【Unite 2016 Tokyo】VRヘッドセット“Oculus Rift(オキュラスリフト)”の最新事情
2016-04-04 23:53 投稿
発売されたばかりのOculus Riftに注目
4月4、5日と2日間かけて行われるUnity開発関連のカンファレンスイベント”Unite 2016 Tokyo”。ここでは、その中で行われたひとつのセッション”実践! Oculus Rift(オキュラスリフト) – VR開発テクニック”のリポートをお届けする。
こちらは、オキュラスジャパンチームの立ち上げにも関わった近藤義仁氏と、同オキュラスジャパンに所属している井口健治氏による講演だ。もともとふたりともVR好きなユーザーであったが、気づいたら“中の人”になっていたという。オキュラスジャパンの役割は、パートナーエンジニアリングとして、おもにディベロッパーの技術的なサポートやビジネスの手伝いをしているのだという。
両名は、本公演でVRコンテンツの開発テクニックとOculus Store配信までの流れ、そして開発者向けツールキットの情報などを語ってくれた。以下はそのまとめとなる。
Oculus Rift製品版について
セッションの冒頭ではOculus Riftの基本的な仕様説明から行われた。
“Oculus Rift”と呼ばれているが、正確には“Oculus”がブランド名で、“Rift”が製品名なのだとか。Riftは初代から4年近く開発を続けてきたが、3月28日に発売が開始された。
下の写真が製品版のデバイスだ。左からOculus リモコン、トラッキングセンサー、ヘッドセット、Xboxコントローラーが同梱されている。
なお、同梱物の詳細は以下の通りとなる。
・Oculus リモコン
ノンゲームアプリの操作など、きわめてシンプルな操作のみが求められる場合に利用されるリモコン。一見するとホイールに見える十字キーと音量ボタン、バックボタンのみで操作を行う。
・トラッキングセンサー
ヘッドセットの位置と動きを追うセンサー。
・ヘッドセット
ディスプレイと内蔵ヘッドホンが一緒になっているヘッドマウントディスプレイ。内蔵ヘッドホンは、そのパーツのみを取り外すこともできるので、ヘッドホンは別のものを利用するということも可能。
ちなみに、これら一式を動かすために推奨されるPCのスペックは、下の写真の通りになる。
もし、自分のPCスペックが十分かどうか判断できないときは、サイトにスペックのチェックが行える箇所があるので、そこから確認してみよう。
OculusはPCとモバイルの両輪でVRを進めている
Oculusの製品はRiftだけではない。続いて、Gear VR(ギアブイアール)が紹介された。Gear VRは、Galaxyシリーズのスマートフォンをはめ込むことで、高性能なVRヘッドセットになるというもの。
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スマホをはめこむとヘッドセットになる機種は多く存在するが、Gear VRはUSBとつながっており、スマホ側のOSと深く連動することで、スムーズなトラッキングが可能になっているという。また、Gear VRコンテンツ専用のOculus Storeを搭載しているというのもポイントだ。
現在こちらのOculus Storeには、200以上のアプリゲームが並んでおり、最近では2日間で15万ダウンロードを突破したタイトルも出ているのだとか。
続いて、今度はRiftと連動する両手持ちのコントローラーが紹介された。Oculus Touch(オキュラスタッチ)というもので、Oculus Rift専用のVRコントローラーである。Riftが視覚と聴覚であるならば、このコントローラーは、まさに手の代わりとなるもの。
たくさんの赤外線LEDが付けられており、トラッキングセンサーがそれらを読み取ることによって、その位置はもちろん、どのように傾けても認知されるというものだ。
コントローラーは左右対称で、それぞれにスティックとふたつのボタンがついている。このコントローラーを握ると、自分の手の動きがVR世界にも正確に反映されるようになり、手を使ったさまざまなアクションができるようになるという。
Oculus Touchは、2016年下半期中のリリースが予定されている。
Oculusのプラットフォームとは
Riftのヘッドセットをかぶると、広い部屋の中にインターフェイスが浮かんでいるのを見ることができる。この画面を“Oculusホーム”と呼び、ヘッドセットをしたままアプリを探したり、ダウンロードして遊んだり、フレンドの管理やヘッドセットのセンサーの微調整などといった設定も行える。アプリを起動していないときの画面だが、アプリの起動中であっても、このホーム画面を呼び出すことができる。
また、ヘッドセットをつけていないときでも、Windows用のデスクトップが同様の役割を行ってくれる。
ホーム画面にはアプリが並んでいるが、現在は、30のゲームのほか、動画ビューアプリなども合わせると50以上のアプリが並ぶという。今後更に増えていくことが予想される。
肝心の本講義の中心である、UnityとOculusの関係性だが、このホーム画面もUnityで作られているのだとか。また、配信中のアプリの中でもUnityで作られているものが多くあると言う。
様々なアプリがあるが、人によっては酔ってしまうアプリも、中にはあるだろう。解説を行った井口氏は、Oculus Storeでアプリをダウンロードする際の注意事項について以下のようなアドバイスを残してくれた。
「Oculus StoreでOculusのアプリをダウンロードする際には、”Comfort Rating”という部分があるので、これをチェックしてほしい。これは、VR酔いのしやすさや画面の動きの激しさなどから快適度を示すタグになっている。自分がはたしてVR酔いするのかどうかを確かめるためにも、まずは快適度の高いものから試してみることをオススメする」
Oculus Riftアプリを開発、配信するには?
そして話に上がったのが、Oculus Riftの開発者向けページで配布されているSDK(ソフトウェア開発キット)、Oculus SDKについて。
これには開発キットとしての機能はもちろん、さまざまなシステムサポートがあるという。中でも注目すべきものが、非同期タイムワープのサポートだ。
非同期タイプワープのサポートとは、簡単にいうとPCが処理落ちをしても、Oculus Riftではフレームレートを落とさずに映像の描画、トラッキングを続けられるというもの。
こちらのトークセッションを担当していた近藤氏は「VRでは、通常のゲームよりもフレームレートが大切。フレームレートが落ちてしまうと、VR世界はただの映像となってしまい、体験が損なわれてしまう」と語った。
この技術はマイクロソフトをはじめとする、数多くの協力を受けて完成したとのことで、画期的なサポートシステムとなりそうだ。ただ、具体的な話はなされなかったが、銀の弾になるものではないとのこと。
後半は、Oculus Rift向けのアプリを開発、配信する方法についての手続きなどがトーク内容の中心となった。
これらの手続きに関しては、公式サイトや、Oculusと連絡を取ることで更に詳しく知ることができるので、Oculus Rift向けに開発を進めたいと考えているディベロッパー、開発者の方々は、ぜひOculusのサイトをチェックしてみよう。
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