伯爵の死の謎に挑む本格ゴシックサスペンス『モロー家の秘密』
2011-12-28 13:28 投稿
●養父が死亡した実家に呼び戻され、窮地に陥る主人公
本作『モロー家の秘密』は、20世紀初頭のヨーロッパを思わせる世界を舞台にしたサスペンスアドベンチャーだ。プレイヤーが操作するのは、タイトルにもあるモロー伯爵家に養子として迎えられたものの、家の気風になじめず、現在は学校の寄宿舎で暮らしている少年アントワン。差出人不明の手紙で実家に呼び戻された彼は、養父であるモロー伯爵が亡くなったことを知らされる。しかも、伯爵の残した遺言状が彼を後継者に指名していたことから、ただでさえ仲のよくない義兄や義姉、義妹たちに冷たい目で見られ、伯爵殺しの犯人として弾劾されてしまうのだ。
アントワンは、モロー家が主催するパーティーまでの5日間のうちに、自らの潔白の証明と伯爵の死の真相を求めて、モロー家の屋敷内でさまざまな調査を進めることになる。
▲兄妹たちからは四面楚歌に近いが、それ以外の人間はアントワンに比較的好意的だ。
現代物の推理小説を決して軽んじるつもりはないが、本格ミステリーの舞台としては、19世紀末から20世紀前半がいちばん脂ののった美味しい時代ではないか、と、個人的には思っている。
イギリスでホームズ、フランスでルパンの活躍していた頃に始まり、アガサ・クリスティやエラリー・クイーンといった本格推理小説の旗手たちが、つぎつぎと名作佳作を世に送り出した時代。また、日本で言えば、江戸川乱歩が明智小五郎を活躍させていた時期がそれにあたるだろう。
現代の犯罪捜査の常識となったプロファイリングも科学的分析も不十分で、各種電子機器類もほとんど見受けられない。そんな「古き良き時代」を舞台にした推理小説は、現代のミステリーとはひと味違った一種独特の様式美とも言える要素が詰まっているものだ。
そして、画面や設定を見ればわかる通り、『モロー家の秘密』からもその古典的推理物の香りが濃厚に漂ってくる。
さしたる根拠もなく、殺人犯の疑いをかけられる主人公。
単なる遺産相続だけではない、複雑な事情を抱えた被害者の遺族たち。
故人の手により改装され、怪しげな仕掛けだらけになっている屋敷。
単なる殺人事件に留まらない、見え隠れするドロドロした裏の陰謀。
そして老執事とメイドさん! (←ココ、重要)
お約束と言ってしまえばそれまでだが、それでも古典的ミステリーファンの心をくすぐる設定や小道具が、これでもかと言うくらいにてんこ盛りで、プレイ中の没入度は非常に高かった。
▲遺産相続人である以外にも、主人公が狙われる理由があるのだろうか!?
▲この子は、主人公のばあやの娘で、幼いころはいっしょに遊んだメイドのレア。シリアスな物語の中、明るい雰囲気で和ませてくれる。
進めなかった場合は、当然ゲームオーバー。しかも、本作は40にも及ぶエンディングが用意されており、そのうち事件の真相にたどり着くトゥルーエンドはひとつだけ。それ以外の残り39は、すべてある種のバッドエンドなのだから恐れ入る。エンディングリストも用意されているので、凝り性の人は、40すべてのエンドを埋めることに挑戦してみるのもいいだろう。
▲思いがけない場所から意外なアイテムが見つかるのもお約束。手に入れたアイテムの使いどころを考えよう。
▲選択を誤ると、ときには死に至ることも。とは言えエンディングリストを埋めるためには、それもまた一興。
■基本操作
本作は、2Dマップで表示された屋敷内を歩き回って手掛かりを探す移動モードと、部屋に入った時などにその場所が一枚絵で表現される探索モード、そして屋敷内の人々と会話でゲームが進行する会話モードから構成されている(※3つのモード名は便宜上の呼びかたで正式名称ではない)。
移動モード時は、プレイヤーがタップした方向に主人公(アントワン)は移動する。ドアや調べられるものの前まで来たときは、画面下部に扉や手の形をしたアイコンが表示されるので、それをタップすれば、部屋に入ったり対象を調べることができる。
▲右上のアイコンをタップすると、現在いる場所のマップの説明が表示される。違う階の情報も確認可能。 | ▲左上の「menu」がセーブ&ロードなどのシステムメニューの呼び出し。左下の「?」は、その章で調べるべき手掛かりのリストを表示し、右下は所持品の一覧だ。 |
