
家電量販店の巨人、ヤマダ電機のソーシャルゲーム事業を検証する
2012-07-27 16:00 投稿
●ヤマダ電機のソーシャルゲーム事業に参入する意図は?
全国に700店舗を展開する家電量販店の最大手ヤマダ電機が、ソーシャルゲーム事業に参入。業界で大きな話題となったニュースが飛び込んできたのは、2012年6月7日のこと。ヤマダ電機では、同社の会員(ポイントカード会員やケイタイde安心会員)を対象に、オンラインプラットフォーム“ヤマダ電機マルチSNS”のサービスを6月よりスタート。そのキラーコンテンツのひとつとして、ソーシャルゲームサービスの“ヤマダゲーム”を位置づけているという。“ヤマダ電機マルチSNS”は、ヤマダ電機がこれまで提供しているEC(インターネットなどを利用して契約や決算などを行う取引形態のこと)サービスを統合し、ユーザーどうしのコミュニケーションや情報発信を可能とするソーシャルネットワーキングサイトだ。具体的なコンテンツとしては、現在提供している通販サイト“Yamada-Denki WEB.com”や、業界初の家電レビューサイト“P!-Ch!Ku Park(ピーチクパーク)”、“ヤマダゲーム”に加え、将来的には映像コンテンツを放送する“やまだテレビ”や写真サイトの“ヤマダフォト(仮称)”、家電やブランド品のリユースポータルサイト“ヤマダセカンド(仮称)”なども予定されている。発信するメディアも、フィーチャーフォンやスマートフォン、PC、テレビなど多岐に渡り、まさにヤマダ電機の一大コミュニティーサイトの構築を目指すものとなる(詳細は下の図を参照のこと)。家電量販店としては破格とも言えるこの取り組みの意図は何なのか。“ヤマダ電機マルチSNS”のプロジェクトを主導する、ヤマダ電機の茂木弘氏と田村卓芳氏に、その目的と今後の戦略を聞いた。ヤマダ電機がSNS事業で目指す未来像が見えてきた(※週刊ファミ通2012年8月2・9日合併号の記事を再構成したものです)。
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茂木弘氏(右)。ヤマダ電機 IT事業本部EC事業部 事業部長 兼 ソーシャルEC部長 執行役員常務。 田村卓芳氏(左)。ヤマダ電機 EC事業部 ソーシャルEC部 副参事。 |
[ヤマダ電機コミュニティーの全体イメージ]
ECサイトや家電のレビューサイト、ソーシャルゲームサービスなどで構成されるSNSサイト。将来的には全部で7つのコンテンツを予定している。単純に物を販売&購入するという関係ではなく、ユーザーとヤマダ電機のコミュニティーを構築するサービスになるとのことだ。
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■リアル店舗との連動などヤマダ電機の強みを活かす
――そもそも、“ヤマダ電機マルチSNS”の構想が始まったのはいつごろだったのですか?
茂木弘氏(以下、茂木) 企画が動き始めたのは1年くらい前からです。昨年夏はハイビジョンテレビが絶好調だったのですが、当然その勢いが長く続くとも思えませんでした。「つぎに何に取り組むか?」ということを考えたときに浮かんだのが、ECを中心としたコミュニティーサイトの展開でした。発想のベースにあったのは、ヤマダ電機の会員の規模です。当社では、ポイントカード会員やケイタイde安心会員などを含め、約2350万人の会員様がいるのですが、この会員の皆さんに、さらに喜んでいただけるようなサービスを提供すべきだと判断したんです。
――2350万人というのは、ソーシャルゲームのプラットフォームのユーザー数にも比肩しますね。
茂木 しかもこの2350万人というのは、ただの登録会員ではなくて、少なくとも1年に1回はヤマダ電機に対して何かしらのアクションを起こしてくださっている会員様です。その会員様による双方向のコミュニティーを形成していきたいというのが、“ヤマダ電機マルチSNS”のコンセプトになっています。
――今回、ソーシャルゲームサイトの“ヤマダゲーム”を立ち上げましたが、当初からゲームをやろうという発想はあったのですか?
田村卓芳氏(以下、田村) はい。じつは当社では、ヤマダ電機のポイントを使ってオリジナルゲームを提供するというサービスを2~3年前から地道に続けていたんですよ。そのときの反響の大きさもあって、「利用者の皆さんにとって、ゲームは魅力的なコンテンツである」という認識が我々にもありました。“ヤマダゲーム”の展開は、その延長線上で企画されたものです。
――“ヤマダゲーム”の企画を始動したときに、どのような点に注力したのかを教えてください。
茂木 最初は、ほかのプラットフォームさんが展開しているのと同じようなヒット作をどんどん集めたいと思っていました。ただ、途中から、他社さんと同じことをやってもちょっときついな、というのが見えてきたんです。何よりも、当社の最大の強みを活かせない。
――最大の強みとは?
