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【iPhoneおすすめアプリ】ディリータと出会って僕は大学デビューしました『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』

2011-08-23 18:43 投稿

●自身を奮い立たせるとき、僕には『FFT』が必要なんです

アプリと言うと、少し前までは少ない容量の中でいかにゲーム性を出すかというところに頭を悩ませた、創意工夫に満ちた作品、言い換えればシンプルだけどハマるみたいなものが多かったが、スマートフォンの登場によってそれは一変した。いまやコンシューマーの携帯ゲーム機に勝るとも劣らないクオリティーの作品がiPhoneおよびAndroid端末向けにつぎつぎとリリースされ、ゲームを遊ぶメディアとしてスマートフォンは“アリ”なものとなっている。とは言え、長年のゲームファンのなかには、ずっと遊んできたコンシューマーへの思い入れが強いこともあって、何となくソレらを避けてしまっている人もいるだろう。何を隠そう筆者もそうだ。操作性が云々……、動作が云々……、などと言いながら、まるでスマートフォン向けアプリでゲームをすることが裏切行為であるかのように触れることを拒んできたのである。しかし、スクウェア・エニックスから先日配信されたiPhoneおよびiPod touch向けアプリ『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』を遊んで、そんなこだわりはどうでもよくなってしまった。

 

 

本題へ入る前に『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』について簡単に説明しておこう。本作は、2007年に発売されたPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフト『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』を、iOS向けに最適化して移植したもの。ジャンルはシミュレーションRPGということで、コマンド選択やマスの指定を始め何かと細かな操作を求められるが、タッチパネル形式のインターフェイス用にカスタマイズされた入力形式は、かなりの優れものとなっている。たとえばコマンド選択時の上下操作や決定は、iOS版『ファイナルファンタジーIII』でもあった、画面内のタッチした部分がコントローラーになるという方式を採用。戦闘時のマス指定に関してはもともとタップ操作との相性がいいことに加えて、スライド・ピンチインアウトでマップを自由に回転、移動、拡大縮小が可能となっており、ヘタすればコンシューマー版よりも快適なんじゃないかと感じるほどである。さらに、待機時間の高速化、一部イベントのスキップなど快適なプレイを実現するための要素を追加。操作性が云々……、動作が云々……とぶつくさ言っていた筆者も、これだけ至れり尽くせりの内容では完全に白旗だ。

 

さて、ゲーム概要をお伝えしたところで、ここからは筆者の言葉で、本作の魅力をお届けしよう。ちなみに、『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』のiOS版ならではの部分というのは、上記で述べたことでほぼ網羅できていると思う。と言うのも、移植度という点に関してはほぼパーフェクトだからだ。そのため、以下のインプレッションはおもにゲーム内容に関するものなので、すでにオリジナルを知り尽くしている人は読む必要がとくにないだろう。いますぐApp Storeを開いて購入することをオススメする。

 

まずさきほどの説明に少し補足をするが、本作のオリジナルとなるPSP用ソフト『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』も、そもそもはプレイステーションで1997年に発売された『ファイナルファンタジータクティクス』の移植作となっている。そして筆者は高校時代に、そのオリジナルのオリジナル版に恐ろしいほどハマっていたのだ。具体的にどれくらいハマっていたのかと言うと、一度自力でクリアーしたあとに改めて攻略本を購入し、隠されたアイテムや各種ジョブレベルなどをコンプリートしたほどである。数100時間以上はプレイしたので、人生にとって極めて貴重な時期である高校生活の3分の1くらい、約1年を本作に捧げたと言っても過言でない。

 

なぜ筆者はそこまで『FFT』に魅了されたのか。第1に、当たり前の話だがゲームとしての完成度が高かったからだ。いまなお名作として語り継がれ、先日PSPでリメイクもされた『タクティクスオウガ』のシステムを基調に、『ファイナルファンタジー』シリーズの“ジョブチェンジ”を取り入れたゲームデザインは、シミュレーションRPGというジャンルにおけるひとつの完成形だと思っている。また、充実したチュートリアルが用意されているので、シミュレーションRPGへの入門編としても最適だ。実際、筆者は本作をきっかけにシミュレーションRPGのおもしろさに目覚め、その後さまざまな同ジャンルのタイトルを遊ぶきっかけとなった。

 

しかし、シミュレーションRPGというジャンルにこだわらなければおもしろいゲームなどはほかにも数多くあるわけで、貴重な高校生活の一部を本作だけに捧げる理由にはならない。つまり、筆者が本作でもっともグッとキたポイントは、ゲームとしてのおもしろさとは別のところにある。ストーリーなのだ。『FFT』の物語は、イヴァリースと呼ばれる大国でかつて起きた後継者戦争“獅子戦争”がおもな舞台。後世の英雄譚によれば、この獅子戦争は“ディリータ”という若き英雄の登場によって収束したとされているが、とある文献には歴史に名前が残っていない真の英雄が存在すると記されており、一方で教会はその者は神を冒涜し国家の秩序を乱した元凶だとしている。プレイヤーはその真の英雄、はたまた冒涜者と呼ばれる、主人公“ラムザ”の視点で歴史の真実を追うことになるのだ。

