章で手渡される紙と塩を組み合わせて“盛り塩”に。

第2章はキッチンで回収した“鍵”をリビングの引き出しで使用。

第3章ではあらかじめ置いておいた盛り塩のある和室、その後浴槽で不思議な現象が……っと、実際にプレイしているとごくごく自然な流れになっており、何ひとつ悩むことなく最後まで遊ぶことができた。

ほどよい恐怖を味わいながら楽しんでもらえる難易度なので、謎解きやホラーは興味あるけど苦手という方にもチャレンジしてもらいたい!!

P.N.深津庵
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