【パズドレ日記】第5回 70キロを無駄に走った話(その2)
2016-04-11 19:24 投稿
70キロを無駄に走った話(その2)
荒川サイクリングロードパズドレツアーの続き……を書いていなかったので慌てて書く。
世界の終わりのような黒雲の下、荒川サイクリングロードにたどり着いた俺。サイクルロード……ってくらいだから車の流入はほとんどなく(運動グラウンドの関係者が出入りする程度)、信号は1個たりともないので、足が続く限りはどこまででもノンストップで走ることができる道である。関東のサイクリストにとっては聖地とも呼ばれる場所なので、そこかしこでロードバイクとサイクルウェアで武装した“ガチの人たち”とすれ違ったりする。
(ゲーム的に言ったら、ロードバイクは“マウント”でサイクルウェアは鎧、ヘルメットは兜だな。でも、武器がないな)
すれ違いざまにロードの人々と会釈を交わしながら、そんなことを考える。こんなときでも自然とゲームのことが頭に思い浮かんでしまうのは、一種の職業病だろうか。
羽根倉橋のたもとから荒川サイクルロードに乗り、右岸を南下。ここからしばらくのあいだは“菜の花ロード”で、道の左右に張り出す土手は一面が黄色い絨毯のようになっている。
いかにも春らしい雅やかな風景で、思わず、「万が一桜が咲いていなくても、これだけの菜の花があれば十分だなぁ^^」なんて声が漏れてしまったのだが、その瞬間に妙な黒い物体が口の中に飛び込んだ。
「お゛ヴぇぇぇ!! む、虫喰った虫喰った!! ペッペッペ!!!><」
菜の花ロードのド真ん中で急停車し、オェオェペッペと口中の異物を吐き出す。俺の口の中に突撃してきたのは小さな羽虫で、よく見りゃ道のいたるところで虫どもが、ワーンワーンと羽音を立てて渦を巻いているではないか。そのほとんどがハチで、それに混じるようにテントウムシやらアブラムシの羽化後(俺の口に飛 び込んできたものこいつだろう)っぽい虫も……。その数は数千とも数万ともつかず、そいつらが一斉に「質より量で勝負や!!」と叫んでいる感じがする。虫嫌いな人が迷い込んだなら一瞬たりとも立ってはいられない、地獄のインセクトロードが眼前で展開している気がした。
しかし、ここを突破しないことには先に進めないので、「とりあえず口を閉じ、ついでに鼻と目と耳も閉じて最速で駆け抜けるしかない><」と悲壮な覚悟をしてペダルを踏み込んだ。 本当はところどころで止まってパズドラレーダーを確認したかったのだが、このままいくと虫だけで腹いっぱいになってしまいそうだったので(オエッ)、菜の 花ロードだけはノンストップで駆け抜けてしまおうと判断したのだ。
無我夢中で走り続けて数キロ。ようやく菜の花の数が減ってきた。それに比例するように虫も少なくなり、走行環境が快適になる。“本日は今年いちばんの温かさで、最高気温は19度”と天気予報が言っていたわりには肌寒かったが、長距離を走るときには返って適温って気がした。
ふと見れば、荒川の河口まで36キロの地点に。
この荒川サイクリングロードは南下を続けると、最終的には東京湾に達する。つまり、荒川の河口だ。今回の起点とした羽根倉橋から河口までは40キロほどで、もしも往復するとなると、
40キロ×1往復=80キロ
フクザツな方程式の結果、80キロという答えが導き出された。
ははは、80キロ。ホントの本気に80キロ。泣いても喚いても80キロ。80キロと言ったら80キロ。後輩の豊泉三兄弟の体重80キロ(未確認)。ミミミ、ミニベロで80キロ……!!!
「は、80キロか…………。冬のあいだサボりまくっていたこの心肺で、80キロも走れるかな……。しかも長距離が得意なロードではなく、折りたたみのミニベロで……」
正直まったく自信はなかったが、この日のメインの目的である“パズドラレーダーでのトレジャーとドロップ集め”という観点からは、長距離移動は願ったり叶ったりという気がする。荒川の左岸を走れば、それらのお宝をゲットする可能性も増えるだろうし。仕方なく俺は、
「まあ……やれるところまでやってみるかね……」
とお通夜のような声でつぶやき、再びペダルを踏み込んだのだった。
一見、殺風景な荒川サイクリングロードだが、要所要所に「ほぅ……!」とため息が出るような威容を誇る見所がある。まずは、ここ。
頑 丈な壁を思わせる朝霞水門。ライナーとベルトルトが攻めてきても大丈夫な感じ。それもそのはず、国土交通省の解説ページによると、“水門面積・約350平方メートルの日本最大級のゲートを備えています”とのこと。ナルホド確かに、週末はこのへんに水門マニアっぽい人がたくさんいるもんなぁ。
別角度から見ると、こんな感じ。
水面を割ってゴボゴボと、巨大ロボットの胴体が出てきそうな威容ではないか。
ちなみにこのへんは、ドロップの宝庫だった。
たくさんの橋の下をくぐるのも、荒川サイクリングロードの特徴である。
朝霞水門からしばらく南下したところで、思いも寄らない美しい風景に出くわした。
うおおおおお!!! なんだここは!!! 土手も土手の上も真っピンクやんけ!!!
