“BitSummit Let’s Go!! (ビットサミット レッツゴー!!)”『ジオラマナイト』体験リポート!ボードゲームの奥深さが詰まった期待作
2023-07-14 21:19 投稿
じっくり考えて遊びたい戦略性の高いアプリ
インディーゲームの祭典、“BitSummit Let’s Go!! (ビットサミット レッツゴー!!)”(以下、ビットサミット)が2023年7月14日~16日に、京都市勧業館 みやこめっせにて開催されている。
ビットサミットは国内外から集まったインディーゲーム開発者たちが製作したゲームをお披露目する場で、個人・小規模開発ならではの個性的な作品が出展されている。
本記事では、そんなビットサミットに出展された注目ゲームのひとつ『ジオラマナイト』の体験リポートをお届けしよう。
最後まで駆け引きが熱いPvPvEなボードゲーム
『ジオラマナイト』は、タイトル通りジオラマの世界を舞台にした対戦ゲーム。
ボードゲームに駒となるナイトを配置して操作し、対戦相手を妨害しつつボスを倒すことを目標にした、いわゆるPvPvEなルールとなっている。
対戦が始まると、まずは自身の駒となるナイトを配置することになる。ナイトの配置にはVOXという資源が必要で、最初は1体配置するぶんしか持ち合わせていない。
どの駒を選ぶかは自由で、ナイトはそれぞれに攻撃範囲が広い、移動距離が長いといった異なる特徴を持っているため、戦況に応じて使う駒を変えていくことになる。
また、ナイトはVOXを消費することでスキルも発動でき、移動距離のアップ、一回攻撃を防ぐ、射程距離アップといった追加効果を付与できる。
無暗に使うとVOXが切れて新たなナイトを使えなくなってしまうので、ここぞという場面で使いたいシステムだ。こうした点は駆け引きとなるので、スキルを使って1体のナイトを活躍させるか、駒を増やすかといった資源管理も重要。
駒を出した後の流れ自体はシンプルで、自分のターンがきたら配置した駒を動かす、新たなナイトを追加するなどの行動を取っていくだけ。
時折アイテムが出現するのでそれを取りに行ってもいいし、敵ユニットを積極的に狙って相手の駒を減らすのもアリだ。ちなみにボス以外のユニットはHPの概念がなく、一度でもダメージを受けたらその時点で倒されてお墓になってしまう。ユニットの扱いは、将棋やチェスなど従来のボードゲームに近い。
本作で特徴的なのが、ナイトを動かす盤面に下層が用意されている点だ。ひび割れているマス目に立って地面を掘ると、一層下の盤面に降り立つことができる。そしてボスは最下層でプレイヤーたちを待ち受けているので、つまりはこのアクションでボスのもとに向かい、相手より早く撃破を目指すというルールだ。
また、今回は試せなかったが降り立った先に敵がいる場合は問答無用で踏みつぶせるという。下層に一番乗りをすればボスには近づくが、上から強襲されるリスクも生じるのだ。
そのため、闇雲に下を目指すのはかなりリスキー。どのタイミングで下層に降りるか、対戦相手と駆け引きをしながら動いていくことになるだろう。
同じ流れでもう一段下層に降りると、いよいよボスが登場。ボスだけはHPが3、つまり3回攻撃しないと倒せない仕組みで、なおかつほかのユニットとは異なる動きかたをしてくる。ローグライクのようにこちらが行動するとボスも1回動くため、なにも準備をしないまま下層に降り立つと返り討ちに合う可能性が高い。できる限り2体以上で挟み込んだり、スキルで攻撃を無効化するといった準備が必要だ。
といった攻略のキモを把握しないまま突っ込むと、せっかく増やしてきたナイトがどんどん減って対戦相手との戦力差が開いていく。
プレイ開始時は「ボスを倒すのが目標なら対戦相手は無視でいいのでは?」と思っていたのだが、これが大きな間違いだったと終盤になって身に染みて理解できた。対戦相手をスルーしてボスに専念した結果、手持ちのナイトは全滅。そのあいだに敵ユニットの数は倍増しており、上層から立て直そうにも不利な状態になっていたのだ。
ボス攻略ではほぼ確実に戦力が削れるため、相手との戦力差を見て挑むタイミングを見極める必要がある。今回はCPUとの対戦だったが、これが実際のプレイヤーなら深い読みあいになっていただろう。
ゲームルールの中でとくにおもしろくなりそうなのが勝利条件で、“ボスを撃破した人が勝利”なのがポイント。HPが3あるボスに対して、最後の一撃を決めたほうが勝利になるため、いいとこどりもできてしまうのだ。
実際今回のプレイ中は全兵力を失いながらボスのHPを2削った後、あっさりと最後の一撃を持っていかれて敗北で終わってしまった。これがメチャクチャ悔しい……!
もしプレイヤーと本気で対戦するなら、相手が1ターンにどれだけボスのHPを削れるかを予測した上で、妨害したり先手を取るといった駆け引きが生じることになるだろう。
またターンには60秒という制限時間が設けられていたり、倒れたユニットのお墓には新たなユニットを出せるなど、プレイのテンポが悪くならないような仕掛けも盛り込まれており、プレイ環境も快適だ。CPUとの対戦でも十分に楽しいが、リリースされた後は本気でやり込んで強いプレイヤーと対戦したいと思えるゲームだった。
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