【注目アプリレビュー】海外で超おもしろいと囁かれるガチ硬派なSF戦略『XCOM: Enemy Unknown』

2013-06-28 12:30 投稿

●素人さんお断り!な超骨太戦略ゲーム

2012年末に登場したPCゲーム『XCOM: Enemy Unknown』。海外で高い評価を受けたこのシミュレーションゲームが、日本語対応でiPhoneアプリへ移植された。価格は1700円[税込](2013年6月27日時)。気軽にはダウンロードできない有料アプリだけに、ぜひ本レビューを読んで購入前の参考にしてほしい。

本作を簡単に解説すれば、突如襲ってきたエイリアンを撃退するターン制の戦略ゲーム。プレイヤーは対エイリアンの国際的組織XCOMの指揮官となってエイリアンと戦ったり、組織を運営してエイリアンに対抗していくのだ。

▲舞台は近未来。突如出現したエイリアンに対抗すべく多国籍軍を率いて戦う、SF戦略ゲームなのだ。

 

「なんだか難しそうかも……」なんて思った人は大正解、決して手軽に遊べる万人向けの作品ではない。なにせ開発は、傑作ながら非常に複雑なシミュレーションゲーム『シヴィライゼーション』シリーズを手がけたFiraxis Gamesなのだから。逆に、手強いゲームほど燃える! という人ほどハマってしまう、完璧にゲーマー向けの作品なのだ。

▲ゲームシステムはターンベースのシミュレーションゲーム。配下となる兵士を操作し、エイリアンと戦う。

 

倒すか倒されるか、1回の行動が命運を分ける!

バトルシーンは、斜め見下ろしタイプの視点で進行する。ユニットをタップして選択し、目的地をタップして移動させる。元がPCゲームながら、タッチパネルに最適化された操作になっているのだ。

味方の兵士は1ターンに2回行動できるため、移動して射撃したり、2回移動したりすることが可能。また、行動力をふたつ消費してより遠くへ移動するダッシュ、射程内で動いた敵を自動的に攻撃する監視など、多彩なコマンドで幅広い戦術を実現できる。

▲兵士は2回行動可能。青い枠線が移動範囲だ。この範囲を超えて移動するダッシュも可能だが、行動力をふたつ消費する。
▲射程内に敵がいる場合は攻撃可能。弾薬を撃ち尽くしたら、行動力を消費してリロードする必要がある。
▲兵士が成長すれば、ロケットランチャーで攻撃することも可能に。狙った場所の周囲に大ダメージを与える、強力な攻撃だ。

 

バトルでポイントとなるのが遮へい物の存在。ガレキやクルマなど、遮へい物の隣りで戦うと、敵からの攻撃が当たりにくくなる。そのため、敵の姿が丸見えで、さらに自分の姿を隠せる場所を探すのがセオリーなのだ。

とはいえ、そんな都合のいい場所がたくさんあるワケがない。せっかくクルマに隠れたのに敵からの攻撃でエンジンが爆発したり、よさそうな場所に移動しようとしたら敵が“監視”を行っていて先制攻撃を受けてしまった、なんてことはよくある。

▲移動先に表示されている盾のアイコンが、どれだけ身を隠せているかを表す。盾のゲージが満タンの場所で戦うように心掛けたい。
▲ずっと隠れていたのでは戦局は進まない。敵の横や後ろなど、狙いやすく隠れやすいポジションを見つけ出すのだ。

 

加えて序盤の味方は強いとはいえず、数回攻撃を受けると倒されてしまう。さらに、死んだ味方は復活させることはできず、基本使い捨て。にも関わらず味方には成長要素があるため、効率よくゲームを進めるには、とにかく仲間が倒されないよう慎重に戦う必要があるのだ。

この“倒すか倒されるか”といった緊張感は半端なく、終始熱いバトルを楽しめる。昔の『ファイアーエムブレム』シリーズが好きな筆者にとっては、ツボといえるポイントだ。ただしキャラ萌え要素は微塵もないため、その辺は割り切るべし。

▲倒された仲間は2度と復活しない。また倒されずともダメージを受けると負傷し、再出撃が可能になるまで時間がかかる。ローテーションを組んで戦いたい。
▲ちなみに兵士は、名前や外観をカスタマイズ可能。女性の兵士もいるけれど、その辺はまあお察しください。

 

 

エイリアンのテクノロジーを利用して組織を強化!

