
【CEDEC2012】『グルーヴコースター』が目指したのは、気軽に話しかけられるリアクション上手な人!?
2012-08-20 14:28 投稿
●いきなりダンシング!?
2012年8月20日から8月22日にかけてパシフィコ横浜でCEDEC2012が開催されている。ここではタイトーで『スペースインベーダーインフィニティジーン』、『グルーヴコースター』などのスマートフォンタイトルを手がけた石田礼輔氏の講演”メイキング オブ グルーヴコースター ~ジェットコースターにGROOVEを添えて~”の模様をお届けする。
なお、本講演には石田氏とともに『グルーヴコースター』に関わったタイトーの小塩広和氏も登壇。小塩氏はZUNTATA所属ということでサウンド制作に関わっているのはもちろんだが、『グルーヴコースター』ではゲームシステム面まで関わっている。本講演でも『グルーヴコースター』のサウンドシステムに関しての説明を行なってくれた。
まずは来場者への説明も兼ねて、『グルーヴコースター』のPVを流した石田氏。しかし、PVが流れ始めてしばらくするとなにやらリズムを取り始めると、ついには壇上を所狭しと踊りまくり、いきなり来場者の度肝を抜いてくれた。PV終了後、「本作は……、ジェットコースターのような……、ゲームです。音に合わせて……、画面をタップするだけのゲームです」と息も絶え絶えに講演をスタートさせた。
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講演では石田氏が『グルーヴコースター』を完成させるまでに重視したポイントを順を追って紹介した。まず最初に語ってくれたのは、最初のアイデアをいかに変化させるかということ。最初に考えていたことは非常にシンプルだった。石田氏が考えていたのは「ワンボタンゲームを作ろう。iPhoneで作るなら指一本でプレイできるほうがいい。海外展開も見据えていたのでシンプルな方がいいだろう」ということ。そこから導き出されたキーワードは、下の4つ。
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現在の『グルーヴコースター』とはかけ離れたキーワードが並んでいるが、石田氏がこれらをさらに精査してダイナミックに昇華させたものが下記の4つになる。
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このように、最初のアイデアに固執せず遊びやすさを重視するために大きく変化させているのだ。石田氏が『グルーヴコースター』でとくに意識した点として、演出効果があげられる。同作では、音のイメージに合わせてステージの波形を作ったり、エフェクトで表現したり、曲のイメージを演出で表現している。
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こうしたなかで、難度によってコースの形状を変化させたり、ゲームオーバーになったりといった要素は排除したと石田氏は語った。その最大の理由は”ゲームが苦手でも楽しめるようにすること”とのことだ。攻略することが最重要ではなく、それよりも感情の起伏(音楽にノること)を大事にしたいと石田氏はいう。それゆえ、本作が配信されてからのインタビューなどで石田氏が再三口にしてきたのは「これは音楽ゲームではなく、グルーヴゲームです」という言葉だ。
本作の際立った完成度は配信以降多くのユーザーに受け入れられてきたが、石田氏は「ただたんに「俺スゲー」という斬新なアイデアだけではたくさんの人に届かないんです」という。そこで、メニューやサウンドを含め、ゲーム全体で核となる部分を肉付けしてプロモーションする必要があると言うのだ。そこで石田氏が大事にしてきたのが”直感性の追求”だ。たとえばプレイヤーキャラクターがリモコンでロボットを操作するアクションゲームがあったとする。石田氏は「これをダメとは言わないが、因果関係の多さは直感性を犠牲にしてしまいます」としている。
ここで出た石田氏らしい印象的なコメントが、「目指すのは、気軽に話しかけられるリアクション上手な人です。そういう人って、誰の周りにもいると思うんですけど、やっぱり話しかけたくなるんですよ。ゲームもそれといっしょだと思います。ユーザーの想像以上のリアクションを用意してあげると、なんとなくプレイしたくなってしまう」(石田)。
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また、ゲームだけでなく、+αの価値を見出すために、「持っていることがステータスになるものにもしたかった」とも語った。なるほどたしかに本作は、人に見せたくなるかっこいいものとしても非常に存在感のあるタイトルだ。プレイしていることに満足できるような仕掛けとして、これまで歩んできた道のりがステージに反映され、自分だけのステージをプレイできるとう要素も本作にはある。さらに、「これは少し伝わりにくかったのですが、もっとわかりやすいものとして、このステージを遊ぶとスタッフロールにユーザーの名前が登場します」(石田)。また、このような誇りと自己の投影がゲームへの強い思い入れを生み、BUZZを生むのだとしている。
