【東京インディーフェス】自由な開発スタイルから名作は生まれる!

2015-05-09 22:31 投稿

三者三様のスタイルがインディーらしい

2015年5月8~10日の間、秋葉原UDXで開催されている“東京インディーフェス2015”。今回リポートするのは、『スーパーマリオRPG』などを手がけたRoute24の西健一氏、『スターオーシャン』シリーズや『ヴァルキリープロファイル』シリーズでバトルなどのプログラムを担当していた、ジェムドロップの北尾雄一郎氏、『脱出4コマ・アンタルチカ』という脱出ゲームの傑作を生み出したStudio Anastropheの浅瀬石氏の3名による、“制作スタイルの違いについて”のトークセッション。

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自宅兼事務所で作業をし、作品ごとに参加する人数もバラバラで資金繰りも共同事業やファンド、受注とさまざまな手段をとっている西氏に対し、北尾氏は受注した仕事の制作費を少しずつプールし、ある程度貯まってからオリジナル作品を作るスタイルをとっているそうだ。浅瀬石氏はというと、スポンサーなどは付けず個人の仕事で3人分稼ぎ、それを制作費にあてていると話す。これには西、北尾両氏も驚いていて、「どうやったら3人分まとめて稼げるのか教えてほしい(笑)」とこぼしていた。

つぎに「大手ゲーム会社との違いは?」という職場の環境に関する質問を振られた西氏。「自宅兼事務所なので、起きてそのままやってダラけないように気をつけること。あと、家に犬がいて仕事部屋に入ってくるので、犬といっしょに作業していることですね(笑)」と笑いを誘っていた。

北尾氏は「(制作費のために)兼業のような形なので、人数的にも作業量がかなり多い。あと変わっているとしたら、炊飯器があります。同じ釜の飯を食べてる」と、小規模ならではの連帯感が養われていると説明した。

浅瀬石氏はマンガ喫茶での作業がメインだそうで、どのように連携して作業しているのかと問われると、「うちはリモート開発で、開発途中まで会ってさえいませんでした。最初に全体像を固めて、やりとりが発生するところはなるべく削る。最終的には……妥協ですね(笑)」とコメントしていた。

それぞれ異なるスタイルの制作話を展開していたが、セキュリティ関連の話題を振られると答えがほぼ一致。3名とも受注した仕事や共同制作など、他者が関わるときは万全を期すものの、各々の作品の開発時はそこまでシビアではないという。重厚なセキュリティよりも、スピードや作業のやりやすさを重視する点が合致していた。

その後、もっともスタイルが異なったのが開発費用のやりくりについて。下のように、それぞれのスタイルに合わせたやりかたを追求する姿が見えた。

「(人間関係で)ベーシックな部分で合致しても、ディティールで合わないこともある。大きいところとやる場合は、ひとり仲のいい仲介役の人を置いておくとスムーズ。資金援助も自己資金も、どちらもいい面と悪い面がある」(西)

「最初に大きな援助を受けると、プロトタイプだけですごく期待されてしまう。開発途中での紆余曲折を経て良い作品ができることもあるので、(クラウドファンディングなどは)あらかた作品ができてからプロモーション的にするほうがいい」(北尾)

「ひとりである程度稼ぐのも、大きいものに巻き込まれたくないから。最初の全体像とデッドラインを決めて、ブレずにやっていきたい」(浅瀬石)

1時間のセッションもあっという間に終了。今後3名が作り出すゲームが、どのような形で世に出てくるのか注目したい。

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