“Mobage オープンプラットフォーム Forum”が開催、自信をもって世界市場に取り組む!

2012-04-26 02:35 投稿

「Mobageは大きなプラットフォームとして成長した」

2012年4月25日、都内・ベルサール汐留にてディー・エヌ・エー(DeNA)主催による“Mobage オープンプラットフォーム Forum-国内外、成長の方程式-”が開催された。

Mobage向けにゲームを配信するソーシャルゲームデベロッパーを対象としたこのセッションは、国内外における2012年のMobageの戦略を披露すべく行われたもの。DeNA主催による“フォーラム”は今回で4回目にあたり、前回から1年以上の間が開いたとのことで、「久しぶりの開催で、(皆さんの前で)お話しできるのを楽しみにしていました」とのDeNAの代表取締役社長、守安功氏の言葉でフォーラムは幕を開けた。

 ▲DeNAの代表取締役社長、守安功氏。

冒頭で守安氏は、まずはMobageの2011年度の状況を振り返り、2012年1月~3月までの期間でコインの消費が500億にもおよび、年間では2000億円に達する見込みであるとの数字を紹介。「Mobageは大きなプラットフォームとして成長した」(DeNA/守安氏)とした。2011年度でとくに顕著なのが、サードパーティータイトルの伸びで、前年の同時期と比較して4~5倍にもなるという。

一方で、Mobageの戦略の大きな要であったグローバル展開に関しても、昨年度までに欧米圏、中国、韓国と4つのプラットフォームを立ち上げたと説明。拠点展開もものすごい勢いで増えており、世界各国に10以上のオフィスを立ち上げたことを明らかにしてくれた。Mobageプラットフォームをグローバルで展開するにあたって、何よりの追い風になったのが、アメリカGoogle Playの売上ランキングでCygamesの『神撃のバハムート(英語名『Rage of Bahamut』)が1位に輝いたこと(⇒記事はこちら)。「日本で磨き上げたノウハウで、大きな成果を出すことができました。これをつぎにつなげたいです」と守安氏も自信の面持ちだった。

ここでグローバル展開の一環として、ディズニーとのアライアンスによるグローバル展開を改めて説明。会場には、ウォルト・ディズニー・ジャパン ディズニー・インタラクティブ・メディアグループ ゼネラルマネージャー/バイス・プレジデント ジャスティン・スカルポーネ氏が登壇し、先日行われた発表会を要約する形で(⇒記事はこちら)、Mobage向けに『ディズニーパーティ』や『ディズニーファンタジークエスト』というゲーム性の異なる2タイトルを配信したことを紹介。「日本で順調なスタートを切りました」(スカルポーネ)と説明した。さらにスカルポーネ氏は、「いままではフィーチャーフォン向け中心で国内にしがらみがありましたが、スマートフォンの盛り上がりによりグローバル展開ができるのがうれしいです。スマートフォンとDeNAのプラットフォームを得て、グローバル展開していきたいです」と力強く語った。

 ▲ウォルト・ディズニー・ジャパン ディズニー・インタラクティブ・メディアグループ ゼネラルマネージャー/バイス・プレジデント ジャスティン・スカルポーネ氏。

●海外市場でのカギを握るポイントは?

守安氏のプレゼンに続いて行われたのが、パネルディスカッション“成功の方程式‐この1年で強化したポイント・成功の秘訣など‐日本でのノウハウの海外での生かし方”。DeNA 執行役員 柴田大介氏を司会役に行われたこのパネルディスカッションは、そのタイトルの通り、Mobageのプラットフォームで大きな存在感を見せた開発会社のキーパーソンが各社の成功の秘訣を語るというもの。gloops代表取締役社長、川方慎介氏、KLab 取締役 森田英克氏、DeNA 取締役 小林賢治氏が参加して積極的に語りあった。

柴田氏より出されたお題に対して、各者が意見を開示するという形式で行われたパネルディスカッション。まず出されたお題は“この1年で伸びた、強化した 成功の秘訣とは?”というもの。まず口火を切ったDeNAの小林氏は、「2011年度Mobageが成長したのは皆さんのおかげです。サードパーティーの伸びがすごかったです」とまずは、サードパーティーに感謝の意を表明したあとで、自社の成功の秘訣を“ゲームシステムの多様化”、“より進化したソーシャル性の採用”、“テキスト中心型からの脱却”と、ゲーム内容の進化にあると説明。「7本の、月間10億級規模のタイトルを作り出すまでになりました」(DeNA/小林氏)とした。また、新作のボリュームが変化していく中での体制の柔軟な見直しも大きかったと小林氏。従来までの“企画+エンジニア”体制から、“企画+エンジニア+クリエイティブ+分析”体制へと変化することで、「高いソーシャル性を維持するためのゲームバランスの高度な設計が可能になりました」と分析した。

