時田貴司氏が語る『FFレジェンズ 時空(とき)ノ水晶 』に込めた想い
2014-11-29 10:00 投稿
「完全新作の『FF』をスマホで出したかった」(時田氏)
『ファイナルファンタジー』(以下、『ファイナルファンタジー』は『FF』)シリーズの完全最新作タイトルが、2作品同時に発表されたのは既報のとおり。
いずれも話題性十分のタイトルとなっているが、本記事では業界のレジェンドとしても知られる、時田貴司氏が手掛けた『FFレジェンズ 時空(とき)ノ水晶』にまつわるインタビューをお届け。
週刊ファミ通12月11・18日合併号(11月27日発売)では、インタビューの一部のみしか掲載できなかったが、ここでは全文掲載であます所なくお伝えする。
時田氏がどんな想いを本作に込めたのか。そして『FF』という作品への、時田氏なりの考え方も伝わる内容になっている。
最後まで必見だ!
『FFレジェンズ 時空ノ水晶』
ゼネラルディレクター
時田貴司氏
[関連記事]
時田貴司氏による『FF』の新解釈『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空(とき)ノ水晶』
高橋愛さんがアニマのモノマネを披露!? 開発秘話も語られた『FF新作発表会』をリポート
【速報】『FF』シリーズ最新作が電撃発表 あのエイリムも参戦
スーパーファミコン後期の『FF』が好きだった世代へ向けて
――まずは、スマートフォン向けに『FF』の完全新作を作ろうと思った経緯をお聞かせください。
時田貴司氏(以下、時田) シナリオを配信するタイプのモバイル向け『FF』だった『FFIV ジ・アフター -月の帰還-』や、『FF レジェンズ 光と闇の戦士』を開発していくなかで得た経験を活かして、完全新作の『FF』をスマホで出したかった、という思いがありました。去年から準備を進めて、トレンドが変わるのが早いスマホゲーム業界でどうやって勝負するか、スタイルを模索しながらようやく発表まで漕ぎつけたという感じです。
――本作は、どのようなコンセプトで開発されているのでしょう。
時田 プロジェクトのコードネームは“チェンジ”です。変える部分と変えない部分を、1年かけて吟味してきました。変えない部分っていうのは、『FF』らしいコンシューマー級の作品を提供するということ。変える部分は、『FF』をどうスマホのスタイルに進化させるかということですね。“ちゃんとゲームを作る”の略で“CHANGE”と、開発チーム内では言われています(笑)。
――(笑)。内容は、王道的な『FF』作品になるのでしょうか。
時田 はい。物語や世界観については、お客様の期待する王道をいくものにしました。何もかも新しくしてしまうのではなく、とくにスーパーファミコン後期の『FF』が好きだった世代、まあ僕たちの世代もそうなんですけど、そんな人たちと共感できるような作品になっています。スマホの表現力も進化して、『クロノ・トリガー』や『FFVI』のころに近いものになったこともありますね。
――キャラクターをドット絵にしているのも、スーパーファミコン世代を意識して?
