【大塚角満の熱血パズドラ部!】第7回『禁断の果実』

2012-04-27 17:35 投稿

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●禁断の果実

昨日から、俺はゴキゲンだった。

というのも、“先週末に発生したサーバ障害のお詫びに”ということで、運営から“ギングゴルドラ”1匹と魔法石(5個!)がプレゼントされたから^^ つねに魔法石不足でカツカツの生活を余儀なくされている俺にしたら、これは紛れもない天の恵み。この時点で魔法石の合計は8個となり、俺はアラブの石油王のようなセレブな気持ちになった。

「魔法石、大切に使わせてもらいますよ山本さん!!!」

心に余裕が生まれたことを深く感謝し、俺はウチの会社から歩いて3分のところにあるガンホー・オンライン・エンターテイメントの方向に向かって「へへーっ!!」と頭を下げたのだった(山本さんは、『パズドラ』のプロデューサーです)。

で、いま。

いつものように目黒と昼飯を食いながら、お互いにiPhone(=『パズドラ』)をいじくっていた。貧乏生活から脱出できた余裕からか、俺のプレイは順調そのもの。みるみるうちにランクも上がり、それと比例してモンスターのレベルもグングン上がってきていた。画面を見つめる俺の目は、下弦の月のようにニタニタになっていたことだろう。

そんな俺の目の前で『パズドラ』の画面を見ていた目黒が、いきなり「あっ!!」と鋭い声を発した。そして「大塚さん、来ましたよ! チャンスですよっ!w」と言い、さらに「ガチャのページ見てください!!」と続けた。

俺は言われるまま、ガチャのページを開いた。なるべく近寄らないようにしていた、俺にとっては“聖域”とも呼べる場所である。なぜかと言うと、貧乏なうえに無課金プレイを課している人間にしたら、魔法石5個でレアモンスターがゲットできる(かもしれない)レアガチャは“禁断の果実”のようなものだから……。もしもレアガチャを回してしまったら、今後のパズドラ生活が超逼迫したものになるのは間違いない。魔法石が底をついたらコンティニューができないし、スタミナ回復もできないのだ。どんなに貧乏になろうが、米びつの米だけはどうにか死守していきたい……。そんな気持ちがあったので、ガチャゾーンには踏み込まないようにしていたのだ。

なので、ここに来たのはじつにひさしぶりだった。いったい目黒は何に驚いて、俺をここに導いたのだろう。見ると、画面には小さな文字で運営からのメッセージが書き込まれていた。ナニナニ、なにがあったんだ……? さっそく読むと……!

『60万DL記念!』(4/28 13時まで)
4/27(金)13時から24時間限定!
レアガチャで☆5の神シリーズ10種
の的中確率が超絶UP!!
しかも今だけ進化後☆6も排出中

俺の心臓は、きっかり3秒は止まった。

ま、マジかよ……! あ、憧れの“神シリーズ”のモンスターたちが、ボロボロとレアガチャから出てくるのか……!! ほ、ホントか? 本当なのか!!? いいやウソだっ!!! ウソだと言ってくれっ!!!! いやウソじゃなくていい!! 嗚呼!! 俺はどうすればあああああ!!!!

「マジかあああああ!!!! お、俺はどうすれば!!!? ずっとレアガチャは我慢してきたのにっ>< ガンホーさん、なんて罪作りなことをしてくれたんだ><」

目黒、ニヤニヤ笑いながら俺に言う。

「魔法石、残り8個でしたっけ?w 1回引けるじゃないですか。やっちゃいましょうよ。だって、憧れの“ヤマタノオロチ”とかが手に入るかもしれないんですよ? ちなみに俺は、さっきからガンガン回していますww」

目黒は俺と違い、情報や課金の制限をせずに『パズドラ』を遊んでいる。イヤミなことに、コイツは隙があると俺の目の前でレアガチャばっか回しているのだ。このとき(つい20分ほど前だがw)がまさにそうで、目黒は「さあこい!! オロチこい!!」と言ってレアガチャを回した。食い入るように、画面を見つめる俺と目黒。しかし、レアガチャの金色の腹から転がり出てきたのは星印がひとつついた地味なタマゴである。それを見て、俺はゲラゲラと笑った。「ザマみろ!ww どうせ中身は魔剣士だ!w」。はたして、出てきたのはホントに“氷の魔剣士”。目黒は顔色を失くし、「…………………………またオマエか…………」とつぶやいた。

