【新作】『勇者と1000の魔王』がやり込み満載のレトロ風RPGと聞いてやってみた

2014-03-12 15:48 投稿

実際ゲーマー心がくすぐられまくり!

“コンピュータゲーム”と呼ばれる存在が世に出てはや幾年、その進化は今も留まることを知りません。演出、音楽、グラフィックなど、ゲームに関わるあらゆる表現は日々研鑽されていき、現実世界の再現、あるいはそれ以上の高みを目指すかのようです。どこにあるとも知れない“究極のゲーム”をこの世に産み落とすまで、この進化が止まることはないのでしょうか……。

などという戯言を、新作やら新ハードやらの発表を目にするたびに思っているわけですが、私個人としましては、正直なところそうした新表現には、さほどこだわりがなかったりします。懐古趣味と言われればそれまでかもしれませんが、ファミコン以前のマイコン時代にプレイしていたゲームの自キャラが“●”のような記号にされていた身としては、どこまでグラフィック精度を追求されても想像力(妄想力とも言いますが)には勝てない、との思いがあるからです。

そんなある種の懐古趣味を抱えた私にとって、見過ごさずにはおけないアプリがこの『勇者と1000の魔王』。昔なつかしドットキャラクターたちが、ちょこまかと入り乱れるRPGです。

遊びやすいゲームシステムで魔物を引き連れ戦え

主人公は、悪な魔王の魂“サタンソウル”を身体に宿す冒険者。かつて勇者に倒された魔王は、自らの魂を無数のカケラに分けて世界中に飛び散らせ、新たな宿主に邪悪な力を与えて再び戦火をもたらそうとしています。

そんな状況を見かねた妖精の女王は、サタンソウルの力を抑える指輪を托した妖精たちを遣わし、宿主に同行させます。妖精ミントに助けられた主人公は、自分の内に潜む魔王の力を恐れながらも、魔物たちとの戦いに身を投じていきます。

▲ゲームのオープニングで、いきなり勇者ゼレイドに敗れる魔王サタン。両者とももちろんドットキャラクターで描かれている。

……ぶっちゃけると、サタンソウルの影響で魔物を従える能力を手にしてしまったため、せっかくだからその力を利用して強くなっちゃおう、というゲームです(笑)。ストーリーはしっかりとしたものが用意されているので、先が気になる方はどんどん進めるのもよし。ストーリーにこだわらない方は、ひたすらキャラクターの強化に専念して、究極の力を求めるもよし。

遊び方を強制されていない自由な雰囲気は、個人的に非常に好みですが、それ以上にイイのがドット絵で表現された“ドットキャラクター”たち。主人公をはじめ主要キャラクターと仲間の魔物、敵キャラクターにいたるまで、ほとんどのキャラクターがドット絵で描かれています。

ファミコン世代には見慣れた彼らの姿は、アプリでさえ精緻なCGが当たり前になった今、再現しようとすると余計に手間がかかるのでは、と心配してしまいますが、おかげで彼らが精緻なグラフィックの背景上を動き回っている様子を見ると、なんだか世代が逆転したかのような不思議な気分に。こうしたギャップの妙味は、『勇者と1000の魔王』の確かな魅力のひとつと言えるでしょう。

▲エリアのゴール手前では、潔いほど大きなドットの中ボスモンスターとバトルに。ここまで大きいと、逆に新しい表現方法と思ってしまいそう。

ゲームは主人公と配下の魔物たち、ユニットで編成したパーティを率いた、ダンジョン探索をメインにして進めていきます。ダンジョン内部は、さまざまなイベントが待つマス同士を通路でつないだ構造になっており、最後に待つボスモンスターを倒してゴールにたどり着けば探索終了。マスでのイベントは魔物とのバトル、アイテムが入った宝箱の発見、通りすがりのキャラクターからの情報集めなどがあります。

さながらスゴロクを遊ぶ感覚で、探索を進めていく感じですね。ひとつのダンジョンを完全に探索する、つまりすべてのマスを踏破するとボーナスがもらえるので、やり込みプレイの目標にもなります。