茂木 リアルに販売の場があるという点です。ほかのプラットフォームさんは、リアルな店舗を持っていませんよね。我々は、全国に700店舗を展開しているのですが、これは圧倒的な強みです。リアルとバーチャルとの連動が可能になるわけですから。今回、“ヤマダゲーム”を展開するにあたっては、多くのメーカーさんにお声をかけさせていただきましたが、リアルとバーチャルとの連動性という点に関して、もっとも大きな可能性を感じていただけたようでしたね。
田村 各メーカーさんとも、思った以上に“ヤマダゲーム”に対して好意的で、ありがたかったです。
――“ヤマダゲーム”を展開するにあたっては、まずは12タイトルからスタートしましたが、タイトル選定の基準などはありましたか?
田村 とくになかったです。スピード感のあるタイトルから順次リリースする、という感じでした。もちろん私たちも、いまのソーシャルゲームのトレンドがカードバトルだという知識はありました。ただ、そのトレンドが、ヤマダ電機の会員様に必ずしも合致するとは限らない。何しろヤマダ電機の会員様は、10代から60~70代まで、それこそ多岐に渡っているんです。むしろ、ソーシャルゲームの中心層とは合わないかもしれない。ですので、幅広いジャンルの作品を出していただいて、マーケティングを経て、“ヤマダゲーム”ならではの動向を見極めたいと思っていました。そういう意味で、メーカーさんには「いろいろとやってください」というお願いはしました。
――サービスを開始されて、思わぬ気づきなどはありましたか?
田村 もともと母数が母数ではあるのですが、当社の会員様の中にも、思ったよりもゲームに興味を持っている方が多かったことには驚きました。“ヤマダゲーム”で初めてソーシャルゲームに触れたという方も多かったようです。「待っていました!」というアンケートのお答えもありました。
茂木 とくに若い人の中には、使えるポイントでアイテムを購入するという方が多いようですね。
――では、“ヤマダゲーム”の今後の展望について教えてください。
茂木 タイトルに関しては、月に1~2タイトルのペースで増やしていくつもりでいます。すでに、コーエーテクモゲームス様から『100万人の三國志』を今夏に提供していただくことは発表済みですが、今後も選りすぐりの注目作をお届けしますよ。あとは、自社タイトルも考えています。
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▲“ヤマダゲーム”向けにコーエーテクモゲームスが配信予定の『100万人の三國志』。 |
――自社タイトルですか! ? それは、相当な力の入れようですね。
茂木 これは、開発会社さんといっしょに開発させていただくことになると思うのですが、ヤマダ電機をモチーフにしたソーシャルゲームを考えています。どんなゲームになるのかは未定です。ただ、当社の強みである、リアルとバーチャルが連動したものにしようということで企画を進めています。
田村 リアルとバーチャルとの連動というと、ちょっと考えただけでもいろいろなアイデアが浮かんできますよね。お店に行ったらレアカードがもらえたり、GPS機能と連動して、ヤマダ電機のあるコーナーに行くとヒミツのアイテムをもらえたりとか……。
――なるほど。そういった点は、ソーシャルゲームの新しい可能性を感じさせますね。
茂木 そうですね。ヤマダ電機が取り組むソーシャルゲームということでは、今後いろいろなことができるかな……と考えているんです。たとえば、ヤマダ電機に来店してくださった方には、ゲームポイントをサービスするとか。
田村 それと、詳細はまだ発表していないのですが、“ヤマダゲーム”のゲームを遊んだらポイントが貯まる……といった施策は、すでに実現に向けて動いています。
茂木 私たちは、ゲームに関しては新参者なので、とにかく“ヤマダゲーム”に慣れ親しんでいただくことを最優先に考えています。ヤマダ電機で商品を購入していただいて、貯まったポイントで“ヤマダゲーム”のゲームを遊んでいただく。そして、ゲームのアイテムを入手するために、またヤマダ電機に来ていただく……。将来的には、そういった好循環が生まれていくことを期待しています。“ヤマダゲーム”では、今後本気でソーシャルゲームに取り組んでいきますので、ご期待ください。
■ソーシャルゲームが楽しめる“ヤマダゲーム”とは?
“ヤマダゲーム”は、ヤマダ電機の会員を対象としたソーシャルゲームサイト。2012年度末には約100本をリリース予定。ゲーム内のコンテンツを取得する際に、ヤマダ電機の買い物で貯まったポイントを利用することも可能。現時点ではフィーチャーフォンとAndroid端末に対応。10月にはiOSにも対応予定だ。
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▲100種類以上のカードを駆使して戦う『ドラゴンカードGP』。封印を解くオーブを探す旅に出よう。 |
[ヤマダゲーム配信中タイトル一覧(タイトル名/ジャンル)]
ドラゴンカードGP/カードシミュレーション
ヤンキー武勇伝/シミュレーション
華の大奥 禁断の恋/恋愛シミュレーション
ワールドカメラマン/シミュレーション
らぶぺ!/育成シミュレーション
スターガーディアン/シミュレーション
ポケットビレッジ/育成シミュレーション
ポポロクロイス物語/シミュレーションRPG
あにまるストライカー/アクション
戦国TD ‐ 逆襲!本能寺/シミュレーション
Crazy Madam/アクション
Planet 51 Racer/レース
※配信元:エムティーアイ
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