中條謙自氏が紡ぐ『戦国X』を彩る音楽に迫る!
2014-07-19 12:00 投稿
コンセプトは「キャッチーな戦国ハードロック」
リアルスタイルの自社タイトル第1弾となるiPhone向けリアルタイムストラテジー『戦国X(センゴククロス)』。前回のインタビューで本作の開発経緯についてお届けしたが、今回は世界観により深みを持たせ、プレイヤーのモチベーションアップにも欠かせないゲーム音楽について。サウンドを手がけたのはATTICの中條謙自氏。中條氏こだわりのサウンドを一部も紹介しているので、ぜひチェックしてほしい。
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※『戦国無双』を生んだ杉山芳樹氏最新作『戦国X(センゴククロス)』はこうして生まれた!
リアルスタイル 専務取締役兼ゼネラルプロデューサー 杉山芳樹氏(中央) | |
リアルスタイル 開発ディレクター 牛草信寿氏(右) | |
ATTIC INC. サウンドディレクター 中條謙自氏(左) |
合戦を彩る音楽
――中條さんに音楽を作ってくれというお話がいったのは、いつ頃のことなのですか?
中條謙自氏(以下、中條) 私は内部の人間ではなく、通常でしたら、依頼された素材を納品するだけというシンプルな形が多いのですが、今回はサウンドディ レクターとしてプロトタイプ版から関わらせてもらいました。そのお話をいただいたのが、去年のゲームショウのときでしたね。幕張でメールを受信して (笑)。 |
――では、サウンドのコンセプトなども中條さんが?
中條 大枠は杉山さんから「こういう方向性で物作りをしたいから、そのコンセプトに当てはまる中で音楽を作ってくれ」という話をいただき、そこから牛草さんと相談をして作成していきました。牛草さんからのオーダーは「昔からあるゲーム音楽のよさ。口ずさめるようなキャッチーさ」、「戦国時代をテーマにしたものだが、RTSでバトルがメインのタイトルだから、勢いのあるハードロックなもの」というふたつでした。ハードロックでキャッチーなものは得意なもののひとつでしたし、本作のメイン作曲家である山田玄紀も『無双』シリーズでずっとハードロックを作っていたこともあり、すごく作りやすく、楽しんで楽曲制作ができましたね。
――では、すごく作りやすいオーダーだったのですね。
中條 そうですね。ただ、私にお声かけいただいたからには、私にしかできないできないこともやりたかったので、ハードロックの中に和楽器の尺八と箏も入れました。打ち込みではなく、生でレコーディングをしたものです。ただの「キャッチーなハードロック」ではなく、「キャッチーな戦国ハードロック」になるよう、いろいろ工夫をしてみました。牛草さんも、出したものをそのまま喜んでくださいました。
――コンシューマとスマートフォンでは、ゲームミュージックを聞く環境も異なるわけですが、そこに対して何か意識したことはありましたか?
中條 スマートフォンは画面の中の情報量が限られてくるので、音が多すぎると明瞭感が得られなかったり、メッセージ性が伝わりにくくなってしまうんですよ。ですから、音数を少なくシンプルにアレンジしたりと、細かい工夫を重ねています。あと、スマートフォンにはボタンがないので、画面をタッチしてもレスポンスがない。そのダイレクト感がないというのは、結構大きいんです。ですから、画面をタッチしたときに、どういうレスポンスがあったら楽しくなるのかも試行錯誤しましたね。
――具体的にはどういった仕様にしたのですか?