本作には組織を運営してく要素もある。XCOMの評議会には多数の国が加盟しているのだが、エイリアンに襲われた国はパニックレベルが上昇し、最高になると評議会から離脱してしまう。そうなると資金援助や支援が受けられなくなってしまうのだ。

そのための対策として、地域に衛星を打ち上げたり、急襲してくるエイリアンを撃退したりする必要がある。だが同時に複数の場所を襲われた場合、撃退できるのは1箇所のみで、残りの地域は見捨てなければならない。パニックレベルが高い国を守るか、報酬がおいしい場所に急行するか、じつに悩ましい選択を迫られる。

▲評議会に加入している国の一覧。ゲージはパニックレベルを表している。中国がちょっとピンチかも!
▲ミッションが複数の地域で同時に発生することも。どの地域に向かい、どこを見捨てるかはプレイヤー次第なのだ。

 

またエイリアンとのバトルで、エイリアンの死体、武器やUFOのパーツなどを入手できることがある。これらを研究して、新たな装備や技術を開発することも可能。敵のテクノロジーを利用してしまおう、というワケだ。

たとえば“アーク放電器”を開発、作成すると、エイリアンを生け捕りにして尋問できるようになる。そのほかにも、より耐久力の高い“カラパスアーマー”、ソルジャーの命中率が上がる“S.C.O.P.E.”など、兵士の装備を開発して戦闘力を向上させることも可能だ。

▲ミッションをクリアーすると、エイリアンの死体や敵の武器のパーツなどを戦利品として得られる。
▲その戦利品をもとに、新たな研究を行うことが可能。新たな装備品を開発すれば、有利に戦いを進められるように。
▲開発した装備は、設計室で作成し、兵士に装備させて初めて効果を発揮する。何をするにしてもお金がかかるゲームなのだ……。

 

さらに、施設自体の拡張も行える。研究スピードを向上させる“研究所”、追加の衛星を打ち上げられる“衛星アップリンク”などを建設し、組織自体を強化していくのだ。ただし、建設するには時間や資金が必要で、さらに施設の活動には電力が必要不可欠。そのため、状況に合わせて発電所も増設していく必要がある。

資金や時間といったリソースを、開発に回すか装備の強化に回すか。開発ならば、どの順番で施設を建設していくのが最適なのか。アレコレ考えながら組織を強化していく、経営ゲーム的なおもしろさも味わえるのだ。

▲施設の全体図は地中からの断面図になっている。この各マスに新しい施設を建設できる。同じ施設を隣接させると相乗効果が生まれるため、建設場所はよく考えて!
▲士官訓練学校では、部隊サイズを強化して一度に出撃できる兵士の数を増やしたり、負傷した兵士の回復速度を早めるアップグレードが可能。ただし兵士が一定の階級になっていないと実行できないのだ。

 

兵士の成長要素も忘れてはならない。特長がない新兵から始まり、敵を倒して階級が上がると、アサルトやサポートといったクラスに派生していく。また階級が上がると新しいアビリティを覚えられ、その内容はクラスごとに異なる。成長すればするほど、より個性的な戦いかたが可能となり、戦術の幅が広がっていく。

▲兵士が昇進すると、新たな能力を覚えられる。伍長以降は、ふたつの能力のうちひとつだけを選んで覚える仕組みだ。

 

ターン制バトルが熱く、また組織運営も楽しめる。硬派な戦略シミュレーションが大好物の人は、遊ばないともったいないレベルの完成度だ。お値段は少々高い部類に入るが、ゲーマーの読者諸兄は腰を据えてじっくり楽しんでいただきたい。

最後に、本作は最新PCゲームの移植であるため、ゲーム自体が重め。そのため、動作環境には十分に注意していただきたい。筆者は最初iPhone 4でプレイしてみたのだが、起動こそすれ重くて快適に遊べるレベルではなく、また途中でクラッシュして進行不可能になってしまった。iPhoneの場合、動作環境はiPhone 4S以降なので、購入前にしっかり確認しておきたい。

 

著者紹介:喫茶板東
ファミ通Xbox 360で海外ゲームマニアックス、実績解除愛好会などを担当していたフリーライター。ターン制シミュレーションと言えば、そろそろ登場する『シヴィライゼーションV』の拡張パックが気になってソワソワする毎日。

 

XCOM: Enemy Unknown

メーカー
2K Games
配信日
配信中
価格
1700円[税込]
対応機種
iPhone 4S、iPhone 5、iPod touch (第4世代)、iPod touch (第5世代)、iPad 2 Wi-Fi、iPad 2 Wi-Fi + 3G、iPad (3rd generation)、iPad Wi-Fi + 4G、iPad (4th generation)、iPad Wi-Fi + Cellular (4th generation)、iPad mini、およびiPad mini Wi-Fi + Cellular に対応。 iOS 5.0 以降が必要 iPhone 5 用に最適化済み

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