▲ダンジョンによっては“レアマス”が配置されていることも。貴重なアイテムや魔物が手に入る可能性があるため、何としてもそこまで到達したいところ。

ダンジョンに限らず、本作のバトルはすべて自動で行われます。おかげで手軽ではありますが、確実に勝利したければ事前のパーティ編成の吟味が不可欠。レベルが高く、かつHPや攻撃力などの能力値に優れるユニットで固めるのは当然として、属性にも注意が必要です。

属性には炎(赤色)、水(青色)、森(緑色)の3種類があり、それぞれの相性によってバトル中のダメージ量を増減させますが、この影響力がかなり大きくなっています。理由がない限り、属性の偏ったパーティ編成は行わないほうが安全。できるだけ多くの魔物を仲間に加えて、パーティ編成の選択肢を増やすことが、厳しいダンジョン探索を乗り切る助けになるでしょう。

なお、バトル中は任意にスピードの切り替えができるので、ストレスなくサクサクと進めることができます。

▲パーティ編成はコストの範囲内で行える。ひとつの属性を2体までに抑える、バランス重視の編成をしておくとたいていの状況に対応できる。

そしてダンジョン攻略のもうひとつのポイントが、開始時にプレイヤーが決めるパワーゲージ。ゲージの長さによって、パーティ全員の攻撃力と防御力にボーナスが加えられるので、非常に重要です。

最大ゲージだと通常の1.5倍にも強化されるため、ぜひとも狙いたいところ。ただし狙いすぎるほど、失敗する危険性は高くなります。無難なゲージ量で手堅くいくか、失敗覚悟で最大ゲージを狙うか……。ここはプレイヤー個々のプレイスタイルが出るところですね。

▲最大でパワーゲージを止めると、バトルの演出も大きく変化。コレが毎回決まれば爽快感バツグンなのだが、そううまく行かないのが世の常。

その地域の最深部で出会うボスモンスターとのバトルでは、ダンジョン探索時とは異なるパーティを組んで挑むことができます。通常攻撃のみで戦うダンジョン探索と違い、ボスバトルでは個々のユニットが使用するスキルが、勝敗のカギを握ります。魔物の数に余裕が出てきたら、探索用とボスバトル用の魔物を用意すると便利でしょう。もちろん、属性はボスバトルにも大きく影響します。

▲ボスバトルで出撃できるのは、3体のユニットだけ。属性相性が悪ければ、あえて主人公を出撃させない、という選択もある。

ダンジョン探索以外にも、ほかのプレイヤーが持つ専用パーティと戦って順位を競う“デュエル”、手の空いた魔物を派遣してアイテムを探させる“遠征”と、プレイヤーの都合に応じた遊び方が用意されているので、いろいろ試してみることをおすすめします。

▲デュエル勝ち続けて“昇格戦”に勝利すれば、デュエル段位が上がる。すべてのプレイヤーの頂点を目指す道のりは、計り知れないがやりがいは満点。

目指せ魔物軍団の長! ……あれ?

急ぎ頂点を目指せにせよ、のんびり楽しむにせよ、『勇者と1000の魔王』はどこかユーモラスなドットキャラクターの魔物たちと、末永く付き合っていくゲームです。彼らはバトルで経験値を稼ぐことにより成長しますが、加えて魔物は複数を合成することで経験値を増やしたり、持っているスキルを別の魔物に移すことが可能です。手塩にかけて育てた魔物を数多く用意すれば、より深く楽しめるようになるでしょう。

▲気に入った魔物は、集中して育てていくと効率よく強化できる。レベルが上がれば新たなスキルを習得し、条件が整えば新化も可能。

……ここまで書いてから気がつきましたが、なぜかこうして魔物たちを育てていくほど、魔物の王であるサタンに近づいていく気がするのは考え過ぎでしょうか(笑)。 妖精たちを派遣した、妖精の女王自身がサタンソウルに侵されている、という展開もまた、懐かしい雰囲気漂うこのゲームに似つかわしいのかもしれませんね。(ぽんせ松本)

勇者と1000の魔王

ジャンル
RPG
メーカー
オレンジキューブ
配信日
配信中
価格
基本無料(アイテム課金制)
対応機種
iPhone

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