【新作】音に耳をすませたり声を出したり……リアル感覚で思春期の精神世界を旅する 『Lost Tracks』

内向的な若者の葛藤と恋の行方

主人公のロウはとても内気な若者。
そんな彼がある日、電車のなかで美しい女性にひと目惚れをする。

しかし、内気な性格が邪魔をして、その想いを伝えることができずにうつむいてしまう……。

本記事で紹介する『Lost Tracks』は、デンマークのアニメやCGの専門学生たちが制作した無料のアドベンチャーゲームだ。

いっさいの言葉を使わず、目や耳で感じたままの情報をヒントに、内気なロウの精神世界を旅していく不思議な内容の本作。

みんなは思春期をどうすごしたかな？

わたくし、深津庵はそれはもう親を困らせたもんです。

[LOOK]停車した車両と3つのレバー

女性に声をかけることができないロウ。

塞ぎこんでしまう彼はつぎの瞬間、幽体離脱をしたかのように白い影となって歩み出す。

どうしちゃったんだよ、ロウ!!　

その後、目覚めたのはこの世とはかけ離れた世界。

画面を押しっぱなしにすることで歩き出し、スマートフォンを傾けて視線を動かす。複雑な操作はいっさいないし、チュートリアルも簡潔でわかりやすいスタートだ。

電車のそばには信号を束ねる装置があり、最初のものを含めて3ヵ所のレバーをONにする必要がある。

足元の配線を他よりに残るレバーを操作して、電車の電源を回復させるのがこのステージの目標だ。

目を背けず、立ち止まらず勇気を持って前に進みたい。彼自身の想いと出会いの場であった電車がリンクしているのだろうか？

[LISTEN]音の鳴るほうへ

電車を追ってたどり着いたのは、どこからともなく電話の呼び出し音が鳴り響く世界。

ここで重要になるのが音の鳴る方角だ。

まずは全方向にスマートフォンを傾け、どこから聞こえてくるのかを探してみよう。

その後、不思議な音色を奏でる蓄音機、さらに、つぎのステージにつながる道を示す音色を探すのだけど、スマートフォン内臓のスピーカーだと正確な位置関係が把握しにくい。

ゲーム開始時にも推奨される通り、ヘッドフォンを使ったほうが圧倒的に攻略しやすかったぞ。

聞き耳を立てる、ステージ名にもそのヒントが示されている。

思春期のとき、周囲の声、とくに大人の声が煩わしく感じてしまったことはない？

そんな声に耳を塞がず、ちゃんと聞いてみようと伝えているのだろうか。

[SPEAK]黙ってないで声を出せ

真っ暗闇の世界に白い影。

それを追って走り出すと無数の目がロウを凝視。同時に足場が高速で回転を始める。

なにかついてる？
おかしなところがあるの？

周囲の目が自分に向いていると感じて、とても不安になったしまった状態を連想させる空間だ。

そしてロウの目の前に1本のスタンドマイクが現れる。

ここで重要になるのが“SPEAK”、つまりしゃべるということだ。

足場が再び動き出し、新たな道が開通。

進んで行くと、炎が灯る装置がたくさん現れる。

この炎はスマートフォンに息を吹きかけると消えるのだが……。

ロウの精神世界はさらに深く、内面を描いていく。
こうした葛藤を乗り越えたとき、彼と女性の関係性は変化するのか。

デンマークの学生たちが仕掛ける本作の答えを知りたくて、著者は時間を忘れて夢中になってしまいました。

各ステージ名に謎解きのテーマが含まれているので悩むことは少ない。

まずは目にするものをタップ、スマートフォンでできそうな機能を試してみると突破口が見えてくるはずだぞ！

P.N.深津庵
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