2011年度はグローバル展開に向けて海外拠点の整備などを行ったというKLabの森田氏は、自社の成功の秘訣を、“チームバトル系ゲームへの本格シフト”、“IPタイトルの強化”にあるとコメントした。『キャプテン翼~つくろうドリームチーム~』や『TALES OF KIZNA(テイルズ オブ キズナ)』など人気ブランドのソーシャルゲームを手掛けているKLabだが、「原作への深い理解が不可欠です」と森田氏。共通項目として“ゲームバランスの最適化”がポイントだったと結論づけた。

Mobageというプラットフォームで大きな存在感を放つgloopsは、成功の秘訣として“個人に依存しない、組織体制の構築”や“大規模Webシステムの安定稼働”、“コーボレートブランディングの強化”といったポイントを川方氏が列記した。川方氏より、1年前には53名だった社員がいまは375名に増えているという数字を聞くだけでも、いかに同社が急成長しているかがわかる。川方氏が成功の鍵としてとくに強調したタイトルが『大連携!! オーディンバトル』。「『大連携!! オーディンバトル』では、チャレンジとして、オンライン要素を入れて、同じ時間につながっていないといけないようにしました。これが新しい遊びとして好評を博しました」と川方氏がコメントすると、それに呼応するようにDeNAの小林氏も「『大連携!! オーディンバトル』は昨年もっとも衝撃を受けたタイトルのひとつです」と発言。過度のオンライン要素を入れると敷居が高くなるが、絶妙なバランスを保っていると評価した。

おつぎのお題は“日本でのノウハウを海外でどう活かすか?”。それぞれ海外に開発拠点を持っている3社。「ゲームの骨子は日本で作り、カルチャライズは現地の担当といっしょにやっていく。国際分業で日本発のヒット作を世界に提供したい」(KLab/森田氏)、「日本のノウハウを持った開発陣を現地に派遣しています。海外に関しては早い段階で展開していきたいです。日本でgloopsがDeNAさんとやってこれたように、北米市場でも勝てると信じています」(gloops/川方氏)、「日本で成功したパターンをいち早く展開できる素地を整えたい。スピードとクオリティーのバランスを取って展開するつもりです」(DeNA/小林氏)と、海外市場に対する各者それぞれの注力点を口にした。とくにDeNA小林氏が、「海外ではソーシャルゲームの市場が勃興しようとしていて、ユーザーも含めて市場を育てて行かないといけないと思っています、そのためにはいちタイトルではムーブメントとして弱くて、パートナーさんといっしょに勝負していきたいです」とサードパーティーに向けてエールを送っていたのが印象的だった。

 ▲gloops代表取締役社長、川方慎介氏。 ▲KLab 取締役 森田英克氏。
 ▲DeNA 取締役 小林賢治氏。

●データの分析がソーシャルゲームの成功を産む

DeNA ソーシャルゲーム事業本部 ソーシャルゲーム統括部分析チームの友部博教氏と伊藤慶史氏による“BigData分析への挑戦”は、DeNAの取り組みを紹介するセッション。いまや会員数4000万人を誇るMobageプラットフォームだが、1日に蓄積されるユーザーの行動情報は20億超(!)とのこと。“ビッグデータ”とは、この膨大なデータのことで、いかにデータを的確に分析してユーザーのニーズを掴むかが、友部氏と伊藤氏の仕事となる。まさに、ソーシャルゲームならではの部署と言えるが、この“ビッグデータ”に大きなチャンスが秘められていることも事実。経営コンサルタントや研究者など、ソーシャルゲーム統括部分析チームには多様なキャリアを持つ人が活躍しているというのもうなづけるところだ。

