ヒットアプリの作り方を教えます! “ヒットゲームズラボ”の第1回セミナーをリポート

2013-11-01 18:26 投稿

世界で戦えるアプリ制作を応援

2013年10月25日、モバイルゲーム開発支援プラットフォーム“fello”を無料提供する“Unicon”主催のセミナー“Hit Games Lab.(ヒットゲームズラボ)”が都内で開講された。そのコンセプトとは、ゲームアプリの最新情報や、開発・運営・集客に役立つ情報をデベロッパーで共有するための勉強会。ヒットアプリのプロデューサーやディレクター、マーケッターなどの“匠”たちが登壇し、そのノウハウをシェアするための場となっている。

記念すべき第1回セミナーでは、100万ダウンロードを突破した『Ancient Surfer』を生んだSummerTimeStudio代表の弘津健康氏、ASO(AppStore内検索最適化)を手がけるスターガレージ代表の杉山拓也氏、そしてUnicon代表の田中隆一氏といったメンバーが登壇。なかでもファミ通Appの読者が興味を引くであろう、SummerTimeStudio弘津氏の講演内容を詳しく紹介していこう。

▲当日は台風27号の接近とあいにくの空模様ではあったものの、多くの受講者たちがセミナー講演を聴くために来場。約2時間に及んだセミナー後には、来場者の懇親会なども催された。

グローバル化によるユーザーの獲得

まずトップバッターとして登壇した、沖縄に本社を構えるSummerTimeStudio代表の弘津健康は、「沖縄に支社を出したら……、東京本社のスタッフが全員移住してしまいまして(笑)」と、スタジオ設立の経緯などを簡単に紹介。“『Ancient Surfer』で見えた、世界でウケるための企画の立て方走らせ方”と題したセミナーを講演し、世界累計で100万ダウンロードを達成した『Ancient Surfer』を実例として、企画・制作・マーケティングから海外向けのアプローチについてを考察した。

▲コンシューマでの業務を経て、携帯アプリの制作スタジオを立ち上げた弘津氏。とりわけ3Dグラフィックへのこだわりが強く、自身も精力的にゲーム開発へ取り組んでいるとのことだ。

海外向けアプローチとしながらも、自社の基本スタンスとして「3Dグラフィックを生かした、僕たちが作りたいゲームを作っている」と弘津氏。制作段階から特に海外をターゲットとして意識しているワケではなく、「作りたいゲームを作って行ったら、たまたまグラフィックが海外よりになっただけ」(弘津)と語った。

確かにグラフィックも重要な要素ではあるが、それだけで『Ancient Surfer』が海外市場で受け入れられてダウンロード数を伸ばす結果に繋がったのだろうか? その理由のひとつとして、Unity開発のメリットを生かしたワンソースマルチプラットフォームの利便性を紹介し、「ユニバーサル対応は必須で、タブレットとスマートフォンの両方に必ず対応をしています」。これに加え、「弊社では日本語、英語にすべてのタイトルで対応し、テスト的な韓国語を含めた3カ国語まで対応済み」という。最終的には7~8カ国語までの多言語対応を検討中とのことだ。

▲スタジオ設立から間もないこともあり、プロモーション費用はなんと0円! それでいながらApp StoreやGoogle Playでフィーチャーされたのも、こだわったアプリゆえともいえる。

一般的に海外市場での展開を考えるのであれば、グラフィックの趣向を始めとして、遊びや文化の違いなど、ゲーム内容のローカライズに目が行きがち。しかし、「なぜ、その国でダウンロード数が伸びたのか、実際のよく分からない」(弘津)のであれば、地産地消を意識した下手なローカライズを考えるのではなく、いろいろな国の人に触ってもらえる環境をあらかじめ用意したことが成功の要因と言えるだろう。最後に弘津氏は、上辺だけでないこだわりを持って作れば、「ゲームは言葉や文化も超えられる、貴重なエンターテインメントです」と受講者に向け熱く語り、セミナーを締めくくった。

▲ノープロモーションということで初動こそ低調なものの、ダウンロード数も次第に国内外で増加。最終的な比率的としては、日本:海外で6:4ぐらいの割合でダウンロードされている。

ちなみにSummerTimeStudioでは、今年の年末に向けた新作アプリ3本を鋭意開発中とのこと。どれもiPhoneとAndroid向けに開発が進められ、同時期のリリースを予定しているという。いずれもこだわりの3Dグラフィックが詰まったアプリとなっているようなので、『Ancient Surfer』ファンなら今後の動向も要チェック。ファミ通Appでも機会があれば、新作アプリを記事として取り上げてみたい。

残念ながら時間の関係もあり、これらの新作アプリについてはスライドで画面写真が公開されただけで、ゲームの詳細は不明。そこでファミ通Appでは、後日、SummerTimeStudioの弘津氏に、ゲームの詳細について伺った。その内容をまとめたので、セミナーで公開された画面写真ともども確認してほしい。

プラネットパズル(仮称)

宇宙を舞台にした3Dのパズルゲーム。惑星に隕石が向かってくるのを、さまざまなミッションを通じて隕石を破壊し、惑星を守り抜くというアクションパズル。具体的なミッションとしては、”既定の時間まで隕石を破壊し続けろ!”や、”指定された色の隕石を破壊せよ!”といったものが予定されている。

アプリのリリースの予定は11月。宇宙を舞台にすることで、宇宙空間に映える隕石の破壊シーンや、キレイなエフェクトが楽しめるという。一般的なオチモノではなく、無重力のパズルゲームを作るという逆転の発想から生まれたことで、ゲームとしては斬新な内容になっている。けれども逆に、ゲームとしてのオチをうまく作ることに、大変苦労したそうだ。

サブマリンオーシャン(仮称)

12月配信予定の潜水艦のゲーム。潜水艦に乗って広大な海洋を探索していくというもの。スマートフォンのゲームでは珍しく、広大な海中をシームレスに探索できるように、オープンワールドを作り上げようと奮闘中。技術的に難易度が高いので、つなぎ目のない海を表現できるよう、日々チャンレジしているとか。

海の中は、リアルな魚たちやサンゴ礁などが群生する、美麗な様子が表現される。ひとたび深海に潜っていけば、過去に作られた謎の遺跡や、見たことのない生物まで登場する。また、宝箱も豊富に沈んでおり、それらを回収して換金しながら自分の潜水艦を強化。海の全容を解き明かして行くことが目的だ。リリースの予定は、12月初旬とのこと。

ドライビングRPG(仮称)

日本とアジア向けを意識して開発している、ランニングゲームとRPGを融合したようなゲーム。さまざまな職業やスキルを持った味方キャラクターを酒場で集め、パーティーを結成。プレイヤーの一瞬の判断力で陣形を変化させながら、モンスターたちとの戦いを有利に進めていく。各ステージに存在するボスを倒し、世界の平和を取り戻すことが目的だ。こちらのリリースは12月下旬予定。

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