時田 それもあります。ただ、キャラクターは一見すると2Dに見えるんですが、実際には3Dで作っていて、3Dのモデルにドット絵を張り付けて動かしているんですよ。ひと言で表現するなら“2.5D”ですかね。キャラクターだけでなくモンスターも、3Dのモデルをいくつかのパーツに分けてドット絵を貼り、滑らかに動くようにしています。
――ドット絵としての動きではなく、3Dモデルならではの挙動になると。画面を拝見すると、モンスターにはかなり巨大な敵もいるようですね。
時田 昔のシューティングゲームのボスをイメージしています。2.5Dにすることで、カメラを引いたり寄ったりすることが自由にできるので、敵の巨大感を表現しやすくなりました。バトルシーンの迫力も、従来の2Dのゲームよりも数段アップしていますよ。とくにRPGは、いかにボス戦で盛り上げるか、というところがキモだと思います。過去の『FF』シリーズだと、「ここは任せて先に行け!」といったベタな演出が定番でしたよね。今回も、ボス戦の前のイベントが、いちばんの見せどころかなと思っていて。ただ、課金していただいた可能性のあるプレイヤーキャラクターをシナリオで死なせてしまうわけにはいかないので、そこは僕の持ち味が活かせなくて少し寂しいかな(笑)。
――今回は、時間を超えて冒険するとのことですが、『FF』ではあまりない筋書きですね。『クロノ・トリガー』を思い出します。
時田 『クロノ・トリガー』も続編は作りたいんですけどね(笑)。タイムスリップものはずっとやりたくて、今回はそれを実現できました。いろいろな時代の出自の違う仲間たちが集まって、冒険していく物語になります。イメージイラストにも描かれている、巨大な飛空艇がひとつの鍵になっていて、これは時空を超えて出没する幽霊船なんですよ。スマホゲームは、ちょっとした空き時間に遊ばれることが多いということもあって、独立した世界がたくさんあったほうが物語を理解しやすいという利点もあります。拠点のような場所があって、各時代に行くっていうスタイルはすごく遊びやすい。
――では、時代を行き来するのがメインになるのでしょうか。
時田 時間軸に加えて、東西の文化の違いみたいなものもテーマにしています。東はアジマ、西はウェスタという地域なんですが、ドワーフの血が混じったアジマの戦士、エルフの血を引くウェスタの魔道士といったキャラクターが仲間になったりして、いろいろなドラマが展開されます。エルフやドワーフが出てくるのも『FF』では久しぶりじゃないかな。ほかにも、『FF』シリーズではおなじみのミシディアっていう地名も出てきます。古代の世界は、全体がミシディアなんですよ。あくまでオマージュですが、こうしたおなじみの地名は随所に出てきます。
――懐かしいですね! ちなみに……時田さん流の“『FF』らしさ”とは、どういったものなのでしょうか。
時田 僕はおもに、ファミコンやスーパーファミコンのころの『FF』に関わってきました。そのときの『FF』は、ライバルの『ドラクエ』に対してのチャレンジャーで。『ドラクエ』が堀井雄二さん流のマンガ文化が入ったRPGだとしたら、そこにアニメとか映画とかのエッセンスが入ってきたのが『FF』。そういう意味では、『FF』はそのときの日本のサブカルチャーを反映させた、ファンタジーなのかなって思います。
召喚獣が50種類以上登場! 『魔界塔士Sa・Ga』ファンにもオススメ!?
――本作には召喚獣がたくさん登場するとのことですが、彼らはどういった立ち位置で関わってくることになるのでしょうか。
時田 まず、バトルでは、“幻石”という召喚獣の力が宿ったクリスタルを装備して戦っていきます。幻石には魔法やアビリティ、召喚魔法のような力が込められていて、それらをどう装備するかで自分の行動をカスタマイズしていくんです。それから、彼らは物語にも深く関わってきます。召喚獣の住む幻獣界も登場しますよ。
――幻獣界! 久々ですね。
時田 それぞれの召喚獣のキャラクター性を活かして、王様や大臣、王妃、賢者などの役割を持たせています。最初はそこまで設定するつもりはなかったんですが、生活感があったほうがいいよねってことで(笑)。召喚獣たちと対話をしながら冒険していくっていう要素も、本作の目玉のひとつです。幻獣界では、人型になった召喚獣たちと会話できます。
――それは楽しみです。ちなみに、幻石はどのくらいの数が用意されているのでしょうか。
時田 サービス開始時点で、幻石は100種類以上、召喚獣は50種類以上を登場させる予定です。同じ召喚獣の幻石でも、別のアビリティを持ったものは違う種類の幻石として扱われます。ファイアを持ったイフリートの幻石と、ファイラを持ったイフリートの幻石は違う、といった具合です。召喚獣のイラストは社内のデザイナーはもちろん、社外の著名な方々にも多数描いていただいていて、コレクション要素にもなっています。合成でパワーアップさせることによって何段階かに進化して、イラストが変わっていったりもしますよ。
――豪華ですね。それにしても、召喚獣が50種類以上も!?
