レビュー
投稿日2019.08.10

短期決戦で遊びやすいカジュアル対戦
ネストピのスマートフォン向けリアルタイムストラテジー『アンクラウン』。
ゆるくてガチな対戦“ライトRTS”をテーマに、中世ヨーロッパ風の世界で最大200人超えの英雄や兵士たちを指揮。最長4分の短期決戦に身を投じていく対戦ゲームだ。
本記事ではゲームの基本的な仕組みやクローズドβ版をプレイして感じた手応えをお届けする。
ゲームの見どころ
●スワイプで道筋を示し最奥にある敵本拠地を討て
●酒場に立ち寄る英雄を勧誘して戦力を強化
●ストーリーはなし!? 気になる3つの要素
スワイプで道筋を示し最奥にある敵本拠地を討て
フィールドの両サイドに自軍と敵軍の本拠地を配置。その中央に点在する中立拠点を奪い合いながら、画面中央にある支配率を競うのが本作の目的だ。
時間経過とともに増えていく本拠点の兵士をスワイプで中立拠点に投入。それを中継点として活用しながら領土を広げ、最長4分のあいだに1%でも上回れば勝利という仕組みだ。
兵同士の戦いは質より量、数が多いほうに軍配があがる。
兵士の移動は4秒に1度。拠点の数に限らず毎ターン1回と決まっていて、どこから何を攻めるのかを正確に見極めなければならない。
中立拠点には攻撃の薄い場所があるのでそれを最優先に奪取。兵士の最大数を序盤のうちに蓄えておくなど、いろいろな作戦で敵の本拠地に攻め込んでいこう。
また、指揮官であるプレイヤーをサポートする”英雄”には、近接系のソードマンや遠隔が得意なアーチャー、攻撃魔法を使うメイジやヒーラーのクレリック、籠城する敵に強いスカウトなどが登場。特化した性能を持つユニットを活かせば、さらに戦術の幅が広がることができる。
最長4分という短い戦いだが、ノンストップで進行する駆け引きは抜群の緊張感を味わえたぞ。
酒場に立ち寄る英雄を勧誘して戦力を強化
バトル終了後に酒場を訪れる英雄たちを勧誘。それに成功すると自軍の戦力として迎えることができる。
出撃前に出会いを導くアイテム“タロット”を使えば、勧誘の成功率を上げることができるのもおもしろい。
また、英雄たちに武具を装備させるとレベルアップ。対象の戦利品の入っている宝箱を解錠するには、指定された時間(数分から数時間)まで待つか、ゲーム内コインを使えばスキップできる。
勧誘しただけの英雄は何も装備していない裸同然の状態。パーティに組み込むときに備えて、1個でも多く装備品を集めておきたい。
ストーリーはなし!? 気になる3つの要素
スワイプで目的地を指示するだけの簡単な設計ながら、英雄を使って戦況をひっくり返す戦略性の高さはとてもいいバランスだった。
公式ではライトRTSを“新基軸”と呼んでいるが、iPhone初期に注目を集めた名作『Galcon』シリーズを彷彿とさせる部分もあり、思わず「懐かしい」と感じられたのも個人的には好印象だ。
ただ、3つほど気になった要素がある。
まず1つ目は、本当に少しだけ世界観を感じさせるアプローチがありながら、具体的なストーリーがまったく描かれないこと。雰囲気がいいだけに、何かしら自分の生きている世界の有り様を感じ取れるものがほしいところ。
そして2つ目は、中立拠点の配置がワンパターンなこと。双方の本拠点が左右入れ換わることはあっても、それ以外の配置はまったくといっていいほど代わり映えしない。
攻略方法がパターン化するのは効率がいいが物足りないと感じた。
最後3つ目は、解錠が完了するまでの時間が長いのはともかく、宝箱をストックできる枠が極端に少ない点。コインを使ってほしいという気持ちはわかるのだが、それでももう少しストックの最大数を増やしてほしいところだ。
バトルは基本的にオート。スワイプで拠点間の移動を指示することに専念できる点は、まさに指揮官の目線でとてもおもしろい。
また、戦況を左右する英雄の存在が戦略性てくれるのはもちろん、最長4分のバトルで十分な緊張感を味あわせてくれる。
製品版がリリースされたばかりだが、今後の展開がとても気になるRTSだったぞ。
P.N.深津庵
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