●音楽ゲームの理想形をいかに軽い処理で行うか
ここからはサウンドシステムの解説ということで小塩氏にバトンタッチ。小塩氏も、本作で大事なのは、プレイヤーの操作に対してリアクションがあることとし、目指したのは”擬似演奏感覚”。そこでまずは既存の音楽ゲームを分析し、みっつのタイプに分類した。
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この3つのタイプ、アーケードゲームではそれなりに各タイプにばらけているが、スマホの音楽ゲームはほぼすべてアクション型で占められているのだそうだ。というのも、アクション型以外のタイプは楽曲の監視などゲーム中に多くの処理が必要になり、スマホ向きではないからだ。当然スマートフォン向けに開発される本作でも同じ問題を抱えていたが、演奏感は絶対にはずしたくないという思いがあった。そこで小塩氏が考案したのが”ミュート2トラック方式”と名付けた方式だ。
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これは、メインメロディーとリズム系のふたつのBGMを組み合わせてひとつの曲として聴かせるというもので、常時監視の必要がなく、ふたつの曲を用意すればいいだけなので、処理の負担は軽くて済むというのだ。これに加えて「自由に演奏したい」という要望にも応えたのが、”アドリブシステム”だ。これはマーカー以外の特定の部分をタップすることでも反応が起こってスコアアップが狙えるというものだ。もちろん、楽曲のリズムに合わせてタップしなければならないのだが、アドリブを探す楽しみがゲームに深みを加えたと小塩氏は語った。こうした仕様を組み込む中での注意点として、「これから音楽ゲームを作る皆さんにも注意してもらいたいのですが、音楽ゲームは作っているうちにどんどん難しくなってしまうので、難易度の調整には気を使ったほうがいいです」ということをあげた。そのため、そこにつながる判定バランスの調整にも苦心したようだ。
システム面以外に本業の楽曲に関しては、「サウンドそのもので世界観を表現したかった」と語った。小塩氏の意図がとくに伝わるのが、メニュー画面で流れる楽曲”The Beginning”だ。一般的な音楽ゲームではメニュー画面はビートの効いた曲であることが多いが、宇宙を形成するという世界観を表現したいという思いからアンビエント調の楽曲を制作。さらに、ゲーム中の楽曲がジェットコースターの落下のイメージなので、メニュー画面は落下前の上昇をイメージできればという思いも込めたという。
小塩氏は「音楽ゲームの楽しさは、自分ならではの音楽体験ができるということだと思います。これはこれから音楽ゲームを作るときにも大切にしていきたいし、そうやって作ったもので少しでも楽しい世の中になればいいなと思っています」というメッセージで最後を締めた。
石田氏もふたたび壇上に上がり、「このゲームのテーマは起動画面にも表示されている”PLAY MUSIC”という言葉です。これには音楽を演奏すること、楽しむこと、遊ぶことという意味を込めています。音楽って、ただ聴くことはすごく気楽にできるけど、演奏するとなると途端にハードルが上がってしまいます。でも本来音楽はもっと簡単なものですよね。音を出すことや重ねることが楽しいものです。このゲームはそれを思い出してもらいたいと思って作りました。近いうちに新しい仕掛けも考えていますので楽しみにしていてください」と新たな展開を予想させる言葉で講演を終わりとした。
【グルーヴコースター】
メーカー:TAITO Corporation
価格:250円[税込]
配信日:配信中
対応機種:iPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、iPod touch(第3世代)、iPod touch (第4世代)、およびiPad に対応。iOS 4.2 以降が必要
(C)TAITO CORP.1978,2011
【スペースインベーダー インフィニティジーン】
メーカー:TAITO Corporation
価格:450円[税込]
配信日:配信中
対応機種:iPhone、iPod touch および iPad 互換iOS 3.0 以降が必要
(C)TAITO CORP.1978,2011
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