あとで調べたところここは“荒川赤羽桜堤緑地”というお花見スポットで、春のこの時期は桜と芝桜のコラボレーションが見られるというシャレの効いた場所であることがわかった。長く埼玉に住んでいるけど存在を知ったのは今回が初めてで、しみじみと「地元のことって、意外なほど知らないもんなんだねぇ……」と 思ってしまった次第。俺が知らないだけできっと、季節ごとに美しい風景があちこちに広がっているんだろうな。
この荒川赤羽桜堤緑地で5分ほど休憩し、再び自転車に。ちょっぴりと足の疲れを認識しながら新荒川大橋の下をくぐり、数百メートル走ったところで、またまた目の前に水門が現れた。
赤 い水門のすぐ奥に、青い水門の姿も見える。これは旧岩淵水門(赤のほう)と岩淵水門(青のほう)で、見た目どおり“赤水門”、“青水門”なんて呼ばれている。赤水門のほうはすでに役目を終えていて、水門として機能しているのは青のほう。このまわりは桜並木がキレイな上に、バーベキュー用のカマドを無料で使 える“荒川岩淵緑地バーベキュー場”なんかもあるので、休日はいつも賑わっている。この日も桜シーズンということもあってか、多くのファミリーがバーベキューと花見を楽しんでいた。そんな風景を見ていると、ついつい顔がほころぶではないか。
「いいねえ^^ 平和だねえ^^ 春だねえ^^^^」
しかしすぐに、この日の目的を思い出して、ほころんでいた顔がピクピクと引き攣る。
「よくないねえ(#`・д・) さっきから15分ごとにサーチしてるけど、トレジャーはもちろんのこと、虹ドロップすらひとっっっつも手に入らないねえ(怒)」
ここまでのおもな成果は、荒川サイクルロードに入る前に手に入れた“キング大量発生”のトレジャーのみ。虹ドロップも、かすりもしていない。それでもたまーに、
こんな、麻雀で言うところの一向聴(イーシャンテン。あと2枚でアガリの状態)のような状況に直面することもあったが、サイクルロードから外れて探すのがメンド……じゃなかった少々手間だったので、泣く泣くスルーしたのである。
そうこうするうちに、遠くには東京スカイツリーが。
走 り出してから45キロほど。羽根倉橋からは35キロほどの地点だ。ここで、ちょっと長めの休憩をするとともに、補給食を口にする。ここにきて本格的に足が 重くなり、身体もしんどくなってきたので、カロリー補給をしようと考えたのだ。補給食と休憩で、目に見えて自分のHPが回復していくのがわかった。
「ゲームに登場する薬草や回復薬は、こういう効果があるんだなぁ」
目から鱗の体験であった。
そして--。
回復したHPはすぐに、ギガグラビティを喰らったかのようにゴゴゴゴゴと音を立てて減ってゆき、その後は回復3個消しと自動回復の微々たる治癒で誤魔化しながらの立ち回りとなってしまう。
「もう、ダメや……」
「つぎに攻撃喰らったら、ちぬ…………」
疲労のあまりペダルを踏み込めず、おばちゃんが運転するママチャリに抜かれた。どこぞのじいちゃんがホエホエとペダルを回す重そうな3輪自転車にもぶち抜かれた。それでも、気がつけば……。
「あああ、荒川の河口やああああああ!!!!><」
着いた着いた!!! 荒川の河口にたどり着いたぞ!!! 東京湾だ!!! 海だ!!!
いやあ、フラフラになりながらもペダルを回し続けてよかった>< この雄大な景色が見たいからこそ、ここまでがんばってきたんだよな>< ミニベロでも、やればできるじゃないか!!>< ……って!!! 本来の目的を完全に忘れてるじゃねえか!!!!(みずからツッコミ)
けっきょくここまで走っても、手に入ったトレジャーは先の1個だけでした(苦笑)。そして、虹ドロップもゼロ……。
「さ、さすがにこれじゃあ帰れない!!!」
30分ほど休憩したのちにきびすを返した俺は、荒川の左岸に沿って走り始めた。そしてヒィヒィと走ったところで、
ようやく、この日2個目のトレジャーをゲット!!!! 進化用モンスター大量発生だ!
「よし!!! もう十分!!! 終わりよければすべてヨシ!!! 本日の探索は終了だ!!!!」
俺は、そこからもっとも近かった駅まで最後の力を振り絞って自走し、そそくさと自転車を畳んで電車で家まで帰ってきた(泣)。……そう、こういうことがあるかと思って、今回はあえて折りたたみ自転車にしたのである!!
でも、今度は……。
「もっとトレジャーがあるところを走ろう……w」
そう心に誓ったのでした。
おしまい。
【この日の成果】キング大量発生(1)、進化用モンスター大量発生(1)
大塚角満(おおつか・かどまん)…… 週刊ファミ通副編集長、ファミ通コンテンツ企画編集部編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モ ンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズな ど。ファミ通Appでは、“熱血パズドラ部!”を始めとするスマホゲームの執筆活動も行っている。 |
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.gungho.padRadar
- メーカー
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント
- 配信日
- 配信中
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- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- Android/iPhone
- コピーライト
- (C)GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights
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