【ゲームアプリビジネス最新動向セミナー】日本と海外のゲームアプリ市場の最新動向を徹底解説!
2015-02-10 21:42 投稿
2月10日、品川で“スマートフォンゲームアプリビジネス最新動向セミナー”が開催された。日本オンラインゲーム協会(JOGA)の主催で、おもにモバイルゲーム業界関係者に向けて、国内の市場情勢の現状を世界の現状と比較しつつ伝えるというもの。
登壇者は、世界中のアプリ市場を調査・データ化するApp Annie Japan の高尾 信栄氏。“最新データから読み解く、日本ゲームアプリ市場と世界の比較”のテーマの元、日本を含む世界各国のアプリ市場の最新動向を、DL数や収益、ジャンル別といった多様な面から興味深い分析を聞くことができた。
ユーザー、メーカー両面から見ても
“費用対効果”でスマホゲームは魅力的
高尾氏はまず、“日本におけるモバイルゲームの台頭”として、日本のスマートフォンの普及推移について説明した。それによると、
・日本のスマートフォン普及率は他の先進国に比べてやや遅かった。
・しかし、機種変更する際、同額のフューチャーフォン(ガラケー)とスマートフォンを選ぶとしたら、当然後者の方が多い。これにより、2012年末は33%だったスマホ普及率が2013年末には49%に上昇。2014年末には70%超を見込まれている。
・メーカー側からしても、費用対効果等のコストパフォーマンスの面で、断然スマホゲームの方が魅力的。
上記の経緯で、2013年日本のゲーム市場規模(家庭用+ブラウザとネイティブ合計のモバイル)約110億ドルの内、約半数をスマホゲームが占めるまでに。それまでの日本のゲーム市場の伝統モデルであった“キャリア、ストア、端末、OSの垂直統合”はスマホの登場で完全にくずれ、ここ最近でようやく「世界と同じ土俵に立てるようになった」とのことだ。
DL数、収益双方から見たアプリ市場の実情は?
続いて、日本のアプリストア全体の動向について。日本のApp Store、GooglePlayの両ストア全体における、過去2年のゲームカテゴリシェアを見てみると、フラット(平ら)、もしくは微減となっている。
・対して、Revenue(収益)ベースで見てみると、GooglePlay、AppStoreともに、微増となってはいるが、全体カテゴリにおける、ゲームカテゴリのシェアはいったん頭打ち。
・DL、収益両ベースで見てみると、ともに微増しているのはGooglePlay。反面、AppStoreは収益ベースが微増し、DLベースは微減。
・一方、ゲームカテゴリの収益自体は、GooglePlayが対前年比70%増と大幅に成長した。
収益ベースで見ると日本のアプリ市場は世界第1位
では、日本のアプリ市場の動向は、世界規模で見てみるとどういう立ち位置になるのだろうか? 国別のゲームDL数に関するグラフから、興味深いデータが読み取れる。
・iOSにおけるゲームDL数の40%以上を、米国、中国が構成。
・新興国が伸びてきている。上位10カ国のうち、実に5カ国が新興国。
・とりわけ、タブレット市場の大きいロシアは、世界全体で見て3位。
対して、収益ベースで見た場合は、上記の新興国群は上位10カ国から姿を消し、日本が1位に。日本、米国、韓国の三カ国で、スマホゲーム市場における全収益の実に70%を構成し、アジア太平洋地域がこのデータに寄与する値が大きいことが見て取れる。
ジャンル別に見た国内スマホゲーム市場
日本国内のスマホゲーム市場におけるDL数、収益の実績を、さらにジャンル別に見てみると、これもスマホゲームならではのデータが得られた。
・DL数、収益双方で見てみても、RPG、アドベンチャーは重要なカテゴリとなっている。
・収益ベースで見てみると、コンシューマーゲームではそこまで大ヒット等が生まれなかったRTS(ストラテジー)分野が、全体の4位に位置し、スマホで市民権を獲得。
「RTS系のゲームは、今後もっと増えてくるのでは」と高尾氏。最近でも、事前登録者数が10万人を突破したRTSゲームの『リトルノア』が話題になったが、今後注目のジャンルと言えそうだ。
1年間で上位ゲームとして
“生き残った”ゲームはたった4タイトル
2013年12月の人気ゲーム上位10が、一年後に“Survive(生き残った)”できたアプリは、『パズル&ドラゴンズ』、『クラッシュオブクラン』、『魔法使いと黒猫のウィズ』、そして『LINE』の計4作。
日本のゲーム市場は“トップ寡占化”が顕著に進んでおり、2014年における上位1,000ゲームのうちトップ20ゲームが、全体の合計収益の61%を占めているのだそうだ。さらに、
・上位40ゲームの合計収益に占める割合が72%から74%に拡大。
・上位60ゲームの合計収益に占める割合が76%から80%に拡大。
と、スマホゲーム市場のトップ寡占化がますます進む現状。さらにトップ10だけで見ると、全収益のじつに50%を占めるとのことで、その傾向は今後も続きそうだ。
ユーザーや課金層を“囲い込む”には、米国や台湾Facebook広告が効果的といった具合に「接触媒体を把握し、施策を的確なタイミングで打つ」ことが重要だと高尾氏。
日本国内では、アイコンやアプリ説明文、さらにスクリーンショット選びといった細かなディスクリプションが十分でなく、そこが、DL数に少なからず影響を与えているのだそう。
そのほか、日本でも既に30タイトルが導入された動画共有サービス、たとえば“Kamcord”の重要性も指摘。これを導入したデベロッパーによると、動画視聴回数はじつに100万再生を突破。同技術がDL数、収益ともども、大きな貢献を果たしたとのことだ。
セミナー終盤の質疑応答では、多くのアプリデベロッパーから多くの質問が飛び交い、最後まで熱い雰囲気が会場を包んでいた。日本国内のスマホゲーム市場において、今後、多様なゲームが登場し、スマホゲーム市場をにぎわせてくれることを心から期待したい。
(斉藤えいこう)
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