時田 『FF』シリーズに登場した召喚獣を総ざらいしていくうちにかなりの数になりました。定番の召喚獣だけではなく、本作オリジナルのものも用意しています。四聖獣なんかもでてきますので、『魔界塔士Sa・Ga』ファンの方にもオススメです(笑)。
――なるほど(笑)。バトルは、“ATB”(アクティブタイムバトル)になるのでしょうか。
時田 いえ、キャラクターや敵の行動順が表示されていて、それを見ながら作戦を練ることがキモになっています。『FFX』の“CTB”(カウントタイムバトル)とほぼ同じシステムですね。バトルでは、いかに敵を早く倒すかによって“バトルスコア”がカウントされていくんですが、それによって手に入るお宝の数が変わったりします。バトルの腕前が報酬に関わるシステムになっているので、挑戦し甲斐がありますよ。
――パーティーメンバーは、何人なのでしょうか。
時田 バトルに参加できるのは3人ですね。仲間の中から、バトルに参加するメンバーを3人選ぶ形です。1キャラクターにつき4つの幻石を装備できるので、合計で12種類のコマンドが使えることになります。キャラクターには大きなステータスの違いがなく、幻石のセットで能力が変わるので、役割は自分でカスタマイズして決められます。
――戦闘によって、経験値を得て成長する形ではない?
時田 戦闘では、パーティーレベルというものが上がっていきます。キャラクターの強さは、装備している幻石に大きく依存していて、幻石はバトルではなく合成で成長させていくことになります。合成にはお金などのコストを設けていないので、不要なアイテムを合成することで気軽に成長させられますよ。それと、キャラクターは武器とアクセサリが装備できるのですが、これは基本的にバトルの報酬で入手できて、装備自体の合成や強化といった要素はあえて入れていません。あくまで幻石にフィーチャーしたシステムにしています。
――課金要素もそのあたりが中心になるのでしょうか。
時田 課金要素は、幻石の入手と、バトル後のお宝の入手数アップのふたつですね。行動力の回復は時間経過のみとなります。もちろん課金しなくてもメインのストーリーは追っていけるバランスにしていくので安心してください。ただ、バブイルの塔という名前のチャレンジダンジョンは歯応えがあるので、無課金の場合はやり込んでいただかないときびしいかもしれませんね。
――行動力の回復が時間経過のみ、というのは珍しいですね。そもそも、フィールドの移動の仕組みはどうなっているのでしょう。
時田 ワールドマップから行き先を選択すると、イベントやバトルが発生していく流れになります。バトルは連戦になっていて、標準のバトルは3~5連戦くらいですね。やり込めるダンジョンでは20~30連戦くらいあってもいいのかなと思っています。そもそも行動力は、メインストーリーでは消費しないんですよ。そのため、制限なくどんどん進んでいけます。といっても、強いボスが待ち受けていたりするので、幻石の強化が必要になる場面はあります。行動力は、おもにサブクエストを進める際に消費するシステムです。
――メインストーリーではなく、サブクエストで行動力を消費すると。
時田 サブクエストでキャラクターを強化していって、メインストーリーを進めていくイメージです。さらに、サブクエストをクリアーするとマイレージのようなポイントが貯まっていって、それを消費して挑むダンジョンなんかもあったりします。専用の装備品が手に入ったりもするので、そこでさらにパーティーを強くできると。行動力はさほど待たなくても回復するので、メインストーリーとサブクエスト、マイレージを使うダンジョンをぐるぐる回しながら遊んでいただける構造です。ちなみに、ダンジョンに行く際は、フレンドなどほかのプレイヤーのアビリティをひとつ借りることができます。自分の持っていない強力な幻石を持っている人に協力してもらえれば、攻略が楽になるかもしれませんね。
――デイリーダンジョンや週替わりのイベントなどの要素もあるのでしょうか。
時田 もちろん用意していますよ。ただ、お話自体もどんどんアップデートしていくので、あまりイベントだらけだと疲れちゃうのかなと。最初のうちは、様子を見ながらやっていこうと思います。
“歌”が物語の核心に迫る要素のひとつに
――メインストーリーは、どれくらいのペースでアップデートされるのでしょうか。すでにエンディングまで考えられているんですか?
