【新作レビュー】ほとばしる郷土愛! ご当地シューティング『群馬県から来た少女』がヤバい

2014-03-29 11:00 投稿

秘境・グンマーの真実

人類は科学の力によって重力の鎖を断ち切り、宇宙にまで到達した。しかし、未踏の地は空の彼方だけではない。地球にも数多くある。南米・ギアナ高地やチベット・ヤルツァンポ渓谷、数々の霊峰や洞窟、砂漠、そして深海……。新種の動植物の存在を匂わせる未開の地は、星の数ほどあるのだ。もちろん、日本にもある。賢明なる読者諸君はお気づきだろう。そう、秘境・グンマーこと、群馬県だ。

群馬が未開の地であることは周知の事実である。試しに、Google検索で「未開の地」と打ち込んでみよう。ヒットするのは群馬の話ばかりだ。日本国民は秘境・グンマーに興味津々なのである。しかし、夢を壊すようで申し訳ないが、じつは群馬には人が住んでいる。それも、ネギやキャベツを売って経済活動まで行っているのだ。

日本円だって流通している。どうやら、人外魔境のイメージはいささか誇張されたものらしい。事実、福田赳夫氏、中曽根康弘氏、小渕恵三氏、そして福田氏の息子の福田康夫氏と、4名もの総理大臣を排出しているのだから、文化水準は極めて高いと認めざるを得ないだろう。

グンマーの科学力は世界一ィィィ!

群馬県民の特徴は強い郷土愛である。聞けば、県内の文化や偉人を上毛かるたという札にまとめ、県民であれば誰もが暗誦できるらしい。また、最近は開き直ったのか、秘境のイメージを逆手に取った観光戦略も行っている。今回紹介するゲーム『群馬県から来た少女』もその一環だ。これは同名ライトノベルの外伝にあたるシューティングで、主人公のコヨトルを操作して群馬の滅亡を阻止するというもの。少しゲームの解説を引用したい。

「群馬県の高度な科学力を示すためのデモンストレーション(見本)となっていますので驚かないでください」

これはいやがうえにも期待が高まる。まずはメインビジュアルからご覧いただこう。

▲ファミコンかよ! キャッチコピーも極めて秀逸。

より正確に書くなら、ファミコンが発売されたのと同時期に話題となった、ゲームパソコンのMSXがモデルとなっているようだ。ストレートにファミコンに行かないあたり、グンマーのこだわりなのだろうか。筆者はこの段階で腹八分目くらい満足してしまったが、恐いもの見たさで続けることにした。つぎは操作説明画面をご覧いただきたい。

▲やっぱファミコンじゃねーか!(※読みやすくするため、画面を90°回転させて掲載しています)

こちらも正確にいえばMSXがモチーフ。ファミコンではゲームが記録されたROMを”カセット”と呼んでいたが、説明書に”カートリッジ”と書かれているのがMSXを彷佛とさせる。ここでも解説を引用しよう。

「当時の説明書(?)を復刻したものになります。現在の群馬の科学力では高解像度版を収録すると不思議な力で死ぬことになるため、画面を横にして目を細めて読んで下さい(後略)」

もう遊ぶ前からお腹いっぱいなんですが、プレイしなきゃだめ?

名所を巡るレトロな横スクロールシューティング

ゲームは全3ステージ。草津温泉や天空の城グンマーなど、群馬の名所を巡って県外の毒文化に侵された群馬神を鎮めるのが目的だ。それぞれ群馬ならではの雑魚、中ボス、ステージボスがコヨトルを待ち受けている。

操作はスワイプでコヨトルを移動させるだけでOK。画面に触れているあいだは自動的に攻撃が行われる。攻撃は前方に連続で発射されるが、ステージに隠された名産品を手に入れると、2ウェイショット、3ウェイショットとどんどんパワーアップしていくぞ。最終的にはほぼ全方向をショットでカバーすることが可能だ。

▲コヨトルの“群馬バリア”が消えた状態で被弾すると、画面の左下の残機が減る。
▲隠された名産品を獲得すると、カットインが入ってショットがパワーアップ。
▲巨大なステージボスとの死闘は緊張感満点。自機のドット絵と比べて気合い入り過ぎ。

難易度はそれなりに高く、初見でボスを撃破するのは難しい。しかし、くり返して遊ぶうちに攻略法が見つかり、少しずつ先に進めるようになる感覚は懐かしく、気付けば夢中で遊んでしまった。

慣れると簡単にクリアーできるようになるので、今度は名産品のコンプリートを目指してみよう。名産品は普通にプレイしていたらスルーしてしまうような場所にもある。画面をよく見て、超低空飛行などいろいろと試してみよう。名産品を見つけるとクリアーしたときにボーナスポイントが手に入るので、ハイスコアを目指すなら確実に手に入れるべし。

▲名産品は全6種類。出現場所は固定なので頭に叩き込もう。

このゲームで遊んでいると、群馬の文化にちょっとだけ詳しくなれる。例えば、筆者は子ども洋食というものを初めて知った。これは茹でたジャガイモのウスターソース炒めなのだが……まぁ、詳細はググればよかろう。とにかく美味しそうだ。皆さんも秘境・グンマーに興味を持ったなら、そのうち観光旅行にでも行ってみてはいかがだろうか。大丈夫、ダルマは襲ってこないから! ……た、たぶん。

群馬県から来た少女

ジャンル
シューティング
メーカー
PHP Institute,Inc
配信日
配信中
価格
無料
対応機種
iOS 5.1 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み。Android 2.2 以上。

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