中條 最初は画面から指を離したときにSEが鳴るように作ってみたのですけど、これが気持ちよくなくて(笑)。それで仕様を変更して、画面を触ったときに「カチッ」と鳴って、指を離したときに「ポンッ」と鳴るように作ってみたら、これがなかなかハマって。そこは「カチポンカチポン」と触って楽しんでもらいたいですね(笑)。「ポンッ」という音は鼓(つづみ)の音になっているので、暇なときにリズムゲーム感覚で「カチポン」すると楽しいかもしれません(笑)。
【中條氏こだわりのサウンドを一部ご紹介!】
※注意:曲名をクリックすると音楽が流れます
1.天下統一の夜明け ~織田軍のテーマ
織田軍との戦いで流れる戦闘曲です。織田軍のかっこよさが全面に出るよう意識した、尺八と箏とギターが絡む和楽器ロックです。(作編曲:山田玄紀)
2.うたかたの夢 ~浅井・朝倉軍のテーマ
浅井・朝倉連合軍との戦いで流れる戦闘曲です。「美しく散る!」をコンセプトに、勇ましくも哀愁漂う楽曲に仕上げました。(作編曲:中條謙自)
3.快刀、乱麻を断つ! ~群雄のテーマ
その他様々な軍勢との戦いで流れる戦闘曲です。異国の軍勢に向かって意気揚々と行軍するさまをオリエンタル音階とポップなメロディで表現してみました。(作編曲:中條謙自)
4.最後の一太刀 ~総大将登場のテーマ
総大将出現時に流れる戦闘曲です。前半の劣勢な曲調から、テーマ曲としても使われている後半のメロディへとドラマチックに展開する「魅せる」楽曲に仕上げました。(作編曲:山田玄紀)
5.絶技 ~戦技発動・壱
戦技発動時に流れる楽曲その1です。武将の能力アップに負けないように、軽や かで、終始ノリノリな楽曲にしました。(作編曲:山田玄紀)
体験版の狙い
――体験版はアプリゲームの業界では珍しい試みだと思うのですが、体験版を出したのにはどんな狙いがあったのでしょうか?
杉山 私どもが作ったリアルスタイルという会社は、出来たばかりでバリューもなく、過去にリリースしたタイトルもありませんが、だからこそ、まずはゲームユーザーさんに振り向いてもらって認めてもらうということをスタートラインにしたいと考えました。その手法としていちばんいいのが、実際に触って遊んでもらえる体験版だろうと。
――なるほど。体験版のリリース時期は何度か変更になったと聞きましたが?
杉山 出すとなったら、イイものではないとダメですから。どのタイミングで、どのレベルで出すべきかというのは、ギリギリまで葛藤しました。今でも、あのタイミングでよかったのかと悩むことがあります(笑)。ただ、すごくありがたいなと思うのは、正式版が配信になる直前でも、毎日ダウンロード数が伸びていたことですね。リリース前から、ユーザーさんの忌憚ない意見を聞けたのは大きかったです。
――体験版はバトルに特化していましたが、なぜ箱庭部分は入れなかったのですか?
杉山 「バトルがおもしろいでしょ!」という主張・表現を、ユーザーさんに知ってもらいたかったんです。そして、そこでどういう評価をしてもらえるのかを知りたかった。その意見によって開発側は最後の最後まで必死に調整することになり、不安な思いをすることになってしまったわけですが(笑)。ですが、そういう最後調整で、よりよいものができたのは、みなさんからの意見のお陰ですから、体験版はリリースして正解だったなと思います。
牛草 一部の仕様を抜本的に変える話が出たときは、どうしたものかと思いましたけどね(笑)。
杉山 それがどの部分だったかは言えませんが、あの部分は変えてもよかったし、変えなくてもよかった部分だよね。でも、変えてみて「あれ、こっちのほうがおもしろいじゃん」と気付けたのはすごくよかったと思う。
牛草 たしかに、ゲーム作りをしている実感が得られる一幕でもありますからね。
――体験版を出して、ユーザーさんからいちばん意見がきた部分は?
牛草 いちばん言われたのがAIに関してでした。あそこまで意見が寄せられているを見たら、修整するほかありませんよね。意見を集めてよりよくするために出した体験版ですし。なので、AIに関してはかなり手を加えてあります。体験版をプレイされた方からしてみたら、正式版はかなりイメージの違う作品になっていると思います。久々に旧バージョンを触ってみたら、完全に別ゲーだと思えたくらいですから(笑)。
戦国X
- ジャンル
- リアルタイムストラテジー
- メーカー
- リアルスタイル
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS 7.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み
- コピーライト
- © RealStyle Co., Ltd. All rights reserved.
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