【TGS2014】押井守氏監修OPで話題の『ファントム オブ キル』の開発者に訊く-ゲームとテレビを超えるコンテンツを作る―
2014-09-22 17:47 投稿
アニメ界の巨匠・押井守氏がオープニングムービーに携わるということで話題を呼んでいる、今秋リリース予定のスマートフォン向けゲーム『ファントム オブ キル』。開発しているのは、Fuji&gumi Gamesという、フジテレビグループとgumiが昨年12月に共同設立した新進気鋭のゲーム会社である。ゲームとテレビという、近いようで遠い2業界。異色とも思えるタッグで作り上げるゲームとは?
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テレビを巻き込んでいく、ゲームの新しい形
今回、東京ゲームショウにブースを設けるということで、ファミ通AppはFuji&gumi Games代表取締役の種田慶郎氏(文中、種田)と、『ファントム オブ キル』プロデューサーである今泉潤氏(文中、今泉)のふたりにインタビュー。今回はその内容をお届けしたい。
──そもそもFuji&gumi Gamesという会社はどういう経緯で設立された会社なのですか?
今泉 僕の個人的な話になるのですが、もともと僕とgumiの代表の國光は、フジテレビから独立したプロデューサーが立ち上げた映像会社で働いていて、gumiが初期に作ったゲームのシナリオなどもその会社で請け負っていました。その縁でフジテレビさんとはとても近しい関係にあったんですよね。
テレビとモバイルゲームって、すごく相性がいいと思っていたので、「本格的に一緒にやるか!」となったわけです。もともと僕は映像会社に在籍していたので、映像にはこだわりがあってゲームも、映像化に耐えうる世界観を持つゲームを作りたかった。それを実現できる場にもなるかなと思ったのも理由のひとつですね。
種田 フジ・メディア・ホールディングスは、テレビや映画をはじめ、様々なエンターテイメントをやってきたのですが、ゲームの分野だけは手つかずだったんですよ。でもゼロから始めるということは、それだけ伸びしろが期待できるということなので、フジ・メディア・ホールディングスとしてもフジテレビとしてもゲームに力を入れていこうという方針になりました。また、テレビのドラマやバラエティは海外に持っていくのがとても難しいコンテンツなんですよね。でもゲームは国境を軽々超えるので、その“ドリーム感”に惹かれたというのがありますね。その点で言うとgumiさんは海外展開もしっかりされている会社なので、パートナーとしては申し分がありません。
──『ファントム オブ キル』も、押井さんをオープニングムービーの監修にしたということでも話題を呼んでいます。押井さんとの出会いは?
今泉 何か話題性のあることができないかなあと思っていたときに、実はうちの社員に押井さんの飲み友達がいまして(笑)。「押井さんにお願いできないかな」と言ってみたら、なんとご快諾していただけて。僕たちはアニメの世界観に近いゲームを作りたかったので、押井さんの作るものとマッチするかと思い、お願いさせていただきました。
──押井さんは今泉さんの目から見てどんな方でしょうか?
今泉 もともと映像を作っていた僕にとっては、ずっと憧れの大監督でしたから、一緒に仕事できることに最初は震え上がりましたね(笑)。本当にすごい方だと思います。言葉のひと言ひと言に重みがあるというか。
──声優が豪華ということでも話題になっていますね?
今泉 そうですね。逆に今のゲームはそのくらいが当たり前になってはいますが、その中でもかなり豪華になったかと思います。そこはフジテレビさんのブランドネームのおかげもあるかと思いますが、今後も監督さんや声優さんをはじめ、テレビで活躍される方をゲームに起用して、コンバートしていけたらと思っております。
──テレビで活躍されていると言えば、でんぱ組さんを起用されていらっしゃることでも話題を呼んでいますよね。
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今泉 これもフジテレビさんの助言でしたね。でんぱ組の人気には凄まじい勢いを感じていますし、アニメファンやゲームファンとの親和性も高く、またご本人たちもゲームが大好きということで、起用させていただきました。今度からでんぱ組が看板の番組が始まるんですけど、その中でこのゲームのことも取り上げたりとか……。まさにテレビを巻き込んでいく形を、フジテレビさんと組むことで成し得ていくことができました。
“戦略性×ドラマ”をコンセプトに
──今泉さんにとってはネイティブゲームかつオリジナルタイトルを作るというのは初めてだとおうかがいしました。作り始めてみてどうでしたか?
今泉 かなり大変でしたね。Webからネイティブへの業態変換なので。僕もエンジニアたちもかなり勉強しましたが、それでもやっぱり実際に作るとなると慣れなくて、時間がかかりました。僕自身ネイティブゲームでどこまで作れるのかわからなかったのですが、その試行錯誤のおかげで今の時代にはなかなか無い新しいスマートフォン向けゲームができたかなと思っております。今後はこれをきっかけに、様々なゲームを作っていけるのではないでしょうか。
──世界観、シナリオなどにかなりこだわりを持って作られたようですね?
