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Apple Watch専用本格RPG『コスモスリングス』を発表! プロデューサー安藤武博氏に直撃インタビュー

2016-07-25 12:07 投稿

時計×ゲームの新たな挑戦作『コスモスリングス』

スクウェア・エニックスは、Apple Watch専用の新作RPG『コスモスリングス』を2016年夏に配信することを発表した。

本作はApple Watch専用の本格RPGで“時間”や“歩数”など、Apple Watchというガジェットを活かしたゲームシステムを採用している。そこで今回、元スクウェア・エニックスで現在は株式会社シシララを設立し、ゲームDJとしても活躍している安藤武博プロデューサーと、スクウェア・エニックスの神戸駿プロデューサーに直撃インタビュー。Apple Watchでのゲーム制作の裏話などについて聞いた。

安藤武博氏
『ケイオスリングス』シリーズなどを手がけた、元スクウェア・エニックスのプロデューサー。現在は株式会社シシララ代表取締役社長。ゲームDJとしても活躍中(写真左)

神戸駿氏
スクウェア・エニックス  『コスモスリングス』の開発プロデューサー(写真右)

Apple Watchでゲームを作ろうと思ったきっかけ

──まず、このゲームを作ることになった経緯を教えていただけますか?

安藤 僕がスクエニを離れるときに、スクエニから「会社を離れても、おもしろい企画があったらウチでリリースしていいよ」とおっしゃっていただいて、わざわざ独立してスクエニと組む意味を考えました。回答はふたつあって、ひとつは超大作を作る、もうひとつはまだ誰もやったことのないことをやる、という2本柱です。そういった中で、スクエニの人たちの声もあってたどり着いた企画のひとつが本作なんですよ。

──プラットフォームとして、Apple Watchを選んだのはなぜでしょうか?

安藤  いまの時代で新しいものといえば、まずVRなんですよ。後はスマートテレビとApple Watchというガジェットの3つに絞られていました。そうやって考えていたときに、Apple Watchは誰もやってないのでピンときましたね。やってないわけではないのですが、日本において本格的にゲームを作ってる人はすごく少なくて、時計の ゲームは新鮮でいいなと思いました。

──VRやスマートテレビではない理由は何でしょう?

安藤 スマートテレビは、インターネットのストリーミングなどでゲームが遊べるようになる感じで、ネットフリックスのように、サービスを受けられる環境を作ることが新しくて、作り手の知的生産労働とあまり関係ないんです。けっきょく遊ぶ環境が変わるという話なので、あまり新しさを感じませんでした。VRはアイデア次第なんですよね。ただ、いろいろ研究したんですけど、なかなかお金がかかるんです。さらに去年のいまごろ(2015年7月)の時点ですでに、僕個人としてはタイミング的に後手を踏んでる感じでしたので(笑)。

 

放っておけない放置系RPGの魅力

──Apple Watch、つまり腕時計で遊べるということですが、どういったゲームなのでしょうか?

安藤 RPGなんですけど、放ったらかしにしていてもおもしろいゲームというアイデアをベースに作成しました。

神戸 ゲームを起動していないときでも主人公が勝手に旅に出かけて、敵を倒してどんどん進んで行き、そこで持って帰ってきたものを装備して、また旅に出るといったことをくり返していく。簡単に言うとそういったゲームです。

──どんな経緯でそういったアイデアが産まれたのでしょうか?

安藤 岡田さん(岡田卓哉氏、スクウェア・エニックスのプロデューサー)とふたりきりで飲みにいったときに、岡田さんから「作りたいものがあるんだよね」という話があって、それが「放ったらかしにしてればおもしろいゲーム」っていうアイデアだったんです。時計って時間を確認する以外は基本放ったらかしだから、このアイデアと時計は非常に相性がいいんじゃないのかと思いました。僕がそのアイデアおもしろいですねと岡田さんに話したら、「安藤さんがプロデュースするのであれば、このアイデアあげる」って言ってくれたんですよ。そこから、何もしていなくても冒険がどんどん進んでいくようなRPGを企画しました。

──何もしていなくてもゲームが進むRPGということは、プレイヤーは一切介入しないのでしょうか?

安藤 当初試作で作っていたものは、何分間か待つとゲームが自動的に進んでいくというものでした。しかし、作っていくうちに、時計でも放っておけない。続きが気になる時点で「待たされること」がストレスになるということがわかったんです。

神戸 たとえば、RPGでつぎの町に行きたいのに「30分待ってくれ」と言われたらストレスになるじゃないですか。

安藤 そうなんです。ゲームを進めたいのに進められない。『コスモスリングス』でもと似たようなことが起こってしまったんです。ちょうどその問題点が判明したタイミングで神戸プロデューサーがチームに合流してきて、いっしょに再構築案を考えましたね。

神戸 そこで、プレイヤーが介入できる要素としてスキルを加えました。スキルには攻撃アップや必殺攻撃などがあり、それらを連続で発動すると“アクティブチェインスキル”といった強力な攻撃になります。スキルは一定時間チャージしないと使用できないので連発はできませんが、これだけでボスを効率よく倒せるなります。操作はタップするだけなので、完全放置ではなく、シンプルだけど奥が深い仕掛けとなっています。

制限があったからこそ産まれたアイデア

──本作を作るにあたって、苦労した点はどこでしょうか?