しかしこんな姿を見せられたら、どうしてもレアガチャを回したくなる。手持ちの魔法石は8個なので、どうにか1回だけ回すことができちゃうのだ。しかし、目黒のようにハズレを引く可能性は高いし、何よりここで使ってしまったら再び魔法石3個の逼迫生活に逆戻り……。うーん、悩む……。

 

メシが冷めるのもお構いなしに「うーん! うーん!!」とうなっていると、傷心から復活した目黒がこんな提案をしてきた。

「せっかくの機会なので、俺といっしょにレアガチャを回しましょうよw どっちがいいのを引くか、競い合うってことでwww」

なるほど……! それもおもしろいな!! 神シリーズのモンスターが手に入るチャンスなんて、そうそうないに違いない。このタイミングで1回だけ回せるってのも、当たりを引くフラグな気もする。よーし、やろう! 回してやろう!! 俺は一気に興奮状態になり、目黒にツバを飛ばした。「おし! やっちゃる!! その勝負、乗ってやるわ!!」

そして俺たちは同時にレアガチャゾーンに入り、「いっせーの、せ!!」と掛け声を出してレアガチャを回した。たった一度のチャンス……。でもだからこそ、ハズす気がまったくしない!!!

 

まもなく、俺のレアガチャからタマゴがコロンと転げ出た。固唾を飲んで見つめる俺と目黒。そのタマゴの模様は……!!!!!

それを見た瞬間、俺は椅子から転げ落ちた。

「地味タマゴキターーーーーーーーーッッ!!wwwwwwww」

爆笑する目黒。この模様のタマゴ……ってことは、たいしてレアじゃないモンスター確定じゃねえか…………………。

しかも、中身が極め付けに悪かった。俺のタマゴに入っていたのはコイツなんだが……。

 
▲ホワイトドラゴンって……。

このホワイトドラゴンを見て、目黒がさらに笑った。

「これ、大塚さんがつい最近“やっと俺のドラゴンも育ったよ!!”って見せてくれた“ホーリードラゴン”の子どもですよね?www よりによって、なんで唯一育てられたモンスターの子どもを引くんすかwwwww」

ある意味ホワイトドラゴンは、俺が現時点でいちばんいらなかったモンスターと言える……。嗚呼……。万感の思いで引いた1回きりのレアガチャで、まさかこいつを引くとは………………。俺は本気で泣きそうになりながら、目黒を睨みつけた。

「じゃあオマエ、いま何を引いたんだよ」

目黒、「あw おもしろすぎて、見るの忘れてたwww」と言って、自分のiPhoneに視線を移した。そして一瞬で表情を失くし、瞳孔が開いた目を虚空に向けて、かすれた声でつぶやいたのである。

「…………………………またオマエか…………」

この勝負、引き分けってことで……。

 

本気でうなだれる大塚角満(撮影:目黒)

大塚角満(おおつか・かどまん)……週刊ファミ通、ファミ通コンテンツ企画部副編集長。編集業務のかたわら、執筆活動を精力的にこなしており、多数の連載記事を持つ。著書に、『モンスターハンター』シリーズのプレイ日記をまとめた『逆鱗日和』シリーズが9作、『ダークソウル』のプレイ日記をまとめた『折れてたまるか!』シリーズが2作品ある。現在、ファミ通.com上でブログ“大塚角満のゲームを読む”、“『ドラゴンズドグマ』で暮らす”、アメーバブログで“大塚角満のブログ”などを連載中
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パズル&ドラゴンズ

対応機種iOS/Android
価格無料(アプリ内課金あり)
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ジャンルRPG/パズル
メーカーガンホー・オンライン・エンターテイメント
公式サイトhttps://pad.gungho.jp/
公式Twitterhttps://twitter.com/pad_sexy
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