今泉 そうですね。今のゲームは中世ファンタジーで溢れているので、僕はそれよりも少し尖った、王道から外れたゲームを作りたかったんですよね。その感覚はもともと僕が深夜ドラマを作っていたからというのもあるのですが。ただその中でもドラマ性を追求したかった。そこで、武器の名前を持った女の子が戦っていたらすごいドラマを感じるだろうし、絵的にも映えるなあと。
──公式サイトを見ると、天上の世界と地上の世界という2つの世界がありますね。
今泉 そうです。尖らせようとはいっても、やっぱり中世ファンタジーは皆が好きな要素だから、それも取り入れたいと思っていたので、天上と地上……、現代っぽい世界と過去っぽい世界の2つの世界を作ることで、2つの要素を取り入れられるなと思ったんですよね。女の子も現代的な服装パターンもあり、中世の恰好をした女の子もいたりで、バリエーションがあって面白いかなと。その世界観が出来上がってから、その世界観に合わせてストーリーも生まれました。
──ストーリーは戦闘の合間に入っていく形ですか?
今泉 そうですね。周りのスタッフとかに話を聞くと「シナリオ読むのが面倒」という声が多く、僕自身もシナリオを読むことでゲームの手を止めるのが嫌なので、そこのバランスは難しかったんですけど、だいぶコンパクトにまとめることはできたかなと思います。多少説明不足かもしれませんが、そうすることで、プレイヤーに自分が好きなように解釈できる楽しさも提供できますしね。そもそも文字だけで伝えようとするのってすごく難しいんですよ。だから僕はその分、絵だったり、映像だったりを会話の合間にカットインさせるという表現を使いました。
──印象的なシーンにはアニメーションが入ってくるのですね? オープニングでアニメを使うことはありますが、スマートフォンのゲームで、ゲーム中にアニメが入ってくるのは新しいですね。
今泉 本当は全部アニメーションにしたかったんですけど、それはさすがに大変なので(笑)。うちにはアート部隊がいるので、僕がラクガキを描いて、それを映像に当てはめてエフェクトつけると、カット割でも十分映像表現ができるかなと思いましたね。「長い!」って言われたりもして、「面白ければいいじゃん」と思いながらも(笑)、でもそうも言ってられないから、泣く泣く削ったりして、バランスを調整しています。
──バトルシステムについてもおうかがいできますか?
今泉 マス目上になっているフィールドを進んでいく、ターン制のシミュレーションになります。ジョブによって射程距離が変わるなど、“戦略性”のあるバトルシステムになっています。
──まさに王道コンシューマーゲームと同じような作りこみですね。
今泉 そうですね。スマートフォンゲームにおいて“コンシューマー感”ってキーワードだと思っています。ただコンシューマーと全く同じようには作れないので、たとえばこのアニメーションシーンですが、実は静止画なんですよ(開発中の画面を見せてもらいながら)。動いているように見えるのですが、1枚の絵を、カメラアングルを変えたり引いたりアップにしたり様々なカットを組み合わせて使うことで、負荷を下げているんです。元々映像をやっていたので、そのスキルを活かしてこういったものを作ることが出来ていますね。
──従来のスマートフォンゲームと違う点はほかにありますか? 課金システムなどは?
今泉 僕は行き詰って課金するタイプではなく、面白いと課金するタイプなんです。だから面白ければ売れる! と思っているけれど、一方でそれでは収益が見込めないというジレンマもあるので、既存の課金システムにのっとっている“ガチャ”はあります。ただ、お金を払ってカードを引いたカードを合成して強くなっていく、というのではなく、バトルで経験値を積んで強くなるという仕組みをとっていますね。このゲームのコンセプトにもなっているのですが、ゲームは戦略性とドラマがキーワードだと思っているので、そこを意識しました。
──ゲームをプレイするのがとても楽しみになってきました! 最後にここまで読んでくださった読者の皆さんにメッセージをいただけますでしょうか。
今泉 まずゲームですが、今秋リリース予定です。まずアンドロイドをリリースし、少し間を開けてiOS版をリリースする予定となっております。従来のスマートフォンのソーシャルゲームとは違う新しさを感じていただけると思うので、是非一度いじっていただきたいと思います。シミュレーションと聞くととっつきにくい印象があるかもしれないのですが、シミュレーションRPGとしてキャラひとりひとりに個性やドラマがあったりして、奥深い面もあるので、とにかく一度やってみいていただければ嬉しいです。よろしくお願いします!
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ファントム オブ キル
- ジャンル
- シミュレーションRPG
- メーカー
- Fuji&gumi Games
- 配信日
- 2014年秋予定
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- スマートフォン
- コピーライト
- (C) Fuji&gumi Games, Inc. All Rights Reserved.
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