 ▲DeNAの友部博教氏(左)と伊藤慶史氏(右)。

開発会社にとっては、極めて刺激的だったであろう、友部氏と伊藤氏のプレゼンだが、記者がもっとも興味深かったのがインフルエンサーに対する説明。インフルエンサーとは、その名の通りコンテンツに対して影響力を持ったユーザーのこと。タイトルを訴求する上では、このインフルエンサーの存在が非常に有効で、“ビッグデータ”を分析すると、あるソーシャルゲームで、ひとりのインフルエンサーから15000人が登録したことが判明したという。最初はDAU(デイリーアクティブユーザー/1日にサービスを利用したユーザー数のこと)が伸び悩んでいたタイトルも、インフルエンサーの目につくことで、ある瞬間から爆発的に普及したケースもあったという。こうした“ビッグデータ”を分析することで、新しい施策が生まれる可能性があるというわけだ。「ソーシャルゲームの分析をもとに、今後もプラットフォームを改善していきます」(DeNA/友部氏)とのことだ。

●世界の主要パートナーとのアライアンスも充実

トークセッション“グローバル展開、成功の方程式‐韓国・中国・USの特徴と方向性について”は、現在Mobageがプラットフォームを展開している4拠点(日本、中国、韓国、アメリカ)の担当者が一同に介し、Mobageのグローバル展開を語るという貴重な機会。登壇したのは、DeNA 社長室 ヘッド オブ グローバル・アライアンスの守屋彰人氏をモデレーターに、DeNA Chinaのバイスプレジデント、任宜氏、DeNA Seoulの事業本部長、郭信国氏、アメリカ法人 ngmocoのディレクター、グローバル(クロスボーダー)ビジネス デベロップメント、林昌伸氏、そしてグラスホッパー・マニファクチュアの代表取締役 須田剛一氏の5名。なぜここに須田氏が?と疑問に思われる方もいるかもしれないが、先日DeNAとグラスホッパー・マニファクチュアは合弁会社としてグラスホッパー・ユニバースを設立。須田氏が同社の代表取締役社長でもある縁から参加した模様。須田氏いわく「今回は、DeNAの宇宙支局として参加しました」とのことだ。「現状51タイトルをリリースしています。クオリティーの高いタイトルの配信を心がけています」(ngmoco/林氏)、「2012年末までに、2000万人のユーザーを見込んでいます」(DeNA China/任氏)など、「韓国は2011年6月に設立したばかりですが、韓国市場はスピード感があって爆発するとすごい。スマートフォンの普及も日本以上です」(DeNA Seoul/郭氏)といったコメントが聞かれるなか、改めて印象づけられたのが、各地域の主要企業とアライアンス(提携)の充実ぶり。たとえば、アメリカでは4キャリア中3キャリアと提携。Androidマーケットが存在せず、戦略的提携が集客の中心になるという中国でも、アライアンスのカバー範囲は相当なものだという。

ちなみに、このトークセッションではさらに3つの企業とのアライアンスが新たに発表された。ひとつめが中国の人気SNSサイトrenrenとの提携。そして、Kabam、NimbleBitといった、北米市場で人気のソーシャルゲームを提供している優良企業との提携だ。まさに、世界市場に向けての戦略が着々進んでいるとの印象だ。

 ▲須田氏の新作も今後続々登場する。▲さらなる新作も予定されているとのこと。
 ▲DeNA Chinaのバイスプレジデント、任宜氏。 ▲DeNA Seoulの事業本部長、郭信国氏。
 ▲ngmocoのディレクター,グローバル ビジネス デベロップメント、林昌伸氏。 ▲グラスホッパー・マニファクチュアの代表取締役 須田剛一氏。

●スマートフォンに特化した世界戦略を展開

パネルディスカッションやトークセッションなどを経て、再びDeNAの守安功氏が登壇。“全プラットフォームで世界と戦う準備が整った”とのスクリーンに映しだされたコメントをバッグに、Mobageの“今後の戦略”を語った。守安氏によると、各地域のソーシャルゲームの普及度合いは、日本は“成熟期”、韓国と中国は“導入期”、アメリカは“成長期”にあるとのこと。そこで、ソーシャルゲームの巨大市場になる可能性を秘めたアメリカから、DeNA 取締役 兼 ngmoco,LLC CEOのニール・ヤング氏が来日。ヤング氏はまず「日本のゲーム開発運営のノウハウは北米でも十分通用します。いま北米市場はエキサイティングな時期になっており、これまでの労力が報われる成熟期を迎えています」と力強くスピーチ。成功のカギとして、“カードバトルイベントのノウハウ”、“クロスプラットフォーム展開”、“ローカライゼーション”、“カルチャライゼーション”を挙げた。その上で、「アメリカのチームはチューニングなどにすぐれています。今後も皆さんといっしょにすばらしいゲームを開発していきたいです」(ngmoco/ヤング氏)と北米市場への積極的な参入を促した。

