【動画あり】新型モバイルプロセッサ”Tegra K1”デモ動画がヌルヌルすぎてヤバい!
2014-01-30 20:32 投稿
CESでの発表会を踏襲したカンファレンス
2014年1月30日、都内にあるNVIDIA(エヌビディア)本社にて、同社の新型モバイルプロセッサ”Tegra K1”のプレス向けカンファレンスが行われた。スピーカーを務めたのはNVIDIAのテクニカルマーケティングエンジニア矢戸知得(やと ちとく)氏。そしてゲストスピーカーとして多くのスマホアプリを配信するエピック・ゲームズから、エピック・ゲームズ・ジャパンのサポート・マネージャー下田純也(しもだ じゅんや)氏が登壇した。
NVIDIA
テクニカルマーケティングエンジニア
矢戸知得氏
まずはこれまでの”Tegra”シリーズの変遷を説明する矢戸氏。ゲームに興味はあってもそのバックグラウンド要素であるプロセッサにも明るい人は少ないと思う。よい機会なので、ここでおさらいをしておこう。
まずはこちらのスライドを見てほしい。NVIDIAのモバイルSoC(System-on-a-Chip)であるTegraシリーズは、世界初のデュアルコアSoCであるTegra 2を皮切りに、Tegra3、Tegra 4とシリーズが展開。それぞれ革新的なモバイルSoCとしてスマートフォンのみならずタブレット、テレビなど多目的に利用されてきた。そしてTegra 4のさきにあるのが、Androidのイメージキャラクターであるドロイドがロケットを背負っているイラスト。これは新たなTegraがこれまでの延長線上ではなく、さらなる飛躍を果たすということをイメージしていると矢戸氏は言う。
それが今回紹介するTegra K1だ。その特徴は192のKepler GPUコアを持ったモバイルSoCとなり、ネーミングに5とつかず、K1としているのは前述したようにこれまでの単なる後継品と考えていないからなのだそう。
これまでのGPUの進化はデスクトップとモバイルのアーキテクチャで差があった。簡単に言うとモバイルはデスクトップとくらべて一世代遅れたものになっていた。つまり、そのアーキテクチャの違いにより、デベロッパーがそれぞれで動く3Dグラフィックスを扱う際には別々のプログラムを用意しなければならなかったということだ。
しかし、Tegra K1ではデスクトップのKeplerと同じGPUを使うように統合された。これにより巨額の開発費を回収したいAAAタイトルのようなハイクオリティーゲームもさまざまなプラットフォームで投入していくことができるのだ。
ここで矢戸氏は、Tegra K1の発表に際して寄せられたエピックゲームス創始者ティム・スィーニ―氏のコメントを紹介した。
ティム氏がなぜこのような驚きのコメントを寄せたのか、矢戸氏は続ける。
いまや3Dゲームの製作に欠かせないゲームエンジンとして名を馳せるUnreal Engineだが、前バージョンであるUnreal Engine 3は2002年にPCゲームで初採用されてから2010年にiOSで動作するようになるまでじつに8年もかかっている。それに対して最新版のUnreal Engine 4は、Tegra K1の採用でたった2年でモバイルデバイスで動作させることができるようになるということなのだ。ゲームファンであればこれがどれほど大きなことが理解できるだろう。
もちろん、デスクトップとまったく同じサポートAPIにもすべて対応している。いかにTegra K1がすぐれているのか矢戸氏に大いに語ってもらったところで、いよいよ実機でのデモンストレーションとなった。百聞は一見にしかず。4つのデモすべてを動画で撮影してきたので、何はともあれまずはそちらをご覧あれ。なお、すべてタブレット上に実際に動かしている映像になる。
リビングデモ
フェイスワークデモ
光の屈折のデモ
ゲーム『TRINE 2』のデモ
ここでエピック・ゲームズ・ジャパンの下田氏からこれらのデモンストレーション及び、同社のUnreal Engine 4が短期間でモバイル環境でも動作できるようになった背景に関して語られた。
エピック・ゲームズ・ジャパン
サポート・マネージャー
下田純也氏
「モバイル版のUnreal Engineの対応は3からで、『Infinity Blade』シリーズやさまざまなiOSアプリを配信させていただきましたが、じつはあれらはUnreal Engine 3のすべての機能を再現できていたわけではなかったんです。かなりの機能制限の結果、モバイルデバイスで動作するようになったのです。そして最新のUnreal Engine 4はハイエンドマシン向けのゲームエンジンとして開発されていますが、Tegra K1の登場でそうしたハイエンドのCGに全く手を入れずにモバイル環境でも再現できる時代がやってきました。
今回のUnreal Engine 4のデモですが、かなりリアルなシェーダーなどを使っていて、これはNVIDIAさんのデスクトップ用GeForceの最新版で動いているようなものなのですが、それがこのタブレット上でもそのまま再現できています。」(下田)
また、さまざまな環境や他社との比較についても発表された。まずは現行の家庭用ゲーム機との比較。
注目したいのはその消費電力の少なさだ。対応APIはすでに家庭用ゲーム機を上回っており、圧倒的に省電力ながら、高い処理能力を実現しているということなのだ。さらに、何かと比較されることの多いアップルのチップセットA7との比較結果も公開。
ご覧のとおり、ベンチマークテストでは圧倒しており、現状Unreal Engine 4はTegra K1でしか動かないためこの点でも優位性を主張している。
同じTegraシリーズとの比較では前述の家庭用ゲーム機との比較でも触れた省電力についてさらに詳しく説明。
これによると、K1では4と同じ消費電力の場合は1.4倍のパフォーマンスを実現し、同じパフォーマンスを発揮している場合の消費電力はじつに45%も少ないというのだ。これは、K1で採用しているARM Cortex-A15 r3コアの影響が大きいという。さらに、Tegra 4までのノウハウも存分に活用しているとのこと。
なお、Tegra K1にはDenverと呼ばれる64ビット版も開発が進んでいると言う。実装時期は32ビット版が2014年の前半、64ビット版が同後半を予定しているとのことだ。チップの生産は順調で、64ビット版のサンプルもすでにメーカーには配布しているとのことなので、対応デバイスの発売も含めて2014年中にはTegra K1搭載デバイスが続々と登場してくると予想される。
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