安藤 Apple Wacthって音が鳴らなくて、アプリの最大容量が50MBしかないんです。パターン減らしたりとか、色を減らしたりだとか、容量は限界まで削減しました。

神戸 それでいてクオリティを落とさずにバランスを取らなきゃいけないので、たいへんでしたね。

安藤 Apple Watch最強RPGを宣言してますからね。限界ぎりぎりまでやりました。Apple Watchでゲーム制作をしている人はまだ少ないですが、事情を知っている人からすると、このゲームは驚くほど動いてます。遊び手からすると関係ないことですけど(笑)。

──安藤さんは過去にiPodの『ソングサマナー』を手がけていましたが、Apple WatchとiPod、どちらの制限が厳しかったですか?

安藤 Apple WatchのほうがiPodのときよりも制限が厳しかったですね。iPodのときは、そのままiPhoneにもアップデートできたし、『ソングサマナー』ではゲームボーイアドバンスくらいのことはできていました。Apple Watchはそんな状態ではなかったので、ファミコンやiモードのころのゲームの感覚に近かったですね。

──そんな制限の中で工夫して作った点はどこでしょうか?

神戸  Apple Watchのゲームは必ずiPhoneからダウンロードしてペアリングするルールがあります。この制限の中で、どうロールプレイング感を出そうかと考えたとき、iPhoneからスタートするところを逆手に取って、最初に流れる1曲と、最初に映る1枚をとにかく脳内に残るようなものにして、iPhoneで世界観を浸透させようと考えました。

安藤 楽曲を『FFBE』と『ケイオスリングス』でお付き合いのある、上松範康さん率いるElements Gardenに1曲、メインキャラクターデザインを同じく『ケイオスリングス』でお付き合いのある直良有祐さんに1枚だけ作っていただきました。メインビジュアルは1枚だけですが、ゲームの中で1番象徴的に使いたいので能面のようにしてほしいとオファーを出したんです。つまり、見かたによっては喜怒哀楽すべての感情に見えるようなものに。

神戸 モナリザのような感じですね。それに、上松さんの作ってくださった曲はエンディングでボーカル付きの歌も流れたりするんです。

▲直良有祐氏が手がけたイラスト“時の女神”。

──物語はどういったものになっているのでしょうか?

安藤 シナリオも『FFBE』と『ケイオスリングス』でお付き合いのある北島行徳さんにお願いしました。時計を使ってどういうモチーフがいいかと考えたときに、いちばんしっくりくるテーマが、時間を取り戻すということでしたね。北島さんとお話しして、もし時間が止まってしまったらどういうことが人間に起こるのかという物語がいいなと。時が止まるといろいろな歪みが生じるので、そういう人たちの人間模様が散りばめられている感じです。

神戸 全体的な世界観はファンタジックな感じですが、実際は相当リアルな人間の情念みたいなものです。たとえば、病気で亡くなってしまう子どもがいるときに時を止めてしまうと、どうなってしまうかとか。全部で7本物語があるのですけども、どれも時間にまつわる少し悲しく切ない物語です。

──ヒューマンドラマがあるんですね。

安藤 とてもヒューマンドラマですね。それがこの小さい画面に入ってるんですよ! テキストだけはある程度の容量を取っても大丈夫だったのですが、時計にテキストが大量に出てきてもふつうは読まないですよね。なので北島さんに対しても、世界はすごく豊かに作ってほしいけど文字数を限りなく少なくしてくださいとお願いしました。結果、短いセンテンスでグサグサ刺さるような話を書いてくださいましたね。

時代を変える可能性を秘めた挑戦作

──販売形態はどういったものになるのでしょうか?

安藤 売り切りです。エンディングに向かって進んでいくので、そこはRPGの醍醐味ですから。じつは、途中でフリーミアムにしたほうがいいのではないかという話も出たんです。課金してアイテムを購入する仕様ですね。いきなり強化して進みたい方もいるかなと考えまして。ただ本作は「エンディングに向かって進んでいく」ことを大事にしないと、個性が死んでしまうと思いました。時間を取り戻しに行ってるのに、終わらないといったことも生じてしまいますし、売り切りで行こうと。ですので、パッケージのゲームにすごく近い感じです。

──つぎもApple Watchでゲームを作りたいと思いますか?

安藤 もうちょっと時計の機能が進化したらさらにありだと思います。最初にプロジェクトメンバーに言ったのは、「世界でいちばん目立つぞ」ということ。Apple Watchはスマホに比べると普及していませんし、Apple Watchでのゲーム制作自体が希少ですから、とにかく「新しいですね」と言われることに目標を設定しました。Apple Watchはハイパーガジェットなイメージですが、まだできることは少ないんです。50MB制限も緩和されていけば、「時計でゲームをやる人なんかいない」という考えから「今日は時計しか持ってないから時計でゲームをやろう」みたいな時代は来るのではないかと思います。

神戸 『コスモスリングス』は、安藤さんやチームの挑戦心が詰まった作品です。また、仲間たちとこういった新しいことにチャレンジしていきたいです。

──リリースを楽しみにしています!  ありがとうございました。

コスモスリングス

ジャンル
RPG
メーカー
スクウェア・エニックス
公式サイト
http://www.jp.square-enix.com/cosmosrings/
配信日
2016年夏予定
価格
未定(落し切り)
対応機種
Apple Watch

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