 
▲DeNA 取締役 兼 ngmoco,LLC CEOのニール・ヤング氏。

そんなヤング氏の言葉を後押しするかのように、再度壇上に姿を見せた守安氏は「日本から世界を席巻するまたとないチャンスです」と自信を持って発言した。守安氏の自信の根拠のひとつになっているのが、冒頭にも挙げた『神撃のバハムート』の成功。守安氏は具体的な数字は開示してくれなかったが、『神撃のバハムート』の北米市場におけるKPI(重要業績評価指標)は、日本とかなり近い数字になっており、日本市場は特殊で世界とは違うのでは?といろいろなアナリストに言われていたが、『神撃のバハムート』の成功により「モバイルソーシャルゲームのマーケットは日本だけが特殊ではない。世界で成功し得るという確信が持てました」(DeNA/守安氏)という。

さらに、『神撃のバハムート』の成功がもたらしたものは、さらにある。北米市場はアプリでないと難しいと言われていたが、ブラウザゲームでも通用することが判明したことだ。そして、世界規模で押し寄せるのがスマートフォンの波だ。Mobageでは「半年以内にスマートフォンからのコイン消費がフィーチャーフォンを上回る見込み」(DeNA/守安氏)とのことで、スマートフォンへのシフトは急だ。これからは、最初からスマートフォンに特化し、欧米市場を見据えたブラウザゲームを開発するというのがMobageプラットフォームの基本戦略となりそうだ。

ちなみに、DeNAでは、その戦略にのっとった上で、スマートフォン向けのブラウザゲームを作りやすくする次世代の開発ツール“Post ExGame(Pex)”を用意。5月末をめどに各開発会社に提供する予定だという。

 ▲DeNAの発表されたばかりのタイトル『学校の星☆Unubore Spirits(仮題)』により、新しい開発ツールを使っての、なめらかなフラッシュのデモが披露された。▲新しいツールでは、最優先課題である起動速度も相当短縮化が図られるようだ。

さて、守安氏のスピーチの最後に用意されていたのが、主要パートナーの紹介。壇上に招かれたのは、『神撃のバハムート』を北米市場で大成功させたCygamesの代表取締役社長・渡邊耕一氏、gloopsの代表取締役社長・川方慎介氏、CROOZの代表取締役社長・小渕宏二氏、アドウェイズの代表取締役社長CEO・岡村陽久氏、スパイク・チュンソフトの代表取締役会長・中村光一氏という、これまでMobageプラットフォームを支えてきたもしくはこれから支えることが期待される、そうそうたる開発パートナー。それはまさに、Mobageというプラットフォームの、世界市場へ向けての改めての船出のようにも見えた。守安氏は「世界でも行けるというのを肌で実感しています。皆さんといっしょに欧米に出ていって、日本発のソーシャルゲームを提供したいと思っています」と力強く語った。

 ▲Cygamesの代表取締役社長・渡邊耕一氏。 ▲gloopsの代表取締役社長・川方慎介氏。
 ▲CROOZの代表取締役社長・小渕宏二氏。 ▲アドウェイズの代表取締役社長CEO・岡村陽久氏。
 ▲スパイク・チュンソフトの代表取締役会長・中村光一氏。

このあとは、Mobage Award 2011が開催(⇒記事はこちら)。Mobageを代表する優秀ソーシャルゲームとパートナー企業を表彰して、“Mobage オープンプラットフォーム Forum-国内外、成長の方程式-”は幕を閉じた。ノンストップで行われた3時間半近くにわたる濃密な時間は、来場したパートナーたちにとっても極めて充実したものだったのではないか。

 ▲ゲスト出演した横浜DeNAベイスターズのマスコットDB.スターマン。濃密なフォーラムにあって、一服の清涼剤となった(?)。▲司会はアナウンサーの西尾由佳理
▲フォーラムでは横浜DeNAベイスターズの選手たちがビデオ出演。Mobageをプレイする映像などが公開された。これも一服の清涼剤かも? ▲中畑清監督がMobageを遊んでないことを正直に告白。さすがの潔さ! この調子でペナントレースもがんばっいただきたい。

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