【注目レビュー】『新宿ダンジョン』の再現度を潜入調査 in 都庁を目指せ!

2014-03-23 12:00 投稿

ゲーム脳全開で帝都の闇へ

「新宿」
それは3大副都心のひとつ
きらびやかな大人の繁華街
グラサンのひとが月〜金で通う場所

「ダンジョン」
そこは夢が詰まった未知の領域
右手を壁に当てて進む法則
&ドラゴンと続けたくなる衝動

一時期インターネット上でも、その入り組んだ構造から”リアルダンジョン”とも呼ばれた新宿駅構内。実際、現地で迷子になったり、駅員さんに道を尋ねた経験を持つ勇者も多いはずだ。

そんな駅構内を再現したことで話題となっているのが『新宿ダンジョン』。方向感覚をも狂わす初見殺しの多重階層を舞台に、スライムや幽霊、閉ざされた各路線の改札口を攻略。終わりの見えない閉鎖空間に行き詰まったとき、ひとの自我は崩れていく。

「はやく出たい!」
「まさかのエンドレスエイト?」
「それともジグソウの罠なのか!?」

何万回もくり返すあの恐怖も、凶悪な装置に拘束される絶望感も勘弁願いたい。あらゆる不安と過去の自分を問いただしながら巨大ダンジョンを脱出したとき、焦りと不安から熱くなっていた頭脳がクールダウン。

冷静な俺の魂が優しく問いかける。

「本当に再現されているのか?」

新宿駅は文字どおりのダンジョン。
歩き慣れた特定のルール以外は未知の領域だ。

そこで今回はゲーム中で表記される地図を頼りに新宿駅構内を探検。
今作のスタート地点である新宿駅南口から、埼京線や山手線など複数の路線が並ぶホーム。西口広場を経由して、タクシーでしか行ったことがない新都庁を目指すぞ!

▲通常ゲームモードとは別に、謎解き要素のないフリーモードがある。これを使ってリアル新宿ダンジョンを探索。新宿駅が苦手な俺、深津庵は目的地までたどり着けるのだろうか。記事が途中で途絶えたら、そのときは……。

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テレビ中継でもおなじみの新宿南口

今年、関東を直撃した大寒波はもちろん、台風などの自然災害を伝える定番の中継ポイントである南口の改札前は平日でも大混雑。目の前を忙しなく行き来する多くの方が、このリアルダンジョンに毎日挑んでいるのかと想像すると、すべてのひとが勇者か探検家に見えてくるから不思議なものだ。

▲こちらがゲームのスタート地点である南口と実際の南口。路線に合わせて改札の色が設定されているのでゲーム内の探索も安心。
▲ちなみに、南口から左に進むと青色の改札、小田急線南口がある。ゲーム序盤では切符がなくてとおれないけれど、とても重要なポイントだ。

16番ホームまである通路は圧巻

ゲーム画面左にある吹き出しアイコンをタップすると、各階段に番号が表記される。これは実際のホームや出入り口を示したもので、迷わずダンジョンを探索するために重要な道しるべ。南口の改札を抜けたさきには、16もある各ホームへの階段がズラリと並んでいるのだ。

▲ゲーム内の番号と実際の路線番号を比較。案内板を一枚の画像に収めきれないほどに長い通路だってことが伝わるかな。

仮に埼京線に乗るとなったらいちばん右、ちょっと道幅が狭まる1、2番ホームまで歩かなきゃならない。そんな細かなところまで再現できているから驚き。

▲ちなみにこの四角いブロックはエレベーター。それに感心して撮影する姿を、通りすがりの人々が不審そうに見ていた。違うんです、エレベーターが珍しいんじゃなくて、このゲームがすごいんです!
▲周囲の利用者から、鉄ちゃんだと誤解されてやしないかという勢いでホームで撮影。夕方の帰宅ラッシュに重なってしまい、このくらいの角度が撮影の限界でした。

西口広場に立ち並ぶ緑のアイツ

新宿南口からホームを経由して西口広場に到達。改札を出ると存在感抜群な緑色の柱と、立ち入ることのできないだ円形の空間が広がっている。

この柱はダンジョンを支える人柱で、その影には宝箱かと思いきやミミックだったりする罠が? はたまた、黒い異空間から無数のモンスターが溢れだし、中二病だったころの黒歴史を朗読する拷問が始まるんじゃないかとそわそわ。

負のオーラ漂うこの空間。ご存知のかたはそこがどこなのか瞬時に理解できるくらい、見事に西口広場を再現していることに気づく。

▲緑色の柱は大きな広告を掲示できる柱。真っ黒なだ円形の空間は異次元につながる危険なエリアかと思いきや、バスの停留所もある大きなロータリーだったのだ。

冒険者を追い返す歩道を解く

西口広場を左(ゲーム画面中)に進むと、都庁前駅につながる一方通行の”動く歩道”が現れる。作中では目的地に直接行けず、迂回することになるエリアだけど、昔ながらのRPGでは定番ともいえる強制移動パネルにテンションが上がるなよね。

いやしかし、さすがにこんな通路はないだろう。
その真相を激写すべく、ちょいと寄り道。

そこには、”動いていたはず”の歩道が!