時田 現状は、隔週くらいのペースでの配信を予定しています。お話は、僕たちが“第1期”と呼んでいる、いったんの終わりまではできています。その先も構想はあって、登場する世界やキャラクターなどもたくさん用意しています。半年をひとつのスパンと考えて、ユーザーの反応を見ながら、連載マンガのようなスタイルで楽しんでいけるような感じにしたいですね。キャラクターの人気によって、活躍したり退場しちゃったりして(笑)。
――反応を見て、シナリオを変えることもあるんですね。そこはスマホならではというか。
時田 そうですね。コンシューマーゲームでも、時間をかけて作るものになると、トレンドが変わったりキャラクターに愛着が湧いてきたりして、物語が変わったりすることもありますが、柔軟さはこちらのほうが上かなと。ボイスが入ったり、ムービーが入ったりすると後戻りできないですけど、基本的にはリソースを組み合わせで作っていくので、細かいセリフや展開はギリギリまで工夫ができます。また、本作では水田(スクウェア・エニックスのコンポーザー、水田直志氏)に楽曲を50曲近くも書いてもらっているんです。“歌”が物語の核心に迫る要素のひとつになっていて、テーマソングについては、その歌の完成後に、それを活かすシナリオにしていったということもありました。
――柔軟な取り組みをされているんですね。それゆえに、苦労される部分も多そうですけれど。
時田 シナリオについては、短いイベントの連続でお話を構成するという、テンポを重視した見せかたをしつつ伏線も張ったりしなきゃいけないという部分で板挟みになっている部分はありますね。なおかつ、わかりやすいものじゃないと、忘れちゃいますし。でも、いまではそういうテンポ感にもだいぶ慣れてきましたよ。
――ちょっと話は逸れますが、異なる世界と時代で展開される物語というと、時田さんが手掛けられた『ライブ・ア・ライブ』もそうでしたよね。『ライブ・ア・ライブ』は今年で20周年ですが、何か動きはないのでしょうか。
時田 あまり過大な期待をされても困っちゃうんですが、準備はしております、はい(笑)。
――おお、ファンには朗報ですね! それでは改めて、時田さんの最新作となる『FFレジェンズ 時空(とき)ノ水晶』について、ユーザーにメッセージをお願いします。
時田 今冬……温かくならないうちに配信できるように(笑)、現在鋭意制作中です。開発度は、初回の配信分については68%くらいですかね。第1期という長期的なスパンで見た場合は、もう少し下がりますけど。今回は、『FF』をフリー・トゥ・プレイにするというところで悩ましい部分が多かったのですが、いい形に仕上げられるのではないかなと思います。とくに僕らの世代、ファミコンやスーファミで『FF』を楽しんだ世代には、たまらない作品です。僕は、“気持ちのいいキャラクター”がたくさんいるのが、いい『FF』なのかなって思うんですよ。本作では昔ながらの『FF』っぽい、クセのあるキャラクターたちがたくさん出てきますので、楽しみにしていてください!
ファイナルファンタジーレジェンズ 時空(とき)ノ水晶
- メーカー
- スクウェア・エニックス
- 配信日
- 今冬配信予定
- 価格
- 無料(アプリ内課金あり)
- 対応機種
- iOS、Android
- コピーライト
- ©SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Characterdesigh & Imageillustration: CyDesignation
- 備考
- プロデューサー:秋山利夫
ゼネラルディレクター・シナリオ:時田貴司
コンポーザー:水田直志
最新記事
この記事と同じカテゴリの最新記事一覧
【#コンパス】10月“からふる みつけた!”シーズン結果発表!全ヒーロー使用率&勝率ランキング
2024-11-11 12:31【#コンパス】ボンドルドが下方修正!移動速度とHSゲージ増加量が低下|2024年11月7日ヒーローバランス調整内容まとめ
2024-11-11 12:11【#コンパス】10月シーズン“からふる みつけた!”まとめ|報酬獲得ボーダーラインをチェック!
2024-11-06 14:41【#コンパス】場内コンテンツも充実のエンタメイベント!“#コンパス秋フェス in 京都”イベントリポート
2024-10-31 11:50