探索モードに入ると、画面上に「質問」、「提示」、「探索」、「移動」の4つのアイコンが表示される。これらのうち、メインとなるのは「探索」。画面内の気になる場所をタップして、手掛かりとなる情報やアイテムを得ることができる。「探索」中に、所持品ウィンドゥから何かを選択して、特定の場所に対して「使う」ことも可能だ。
一方、「質問」と「提示」はその場に人がいる場合のみ使用できるコマンド。手がかりのリストから気になる事柄を相手に聞いてみる際には前者、所持品を見せて反応を窺う場合は後者を選択するのだ。「移動」を選択すると、部屋などから出て移動モードに戻ることになる。
▲質問をぶつけるにせよ、アイテムを見せるにせよ、適切な内容でなければ情報は得られない。
▲ときには、パズル的な仕掛けを発見し、それを解かないと手掛かりが得られないこともある。
会話モードは、おもに各章の導入部やイベントシーン、あるいは章の終りの”晩餐会”において突入する。ここでは、画面をタップしてメッセージを読むほか、会話に応じた選択肢を選んだり、所持品や手掛かりを提示する必要に迫られたりする。
ちなみに”晩餐会”とは言うものの、和気あいあいとした雰囲気には程遠い、実質的には主人公へのつるし上げ大会であり、同時にその章の謎解きシーンでもある。このシーンでは、間違った選択をすると画面右上に表示されたロウソクの火がひとつずつ消えていき、ロウソクが全部消えると即バッドエンドに直行する。プレイヤーの推理力と理解力が試される場面だ。
▲ロウソクが残っていても、選択によっては別のバッドエンドにたどり着くこともあるのだ。
■攻略のアドバイス
本作は、比較的難度が高めなので、これから挑戦しようと人に向けて、ちょっとしたコツとヒントを提示しておこう。とは言え、答えそのものは載せていないので、「絶対自力で解いてみせる!」という人以外は、参考までにいちおう目を通してほしい。
●大原則1:探索の基本は現場100回
100回というのは大げさだが、このゲームは何気ない会話でフラグが立って、先ほど行ったばかりの場所で新たな手掛かりが見つかることもある。一度入って何もないと思った部屋も、少しでもゲームが進んだなら再度入って探索してみる価値があるのだ。また、移動モードでマップ上に何も表示されていない場所でも、実際に主人公が行ってみると、何かイベントが起こることもある。屋敷内を特定のルートで巡回していると見落としやすい罠なので、詰まったと思ったらいろいろな場所に足を運んでみよう。
●大原則2:人の話は聞き流さず、キチンとメモを
物語の進行に関わる会話や発見があった時は、必ずと言ってよいほど次に向かうべき場所へのヒントが提示される。これに気づかないとあてどなく屋敷内を彷徨うことになるので、適当にタップしてメッセージを見逃すことは避けること。
▲本作におけるゲーム進行のキーマンとも言えるのが、このボイラー技士のフェリックス。主人公に好意的で、機械や仕掛けに詳しいので、困ったときには相談してみよう。
▲もうひとり、地下のBARにいるサンドラも占いの心得があり、いろいろと不思議な知識を知っているので、頼りになる。
【さらに詳しいワンポイントアドバイス】
<2章>
- 塔のパイプハンドルは、キチンと最後まで回さないと何も起こらない!
- パンチカードの使用は向きが重要! また、何度か利用する機会がある!!
<3章>
- 伯爵の部屋の台にしかるべきものをセットしてから、カーテンを開くと何かが起こる!
- 塔の地下には、この章で行けるところまで行っておくこと!
<4章>
- 壁の模様は左上から数えること!
- ネズミのおもちゃは単独では役に立たない!!
モロー家の秘密
- メーカー
- NHN Japan
- 配信日
- 配信中
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iPhone 3GS、iPhone 4、iPhone 4S、iPod touch(第3世代)、iPod touch (第4世代)、およびiPad に対応。 iOS 4.0 以降が必要
- コピーライト
- (C)2011 NHN japan Corp.
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