▲残念ながら現在は改修工事のため通行止め。おぉ、通路よ。動いていないとは何事だ……。

京王モールでひと休み

西口広場と新線新宿B1をつなぐ”京王モール”と呼ばれる直線の通路。ゲーム内だと黄色い壁が両サイドを埋め尽くしているけど、ここには有名なとんかつ屋やファストフード店など、食欲を刺激する誘惑で満ちた危険なゾーン。

これがその入口だ。

▲約12年前、苦手だったゴーヤがはじめて食べられたのがこの地下街。いまはもうそのお店はなくすっかり様変り。時の流れを噛みしめる。
▲西口広場側の京王モール入り口前にある、”茶の池田や”さんで休憩。ここのアイスが昔から大好き。今回は、季節に合わせて桜緑茶と抹茶どら焼きを購入。安定のうまさ。

京王新線と大江戸線ふたつの改札

京王モールを抜けて南西に歩くと、ピンクと赤の改札が見えてくる。ここが京王新線と大江戸線の改札口だ。

さらに進むと床の色が異なる、西へと伸びる通路が出現。指先にちょっぴりついて取れない抹茶クリームの香りと、案内板にチラチラと見え始めた”都庁”の文字に気分も上々、足取りも軽くなる。

ラスボス手前、神殿の入り口であざ笑うように鎮座する門番の像のごとく、2路線の改札口が俺に鋭い視線を注ぐ。危ない! 大江戸線に飲み込まれたら、とんでもなく長いエスカレーターに乗せられてしまう。高所恐怖症の身にあの角度、長さはあそこがヒュンヒュンしちゃう!

惑わされないよう強い心をもって、西に伸びる通路を突き進もう。

▲これがゲームと実際の光景。いまさらだけど、この再現度はお見事。新宿駅に苦手意識が強かった俺も、ここまで迷わず来ることができた。
▲そしてこちらが、ふたつの改札口に挟まれるようにして伸びる通路。光るブロックは大きな柱だったぞ。
▲ゲーム中にある細かな路地も実在する。たとえばこの路地は、某家電量販店につながる道。諸事情からかゲーム内表記は異なるけど、ばっちりナビとして使える。
▲突き当たりにある階段。ここを下れば都庁まであと少し!

最後の試練は距離感を奪う魔の一本道

長かった新宿ダンジョンもクライマックス。綺麗に整備された神々しい通路は景色がさほど変わらないうえに、”都庁”の文字をチラつかせる案内板の数がさらに増し、「もう少しか」と期待を持たせては落とす、精神攻撃を仕掛けてくる。

「なんでこんなことをしてるんだ」
「そもそも俺は勇者じゃない」
「あ、警部補のドラマを録画予約してない!」
「俺、帰ったらあいつとサラダを食べるんだ」
「マ、マッチ、いりませんか……」

新宿ダンジョンを脱しても、そこには崩壊した都庁しかなくて、四季を失った真夏の世界が広がっているかも知れない。あぁ、それはそれでスイカを育てる生活も悪くないか。

疲労から妄想が止まらない無言の二足歩行。
右、左、右、左、右、右……。
2ヵ所ある曲がり角を抜けて突き当りに到着。
右に視線を送ると、そこには真っ暗闇の空間が!

▲果てしなくつづく一本道。道中には掛け軸が飾られている場所があり、達筆すぎて読めやしないそれを得意気に凝視。「なるほど、わからん!」
▲ついにゴール目前。この突き当りを右に曲がると!?

暗黒空間を越えて

こんなベタなダンジョン風な場所はないだろ、って疑ったひとも多いであろう最後の大広間。薄暗くだだっ広いその場所は、正直いって現実離れしている。

恐る恐る前進するとそこには……。

▲本当に薄暗い空間(実際には明るかった)が広がっていた。やばいな、片方の角が折れて翼を持った巨体なアイツが柱の影から出てきそう。くっそ、ドラゴン殺しのあの剣も持ってないぞ!

不安感しか湧き出てこない空間を、一歩一歩前進すると前方にきれいな夜景が広がっていた。そう、ついにゴールまでたどり着くことができたのだ。途中、寄り道をしながらだったけど所要時間は約2時間。じつに有意義なリアルダンジョンを体験できた。

本作『新宿ダンジョン』はここでおしまいだけど、せっかくここまで探索したんだから都庁をみなきゃ損。

っというわけで。

▲都庁前に到着!

今回辿ったルートは新宿駅構内の大きなポイントを巡った特別版。『新宿ダンジョン』では、謎解きをしないと進めない場所が多く、こんな簡単に都庁まで行くことはできない。各名所への出口を示した案内表示を集め、路地や角にキラリと光る”虹のしずく”や、クリスタルを集めるやりこみ要素も満載。無料アプリなので、興味があるひとはぜひ遊んでもらいたい。

ふだん、新宿駅で迷ってしまう人は、本作をクリアー&フリーモードで予行練習をするもよし。きっと胸を張って迷わず目的地まで行けるようになるはずだ。

P.N.深津庵
イラスト協力:あしたづひむ

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新宿ダンジョン

メーカー
UeharaLabo
配信日
配信中
価格
無料
対応機種
iOS 6.0 以降。iPhone、iPad および iPod touch 対応。 iPhone 5 用に最適化済み、Android 2.3.3 以上

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