【TGS2013】グリー×ポケラボ×セガネットワークスで語られる業界サバイバル術

2013-09-19 18:05 投稿

スマホ業界での必勝戦略とは!?

TGS2013のビジネスデー初日、グリーのステージにてグリーの荒木英士氏(ネイティブ事業本部 ネイティブゲーム事業統括部長)、ポケラボの前田悠太氏(代表取締役社長)、セガネットワークスの里見治紀氏(代表取締役社長CEO)によるトークセッションが行われた。

 

日本は世界の市場でどうする?

『日経エンタテインメント!』編集委員の品田英雄氏がモデレーターとして話を進める形でセッションがスタート。まずは、世界を視野に入れたモバイルゲーム市場の将来について品田氏が話を振ると、里見氏は海外と日本の嗜好の違いを指摘。日本では最初は弱い主人公が成長していくような展開が好まれるが、海外ではムキムキなおじさんが活躍する展開が好まれるとし、それぞれにあったゲーム作りが必要と語った。

続く前田氏は、そうした趣味嗜好の話に加え、海外と日本のモバイルゲームの歴史の違いを説明。ソーシャルゲームになじんでいない海外の人は、合成や進化などのソーシャルゲームの基礎知識を知らない人が多いため、そうした人に向けてきちんとわかりやすいゲームが大事とした。

荒木氏は、プラットフォームの違い、文化の違い、デザインの違いが大きく異なる要素とし、日ごろこれらの研究に打ち込んでいる姿勢を見せた。

▲モデレーターを務めた日経BPの品田英雄氏。

情熱か? 合理性か?

続いて「グリーは、トップセールスランクに向かっていないゲームは開発費をかけないとのことだが、そうした開発費の使いかたについてどう思いますか?」との品田氏の問いかけには、「すべてのタイ トルをそう割り切るわけではなく、開発者の熱意のようなものもあるので、余裕があるうちは挑戦したい」と里見氏が回答。

前田氏も「やはりエモーショナルな部分と割り切る合理性のバランスが大事ですね」とし、両者ともある程度は開発の人間の情熱を汲み取りたいという姿勢を見せることとなった。

▲グリーの荒木英士氏。

コンシューマー+ソーシャル=?

また、同じく里見氏と前田氏へ、コンシューマーゲームとソーシャルゲームの融合について問いかけると、里見氏は「実際にともにやっていますが、コンシュー マーゲーム、ソーシャルゲーム、さらにはアーケードゲームも融合することで、いい化学反応が起こっています」と答え、前田氏も「ソーシャルゲームをスマホ ゲームでやるようになり、ゲームとして深くなるのは当たり前。これまで培った過去の要素にコンシューマー要素を加えることで、よりよりものを作ります」と 続いた。

▲ポケラボの前田悠太氏。

打倒『パズドラ』の秘策

セッションは時間を追うごとにヒートアップし、「ズバリ、『パスドラ』に勝つ方法はありますか?」と、品田氏によるストレートな質問が。

荒木氏は「『パズドラ』はいわば新しいジャンル。考えるのは簡単だけど、実際にうまく運営しているのはすごい」と述べたが、「これまでの業界とこれからの業界の流れを考えると、作品によってはチャンスもある」と答えた。

一方前田氏は、「ズルい発想かもしれませんが『パズドラ』と単体作品勝負をするのではなく、”アプリ群”で勝負します。セガと作ったり、グリーと作ったりし てアプリが複数ある”群”を形成して、ユーザーに2~3アプリをつねにやってもらえるようにしたいです。『パズドラ』のようなホームランではなく、ヒッ ト、2塁打、3塁打を作っていきます」とした。

続いて里見氏は「大ヒットを作るのは簡単なことではありません。セガでも大ヒットと呼ばれる作品は、じつは社内的に不評だったりするものが多いです。やはり、合理的にばかりやるのではなく、引き続きチャレンジ精神も持って作っていきます。ま た、”Noah Pass”(コンテンツプロバイダーなしで、企業やタイトルの垣根を越えてバナー広告やリワード広告を展開する施策)などの取り組みも行っていきます」と回答した。

▲セガネットワークスの里見治紀氏。

世界で勝つために

そして、今回のセッションのテーマにもっとも近い「日本はスマホゲームで世界を席巻できるのか?」という問いに対し、「イエスです。まだまだ日本にも『クラッシュ・オブ・クラン』のようなタイトルを開発する土壌がありますし、運営面で一日の長もあります」と里見氏。

前田氏も同様に「イエス」とし、「スマートフォンゲームになっても、やはり日本のモバイル文化は根底にあります。ちゃんと自分の得意なところで、モチはモチ屋でやっていきます」と答えた。

ただ、荒木氏は「席巻できるというより、ランキングTOP10のうち、グリーの3本を含めてすでに日本は5本ランクインしています」と答えたうえで、「けれど、開発費が徐々に高くなってきている懸念点も含め、いつまでこれを維持できるのかが課題です。これからローカルに適したものを作っていきます」と今後の 課題についても言及した。

スマホ業界の未来は明るい!

最後に、それぞれがこうしたメーカー間の取り組みを積極的に行い、お互いに助け合って世界に立ち向かうということでセッションは終了。これからますますメーカー間の交流が活発化し、世界に負けない土壌ができあがることを期待したい。

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