VR上で物に触れて重さを感じられる未来がついに!? 触覚にアプローチするVRコントローラーが登場
2016-05-13 17:00 投稿
視覚、聴覚+触覚!?
5月11日、VR向け次世代コントローラーデバイス“Unlimitedhand(アンリミテッドハンド)”の開発者向けキットの発売記念会が行われた。
“アンリミテッドハンド”は、ただのコントローラーではなく、触覚にアプローチをするデバイス。
Kickstarterでクラウドファンディングを開始後、わずか22時間で目標額である2万ドルを達成。60日後には7万5000ドルほどまでの出資金を集めるなど、世界各国が注目を集めている新デバイスである。
また昨年には東京ゲームショウにも出展しており、会場では多くの人を集めた。
“触覚にアプローチする”と言っても伝わりにくいと思うので、まずはざっくりと本製品の特徴をお伝えしよう。
“アンリミテッドハンド”にできることは大きく分けて3つ。まずは当たり前だが、腕の位置をトラッキングすること。そして、次の2点が非常に重要なポイントだ。
・プレイヤーの指(手首)の動きの検出
・プレイヤーの指の筋肉を動かすことで、擬似的に触覚を与える
どうだ、まだ漠然としていてハッキリと伝わらないだろう! “アンリミテッドハンド”の存在は、それだけ革新的なものなのだ。
とりあえず、順を追って説明していこう。
指の動きを検知する?
まず、プレイヤーの指の動きを検出するという機能について。
人間は、指を曲げたり伸ばしたりするのに前腕にある筋肉を使っている。アンリミテッドハンドは、この筋肉の動きをセンサーで感知することで指先までの動きをトラッキングし、VR世界にあるプレイヤーの手と現実のそれをリンクさせるのだという。
つまり体験者がアンリミテッドハンドを付けた状態で手を握れば、VR上に表示された手も連動して握るモーションをする、といった具合だ。
もちろん、人によってこの筋肉の位置や量には差異があるので、キャリブレート(=測定)が必要にはなる。しかし、それを終えれば意外なほどに指、手首の動きを検知してくれる。
VR元年と囁かれる昨今において、指の動きまで認識するコントローラーの数はまだ多くはない。強いて挙げるならばLeap Motionぐらいだろう。
分かりやすくその凄さを説明するなら、ヘッドセットの3巨頭であるOculus Rift、HTC Vive、プレイステーションVRのいずれも、専用コントローラーで腕の動きこそ感知すれど、指先まではまだ感知することができないのが現状。ここまで聞けば、アンリミテッドハンドが秘めた高いポテンシャルに、少なからず興味を持ってもらえただろうか?
発表会後に開かれた体験会では、腕を振り上げて銃を構え、手を握ると銃を撃てるといったデモを体験させてもらった。
まだ開発者向けということで完璧に指の動きを感知してくれるというものではなかったが、かなりの精度で指、手首の動きを感知していた。
擬似的な触覚を生み出す手法とは?
続いては、擬似的な触覚をユーザーに与える機能について。
こちらも、前述した指を動かす筋肉を使用するシステムだ。人間の指が得る感覚は、すべて指で感知されると思われがちだが、じつは負荷や衝撃を感じる機能(体性感覚)は前腕にある筋肉に起因している。
前腕の特定の筋肉に電気的刺激を与えることで、その筋肉を動かすのである。いまいちピンと来ない人は、接骨院などに設置された静電気マッサージをイメージしてもらえれば分かりやすいだろうか。
そうして本人の意思とは別で指を動かすことによって、指に負荷がかかったり、衝撃がきたりといった感覚を錯覚させる仕組みだという。
この仕組みを応用すれば、VR上で銃を打ったときにその反動を感じれる、というのは容易に想像できよう。
また手が外側に曲がった状態になるよう電気信号を送れば、肉体的には内側に向こうとする力が働く。その状態でヘッドセットで物を持つ映像を観ていれば、あたかも”物を持っている”錯覚を得られるのだ。
前項の銃を撃つデモプレイとともに、筋肉への衝撃や、強制的に筋肉を動かす仕組みも体験できた。
下の映像を見てもらえればわかるように、手をだらーんとしていたはずの記者の指が勝手に動いている。
今回のデモではヘッドセットがなかったため、疑似体験という点ではまだまだといった感じ。だが、瞬間的に手が受ける衝撃に視覚的イメージが加われば、間違いなく”何かに手をはたかれている”と錯覚してしまうだろう。
どんな未来が見えている? 開発者に聞いてみた
発表会の終了後、アンリミテッドハンドを開発したH2Lの代表取締役である岩﨑健一郎氏に話を伺った。
――なぜこのようなデバイスを開発しようと思われたのでしょうか?