 

ひと言で表現すれば重厚かつ壮大な物語だ。国をふたつに分けての後継者戦争を描くと同時に、それに翻弄される民の苦しみも、さらには貴族と庶民のあいだにある階級差別にまで切り込む。ファンタジーではあるが、登場人物たちの語る野望や信念、そして行動にはリアリティーがあり、遊んでいていろいろと考えさせられることも多いだろう。また、本筋の中ですべてが語られるわけではないので、プレイ中は酒場での噂話などにも耳を傾けて、壮大な歴史絵巻の断片を受動的に集め、自分の中で整理していかなければならない。そのため、本作の世界観にはまれば必然的にプレイ時間は長くなるというわけだ。ちなみに筆者の場合は、ふだんそういった物語に触れていなかったこともあり、理解するのに人の倍くらい時間がかかってしまった。確か、初プレイ時は中盤まで行ったところで頭がこんがらがってしまい結局最初からやり直し、2回目でようやくクリアー。しかし、それでもまだまだ理解できない点が多かったので、再び最初からやり直し、さらに「あー、やっぱいい話だわ!」ともう1周……といった具合に、少なくとも4回はプレイしたと思う。

 

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本作のストーリーのどこがいいのか、という部分は人によって異なるだろうが、筆者がもっとも惹かれたのは“持たざる者”の物語を描いた部分だ。主人公のラムザは王族の人間であり、前述した獅子戦争を収めたとされる若き英雄ディリータは、ラムザの幼馴染であるものの階級は平民。物語序盤ではディリータが貴族階級の庶民に対する残酷さに翻弄される様子から、ある事件をきっかけにラムザの前から姿を消すところまでを描く。後日、ラムザとディリータは意外な形で再会することになるのだが、そのときディリータはみずからを“持たざる者”と語るのだ。筆者は、この言葉とディリータの生き様に強く共感した。なぜなら、当時高校生だった筆者もクラス内で“持たざる者”(気味)であったから。

 

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いきなり自分語りで恐縮だが、筆者は高校時代にいわゆる中二病的なものをこじらせていた関係で周囲から孤立し、友だちがゼロという存在であった。表向きは一匹狼を気取っていたのだが、心の中ではクラスのイケメングループや、ギャグを得意とするグループに強い憧れを抱き、同時に彼らを憎々しくも思っていたのである。さらに「俺だってちゃんと眉毛とか整えれば雰囲気イケメンくらいなれるし!」、「俺のネタ帳に書いてあるギャグのほうがおもしれーし!」といった具合に、若干彼らを見下しているところもあったのかもしれない。しかし、時折それらを披露する場が巡ってくることもあるが、整えた眉毛はその話題に触れることすら避けたくなるほど微妙で、ギャグも失笑以上のものは起こらないというのが常だ。そういった失敗を数回くり返したところで、はたと気づく。「あ、俺って何も持ってないのね」と。筆者は絶望とともにゲームへ逃避し、やがて『FFT』のディリータに出会ったというわけだ。

 

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筆者と同じく“持たざる者”……などと言うとファンの方からはいろいろと怒られそうだが、とにかく決して容易くはないディリータの人生に、筆者は一方的に「おまえ、俺と同じだな……」と共感した。また、困難な状況の中で自身を奮い立たせ、国の英雄(表向きの話だが)と呼ばれるまでに成長する姿に励まされた。いま思えば、くり返し遊んだ理由は「あー、やっぱいい話だわ!」というもののほかに、成功のイメージを固めるという目的もあったのかもしれない。筆者は『FFT』もといディリータに出会ってから、放課後の圧倒的にヒマな時間を活用してサブカルチャー分野の本を読み漁ることになる。そして、そこで得た知識を携え、大学デビューにすべてをかけたのだ。果たして筆者の大学デビューは成功した。よくわからない知識を持っているとヤツがいる、という感じで自然と仲間の輪が広がり、孤独だった高校時代が嘘のように友人に恵まれることになる。これらはただの自慢話なのでそろそろやめるが、あのとき『FFT』とディリータに会えて本当によかったと思う。

 

しかし現在、社会人になった筆者は再び高校時代のように、自分はやはり持たざる者ではないか? と思い始めてしまっている。同級生との収入差は広がるばかりで、彼女もいないしおまけに家にはゴキブリが出るから。あの絶望的だった時代を思い出し、自身を奮い立たせるためにも、iOS版で以前よりも手軽に『FFT』のお世話になろうと思う次第だ。(キモ次郎)

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【ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争】

メーカー:スクウェア・エニックス

配信日:配信中

対応機種:iPhone/iPod touch

価格:1800円[税込]

備考:iPad版は今秋配信予定

(C)1997, 2007, 2011 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

CHARACTER ILLUSTRATION: Akihiko Yoshida

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