【新作】いらない子は連れていかれる!?　古き言い伝えの謎を解き明かせ 『四ツ目神』

この夏、帰省先で寝る前に読みたくなる物語

「“いらない子”は、四ツ目神（よつめがみ）につれていかれちゃうよ」

とある山奥の閉鎖的な村に伝わる奇妙な迷信。わけあってそこを訪れることになった主人公のマイが、引き寄せられるように言い伝えの渦中に巻き込まれていく謎解きノベルゲーム『四ツ目神』。

脱出系の謎解きはそこそこに物語に重点を置いた本作。

徐々に明かされていく神隠しにも似たその言い伝えの真相は、さまざまな選択肢で分岐、目を背けたくなる恐怖もあれば、涙腺を刺激するものなど、全12の結末に向かって変化していくのだ。

現在と過去が交差する目が離せないストーリー

著者が子どものころ、某団地に住んでいた。そこにはとある階の空き部屋に不思議な噂があって、子どもの多くは息を止めて駆け抜けたり、夏のこの時期になると肝試しだと覗き込もうとする連中もちらほら。

のちにその団地はちょっとした名所になってしまったけど、みんなの身近なところ、もしくは両親の田舎などにも何かしら奇妙な言い伝えがあったと思う。

本作の主人公マイもまた、わけあって帰省した父親の故郷を訪れたことから想像も絶する事象に巻き込まれてしまうのだ。

長い道のりから疲れて眠っていたマイは父の実家、相良家の一室で目を覚ます。

夢から覚めた彼女は面を被ったふたりの子どもと出会い、母を助けてと導かれて田畑のあぜ道を抜けた山奥にある四ツ目神社に迷い込んでしまう。

連れ出したくせに姿を消してしまうふたりの子ども。

彼らと入れ違うように現れたイミゴと名乗る人物は、神社への立ち入りを禁ずるが、迷いの森と化した山からマイは下山できず。その謎を解くため、イミゴといっしょに周辺の探索を始めるのだ。

ここまでの展開はじつに淡々としている。孤独であれば心細くもなるんだけど、イミゴのおかげでそんな不安は微塵も感じず、幽霊や化物がワッと出てきてびっくりしちゃうのも、もうしばらく先の話。

そのかわり、まぁ出るわ出るわ……

彼らが登場するのは物語の折り返し地点より少し手前、これ以降、四ツ目神神社の秘密、マイが聞いた謎の声の正体が紐解かれていく。

ふんわりなごみ系の掛け合いとイケメン推しもここまで。冒頭でもお伝えした通り、全12の結末に向かって恐怖あり、涙ありの物語を楽しめるので期待してほしい!!

アーカイブは結末を迎えて完成する

本作にはアーカイブと呼ばれる記憶の断片を示すものが隠れている。

最初は“四ツ目神社”という章、マイが目覚めた部屋の奥にある写真、“東京”という章ではタンスのうえにある写真立てを回収、その後関連する結末を迎えることで、断片的だったアーカイブが完成するのだ。

それ以降は日記を中心にアーカイブが追加、真の結末への道が開かれていく。

このへんの要素はクリアーが前提なので、ちょっと根気の必要な要素だけど、未回収のものがあればアーカイブの一覧でチェックできるので活用しよう。

全12エンディング解放後に明かされる真実!?

ショップで有料の“特別ショートストーリー”を購入。全エンディングを解放すると、本編で語られなかった過去、キャラクター9人分の日常パートを楽しむことができるのだ。

主人公のマイは当然あるとして、あのイケメンの日常パートも存在するのか。何だか幅広い層に響きそうな有料コンテンツ、興味がある人はまず、全クリを目指して頑張ってほしい!!

P.N.深津庵
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