なめこ(!?)も登場! 『なめこ栽培キット』生みの親が語る開発秘話
2012-03-24 19:26 投稿
●なめことしめじってそういうことだったか!
2012年3月24日、東京大学で“Android Bazaar and Conference 2012 Spring”が開催された。このイベントは、Android関連の技術情報を交流・蓄積し、Android開発者の養成と教育支援を積極的に行い、Android関連ビジネスの活性化を目指すもので、各種講演やソフト・ハード両方のさまざまな展示が行われた。ここではその講演のなかから、“なめことしめじがきゃっきゃんふんふ”という奇妙なタイトルの講演の模様をお届けする。本講演は日本語IME『Simeji』の開発者adamrocker氏がホストととなり、iPhone、Androidで圧倒的な勢いを誇る『おさわり探偵 なめこ栽培キット』を配信するビーワークスの河合真吾氏との対談形式で進められた。
▲『Simeji』の開発者adamrocker氏 | ▲ビーワークス河合真吾氏となめこ氏 |
adamrocker氏に促され河合氏が登場すると、そのうしろにはなんと“なめこ”(!?)の姿が!? でもなんだか様子がおかしい。なめこなのは頭部だけで、首から下は人間のままという、なんとも不思議な出で立ち。そんな不思議ななめこ人間を加えて、トークセッションはスタートした。まずは河合氏から同作の簡単な説明が行われ、現在のダウンロード数が750万を突破したということも発表された。現在はグッズ展開も幅広く行っているとのことだ。
adamrocker氏からの最初の質問は“なめこの狙い”。河合氏はなめこ以前もアプリを作っていたが、それまでのアプリはメディアに取り上げられることが少なかったらしく、改めて3本の告知用アプリを出そうということになったそう。3本になった理由は、「1本だとやる気がないと思われそうだったから」とのことだ(笑)。最初の2本はかなりゆるめのものにしたので、3本目となる『なめこ栽培キット』は「気合いを入れて作ろうと思った」とコメントしたが、adamrocker氏からは「まえの2本もかなり好きですよ」と返答が。「どちらも気に入っているんですけど、一度で飽きちゃう感じなんですよ。味噌汁の具を教えてくれるものは僕が個人的に作りたかったものですが、冷蔵庫にないものも出てくるので実際には使いにくかったですね」(河合)。
“なめこを考えた時間”
スタッフとご飯を食べにいくときに話すことが意外とヒントになることが多いという河合氏に対して、「そこにいないスタッフにはどう共有していくんですか?」とadamrocker氏。「いつもネタが出る訳ではないのですが、上の人間に伝える前にスタッフ間で共有はしています」(河合)。ちなみに告知用で出す3本のアプリにはほかの候補もあったのだが、結局最初に考えた3本が日の目を見る結果になったとのこと。
“なめこの大切”
企画に際してなにを大切にしているかという問いかけには「最初から最後まで楽しい状態で終われるようにしようと思いました」と河合氏。adamrocker氏は「音が大事ですよね」と返す。「んふんふという響きとかすごくいいと思います」(adamrocker)。ここで河合氏から「んふんふ」の誕生秘話についてのコメントがあったが、なんと当時のサクセス(『おさわり探偵 小沢里奈』の販売元)のスタッフが適当に考えたというあまり知りたくなかった真相が明かされた。「本当になにも考えていなかったみたいですよ(笑)。とりあえず口癖を考えたかったとかって」(河合)。
“なめこチーム”
「いままでの話を聞くとかなりいい関係を築けているようですが、どんなチームなんですか?」と聞くadamrocker氏。「上がってくるアイデアのほとんどは僕が通してしまいます。そのときおもしろいなと思ったものはそのまま出しちゃったりしています。知らんぷりでやっちゃいますね(笑)」(河合)。知らんぷり体制は管理が難しいんですけど、これが成功したのが“なめこ”大ヒットの秘訣だったのかもしれないですねとまとめるadamrocker氏。
“河合さんの休日”
開発者のプライベートに迫る質問も。休みの日は水族館や動物園に行くことが多いようで、動物の動きを研究してそれをゲームに落とし込んだりすると意外とハマることがあるのだそう。自分が楽しんでいることを仕事に落とし込むのが、いい作品を作るコツのようだ。
“なめこのキャラ”
キャラクターデザインは河合氏が担当しているが、コンセプトはべつのディレクション担当が決めているのだそう。なめこの名前を渡された河合氏が独自の感性でデザインを行うため、ディレクション担当の意思にそぐわないデザインになることもしばしばあるのだとか。また、なめこ図鑑の説明もこれまたべつの人間が担当しているため、いろいろな個性がなめこの魅力を作り出しているようだ。
“なめこのNG”
「ものを作る上で言っちゃいけないことや、やっちゃいけないことはありますか?」という質問に対しては、「デザインと使いやすさを比べたときに、まずは使いやすさを重視しましょうということ。気になったことは放っておかないということ。伝えることを諦めないようにしましょうということ」と3つを挙げた。コミュニケーションを重視したやり方が、いいチームを生み出してるようだ。ちなみに『なめこ栽培キット』の開発当初は3名のチームで制作したとのこと。
最後の話題はAndroidでの開発について。iPhoneで発売され、その後Androidに移植された『なめこ栽培キット』。じつはiPhone版よりもAndroid版のほうが制作期間はかかったようだ。「やはりあらかじめ移植を考えた作りでないと、それなりに時間がかかりますね」(河合)。昨今のグッズ展開に関しては、ほとんどは外部からの誘いで作っているようだが、自分で使ってみたいものの希望を言うと意外と作ってくれたりするとのこと。「ボツになるものはあるの?」という質問には、「最初はスタンダードなものでいいと思うんですが、いまのようにある程度ものが増えてくると、ただキャラクターを並べるだけだとつらいですね」(河合)。河合氏自身がユーザー目線でみているため自然と厳しくなってしまうようだ。
このあとも予定時間をオーバーしてセッションを続けようとするadamrocker氏だったが、運営側からの申し出であえなくトークセッションは終了。みっちりと語りつくした約1時間は、満員の会場からの拍手で幕を閉じた。
【おさわり探偵なめこ栽培キット】
メーカー:ビーワークス
配信日:配信中
価格:無料
対応機種:iPhone/iPod touch、iPad互換 iOS 3.0以降が必要、Android2.2 以降
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