【TGS2012】セガ主催トークイベント[アジア編] アジア市場の可能性と課題を激論
2012-09-23 21:12 投稿
●アジア市場での成功のために
2012年9月20日から9月23日にかけて開催された東京ゲームショウ2012で、開催2日目にセガブースにて、”SEGA_Apps Coming! Game Changer 海外への挑戦 アジア編”が開催された。ここでは、その模様をお伝えする。
前日に開催された”SEGA_Apps Coming! Game Changer 海外への挑戦 欧米編”に引き続き、今回はアジア編となる。司会進行はセガネットワークス 執行役員 事業本部長岩城農氏、パネラーにNubee Tokyo 取締役 桑水悠治氏、eijing Chukong Technology(Punch box) 日本支社長 温浩邦氏、ディー・エヌ・エー ビジネス開発統括部ストラテジック・パートナーズ・リレーション部 部長 星野直彦氏の計4名が登壇。このトークセッションでは、アジア市場におけるスマートフォンの今後の展開について、各パネラーが語り合った。
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※【TGS2012】日本のスマホゲームは欧米の市場で通用する
まずは、アジア市場のポテンシャルをどのように感じているかというテーマからセッションはスタートした。現在、中国と韓国を中心に事業展開をしている星野氏は、「昨年からサービス展開を開始した中国で、会員が約500万人に到達した。しかし、いまだにPCのMMORPGなどの人気が根強い」と説明。それでも、このMMORPGユーザーたちが、今後スマートフォンへと移っていくと予想しており、「いずれはMMORPGの市場に届く可能性を秘めている」と述べた。一方韓国については、「Androidの普及率や、Wi-fi環境が非常に優れている」ため、「スマートフォンの浸透スピードが早く、高いポテンシャルを持っている」と語った。
現在シンガポールを拠点に活動している桑水氏は、アジアのさまざまな国に可能性があるとしたうえで、「ポテンシャルという点でいえば、日本や中国が高い」と述べた。その理由はふたつ。「スマートフォンの普及率が非常に高いシンガボールに対して、日本と中国での普及率はそれほどでもないということと、日本と中国においては、その国のデベロッパーがプラットフォームでトップセールスに多く入っていること(桑水)」を挙げた。スマートフォン普及率が高く市場が整ったところに挑戦していくのではなく、むしろそれ以前。普及率に伸びしろのある市場にスポットをあてていくべきではないかという考えを示した。
岩城氏は、「ジャンル、OS、端末、マーケットが多様化している現在、どのように参入していくべきなのか」というテーマを掲げた。これに対し温氏は、「中国市場では、あらゆる手法を講じてンキング上位を目指す企業が多く、やりにくい。ちゃんとした方法で立ち向かうのが難しい」とコメント。さらに、「ポテンシャル自体はある市場なので、不正行為や海賊版を排除していくことが課題」と付け加えた。「ずいぶんとコストと手間のかかる対策になりそうですが?」と岩城氏が返すと、「それでも、まず市場の環境を整えていきたい。難しい問題ではあるが、解決方法はこの時点で考えるのではなく、80年代にゲームがどのように発展してきたかを振り返り、その歴史を活かすべき」と温氏。成功するには問題が多い市場だとしたものの、実際に中国で成功を収めているからこその経験談を語った。
続いて岩城氏は星野氏に質問。「PCのマーケットが強い市場に向けてスマートフォンのジャンルを提供する際、ある程度その市場に(ジャンルを)合わせていくべきなのか、それとも日本系のジャンルにポテンシャルはあるのか、プラットフォーマーという視点から意見を」と岩城氏。星野氏は、「中国で人気のカードバトル系ゲームは、日本で流行っているカードバトル系ゲームに比べ複雑」という。人気のMMORPGの系統をひきついでいるのが理由で、パラメーター要素が細かく設定されているという。日本で多くみられるワンクリックで済むようなカードバトル系ではなく、「そういうハイブリッドなゲームを投入していく方が受けるのではないか」と述べた。
加えて星野氏は、「ゲームひとつの継続率が低いので、継続率をあげる努力をするべきかというと、じつはそうじゃない」と続けた。「長く遊んでいるユーザーは課金率が非常に高いこと、そもそもゲームユーザー数が多い国だということから、アープを高めていくという戦略が正しいのではないかと思っている」と述べた。
岩城氏より今後についてを聞かれると、温氏は、「中国、韓国、台湾では、アープの高いMMORPGで攻めていこうと考えている。さらに、文化の違いに気を使って、細かいゲームデザインをしなければいけない」とし、ゲーム以外の娯楽をライバルとして見た場合「TVが観れたり、支払いも可能など、ほとんどのことがモバイル端末でできるといった日本のノウハウは、東南アジア市場で活かすことができるはず」と述べた。
桑水氏は「競合がかなり多くなってきているので、プロモーションの仕方が大事」とし、そのうえで「たとえ課金率は低くても継続して遊んでもらえるゲームをしっかり作っていき、また一方でアープの高いゲームも作っていったりと、色々なパターンで攻めていく予定」と語った。
「アジアだけではなく、会社としてインターネット上でナンバーワンのコンテンツSNSプラットフォーマーになりたい」とは星野氏。ここで「知らないマーケットに対して成功させるには、どうしたらいいと思いますか?」と、逆に岩城氏に質問。「ゲーム会社としては、集客の手段を自分たちのマネジメントとしても学習していきたい。会社単体では、情報収集が困難なので、いろんなつながりを活かしながら学習していきたい」と岩城氏。その意見を受け星野氏は、「プラットフォーマーとして“集客をする”という原点の部分を強化。プラットフォーマーとコンテンツプロバイダーのパートナー様がうまく噛み合えば、アジアに限らずどんな地域でも成功していくことはできると思う」と述べ、ここでトークセッションが終了。
スマートフォンの普及率が右肩上がりで、すでに大規模なPCゲームユーザーを抱えている中国と韓国。今後、さらに普及率が上がるとされるスマートフォンに、PCゲームユーザーが、スマートフォンゲームに流入する未来は、それほど遠くないという。今現在、まだまだ熟しきっていないとされるアジアのスマホ市場へ、日本のゲームはどのように入り込んでいくのか注目していきたい。
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