岩﨑健一郎氏(以下、岩﨑) 『サロゲート』という映画はご存じでしょうか? 脳波で遠隔操作出来るロボットを使うことで、人は家から一歩も出ずに社会生活を送れる、という世界が描かれている作品です。もともと僕は「できる限りは外に出たくない」というひきこもり体質なので、そうした世界にちょっと憧れていまして(笑)。
――わかりますよ! その気持ち!
岩﨑 ありがとうございます(笑)。そんなことを思っていた矢先に、ついに”VR元年”と呼ばれるほどVRが大きく取り上げられる時代がやってきました。それにともなって最近はヘッドセットも数多く発表されていますが、『サロゲート』のような世界を実現するには大事なものが欠けているんです。
――それが触覚である、と?
岩崎 はい。昨今のVRは視覚と聴覚にはアプローチしてくるけれど、そのほかの感覚にはアプローチできていないんです。もしそこで触覚にもアプローチができたら、『サロゲート』のような世界に一歩近づくのではないかと(笑)。
――なんか予想外な動機ですね(笑)。
岩﨑 本当はもともと医療研究用に開発していたものを、VRというジャンルでも活かせるのではと思って転用したのが始まりですが。でも、そういった背景もあるということです(笑)。
――そういった発言を聞けると急に親近感が湧きます(笑)。ちなみに岩崎さんは、今後もしくはいまのVRの展開をどのように捉えらえていらっしゃいますか?
岩﨑 8bitのマイコンからコンピューターへと進化を遂げてきたITですが、PC市場などを見ていると、ここ数年で頭打ちが見えてきたように感じています。ですがVRという技術には、そこを打破する力があると思っています。これからもっと発展してくれるとうれしいですね。
――アンリミテッドハンドでは、どのようなアプローチでITの発展に寄与していこうとお考えでしょうか?
岩﨑 VR、バーチャルリアリティとは要するに感覚をダマすことだと思います。両眼視差を利用したVRヘッドセットは視覚をダマし、立体音響で聴覚をダマす。そして、アンリミテッドハンドは触覚をダマすものです。触覚は原始的な感覚なのでダマすのが難しい感覚なのですが、感覚統合と言いますか、視覚と連動させてダマす必要があるかなと。今後はそういった技術を発展させてVR体験の深みを広げ、それがITの発展につながるのではと考えています。
――今後アンリミテッドハンドの機能拡張などもされていくと思いますが、具体的にどのようなビジョンがございますか?
岩﨑 現状、アンリミテッドハンドは指や手首に軽い衝撃や反動を感じさせるものになっていますが、そこからさらに進歩をさせたいと思っています。具体的には、固さや柔らかさ、冷たさや温かさといった感覚を得られるようにしたいですね。
――すばらしい未来が感じられますね!
岩﨑 これに関するお問い合わせは世界中からいただいていて、とくに期待されている機能だと感じています(笑)。これらの機能が実装できれば、まだ謎に包まれているゲーム内のモンスターの感触とかも楽しめるようになると思います。実際のところどうなっているかは分かりませんが、”『ドラゴンクエスト』のスライムはぷにぷにしていて、ちょっとひんやりしてる”みたいなことがわかる未来が来ると思うとわくわくしますよね。
――それはたしかに心躍ります(笑)。5月11日からDK版(ディベロッパーズキット版。開発者向けキットとも)がリリースされるということですが、それに合せてサンプルソフトなどのリリースなどもあるのでしょうか?
岩﨑 いま用意できているものは、今日の体験会で使ったサンプルデモだけです。ハードウェアの開発に全力だったので、まだソフトウェアのほうにはあまり本格的に着手できていないのが本音です。
――アンリミテッドハンドの製品版はいつごろリリース予定ですか?
岩﨑 スムーズにいけば2016年末あたりで考えています。
――では最後にひと言メッセージをいただけますでしょうか?
岩﨑 マイコン、コンピューター、スマートフォン、タブレットと進化を遂げてきたITが、いま新しくVRという段階にさしかかっています。アンリミテッドハンドは、これまでにない、そしていまのVRには足りない”触覚”というインタラクションを与えるデバイスです。まだリリースしていない開発キットもありますが、面白いものだと思うので、興味がある方はぜひ試してみていただければと思います。Unityはもちろん、Unreal Engineの開発プラグインも用意しています(7月公開予定)し、慣れている人ならば30分ほどで導入が済むようなキットになっています。興味のあるゲームメーカーの方々は、ぜひお声掛けいただけるとうれしいです。
アンリミテッドハンドのDK版は、5月11より公式サイトなどで販売が開始されている。価格は3万5000円(319.99ドル)。
現在のVRでは感じられない、触覚というチャンネルにも焦点があう未来が見えてきた。
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